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 田原総一朗氏は2011年8月30日、東京・六本木のニコファーレでジャーナリスト志望の学生らと「ジャーナリスト魂」について議論した。田原総一朗氏と司会を務めたジャーナリスト津田大介氏を学生らがとり囲み、対峙した。

 議論の模様は、ニコニコ生放送「田原総一朗のジャーナリスト魂 in ニコファーレ」で中継された。以下、田原総一朗氏と学生らとのやりとりを全文書き起こして紹介する。

・[ニコニコ生放送]田原総一朗のジャーナリスト魂 in ニコファーレ - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv59493535?po=news&ref=news#0:03:47

■田原氏「僕の困ることをどんどん聞いてほしい」

ナレーション: 昭和9年4月15日、日本のジャーナリズムの常識を根底から覆す1人の男が生まれた。男の名は「田原総一朗」。身体が弱く、病気ばかりしていた田原少年は、小学校5年生の夏休みに終戦を経験。多感な時期を滋賀県で過ごし上京。早稲田大学卒業後、岩波映画製作所を経て、東京12チャンネル、現在のテレビ東京に開局と共に入社。ディレクターとして過激なドキュメンタリー番組を次々と制作した。退社後、フリーに転身。「トゥナイト」「文藝春秋」などでのインタビューが話題を集め、海外へも取材で飛び回った。そして、昭和62年より現在も続く討論番組「朝まで生テレビ」で、テレビジャーナリズムの新しい地平を開拓する。「田原の前にタブーなく、田原の後ろにタブーなし」。御年77にして、ますます高談雄弁。本日、ここ「ニコファーレ」で田原総一朗がジャーナリスト魂を爆発させる。一言一句、聞き逃すな。刮目せよ。

津田大介(以下、津田): どうも皆さん、こんにちは。本日の司会を務めさせていただく津田大介です。よろしくお願いします。そして田原総一朗さんです。

田原総一朗(以下、田原): はい、どうもよろしくお願いします。

津田: 一応、オープニングトークはこっち(学生に背を向ける方向)を向いてということなんですけど。

田原: 田原総一朗です。よろしくお願いします。

津田: よろしくお願いします。ニコファーレ初登場になるとのことなのですけども、どうですか一面(360度、画面に囲まれている)こういう形で。

田原: すごい立派な所でびっくりした。

津田: しかもコメントは360度流れるんです。

田原: へぇ。

津田: 360度流れて、今日は討論番組という形なので、僕のイメージとしては「朝まで生テレビ」で、途中会場の人に(話を)振ったりしますよね。あの会場に振るのを徹底的に1時間くらいやりつつ、ネットの突っ込みなんかも交えて討論をやっていく。

田原: どんどん突っ込んでほしい。

津田: そうですか。

田原: 僕の困ることをどんどん聞いてほしい。

津田: はい。本当にこんな会場になっているので、コメントは否が応でも目に入る。突っ込みは僕も田原さんも目に入ってくると思うので、ガシガシ本当に1時間、議論を盛り上げていければと思います。ということで、さっそくこちらのほう(学生に顔を向けた方向)で進行していきたいと思います。

田原: どうもこんにちは。

会場:こんにちは。

田原: どうも。

津田: ここ、いろいろと会場も変わっていて、ここにCCDカメラがありますよね。CCDカメラが僕と田原さんを映していて、これを観ている側、パソコンのほうで自分でテレビ(画面)を切り替えて観られるのです。普通の引きの画面だけではなくて、田原さんの表情だけを観たい人は画面のボタンを押すと田原さんの画面だけを大写しでアップで観るということもできて、こういうマニアックな田原さんファンは、ずっと田原さんのアップだけを観るということも可能になっている。なんかやっぱり従来のテレビとはまた違う、こういうインタラクティブな新しい討論番組ということなんですが。

田原: なるほど。

津田: 本当に時代が急速に変わっていて、こういう形で観ている人も、今もうすでに数千人の人が観に来ている状況なのですが。当然ツールも変わればメディアも変わる。そうすると、やっぱり議論の形も変わるのではないかというところで、今日はここをわざわざ・・・どっちかというと普段はものすごい一般的には受けないけど人気がある音楽とかいっぱいイベントをやっているのですけど、そういうのではなくて、初めて討論番組をこんな施設を使ってやるということがあるのです。

 会場にはジャーナリストになりたいとか、ジャーナリスト志望とか、今のメディアに対して一言何か言いたいという若者が沢山集まっていて、僕はもっと本当にむさくて面倒臭い感じの若い人がいっぱい来るのかと思ったら、結構可愛らしい女の子も沢山来ていて、すごくないですか。ちょっと意外な感じです。本当にディスカッションをするのは、ここに会場に来てくださった皆さんだけではなくて、パソコンですとかモバイルをご覧の皆さんも、このディスカッションに参加することができます。それで、ちょっとどんな風になっているのか。「ネット観客」という仕組みになっていて、ニコニコ動画に登録している人のプロフィールの画像とかが、「こうやって観ているよ」と(画面に映し出される)こんな演出もあるんです。こういった形で、本当に皆さんの意見がニコファーレに、ここの会場にダイレクトにきています。「津田さんみてるー?」というコメントもありましたが観ています。観ざるを得ない、こういう会場になっているので、随時コメントを拾いながらやっていきたい、討論していきたいと思います。

■"事実の追究"から"無難の追求"に変わったジャーナリズム

津田: ということで、ツイッターのほうもハッシュタグがありまして、「#nicofarre」というハッシュタグを付けて書き込みをしていくと、僕のほうの手元に(チェックする画面が)あるのでそれを見ながら議論を進めていきたいと思います。またメールも募集していまして、このご覧のページの画面下から投稿フォームからメールを送ることができるのでよろしくお願いします。

 そして、ディスカッションはあくまで真剣勝負ということで、ここにいらっしゃる皆さん、もちろんコメントも含めて、皆さんが自分の言葉を武器に、1つのテーマについて田原さんと、・・・僕はあくまで司会なので。今日は田原さんと会場の皆さん、そしてコメントの皆さんが真剣勝負で議論をしてもらうということです。そして今日は、本当にそういうネットも巻き込んでガチンコ対決の議論をするということで、本日ディスカッションの闘技場として、ニコファーレが「ディスカッションコロセウム」として生まれ変わるということになりました。

会場: (画面にコロセウムの演出がなされる)。

津田: ・・・という感じの、何かいかにもテレビ的なちょっと大げさな演出ではあるのですけど。こんなコロセウムの演出があるのだけれども、表示されるのはこういういろんなプロフィール画像というのが、ちょっと「いまだ・・・」っぽいとは思うのですが。まあこんな感じで、こういう所で議論をするのは田原さん、やはり初めてですよね。

田原: そうですね、楽しそう。これだけ若い人がいると。

津田: そうですよね。ということでさっそく、時間もあまりないので、本日のディスカッションテーマの方を発表したいと思います。テーマはこちらになります。「次世代のジャーナリズムとは?」という、もの凄く大きなテーマをここから1時間くらいで議論できるのかと、いきなり最初から不安ではあるのですけれども。とにかくここの会場に来ている皆さんがかなり熱い意見を投稿してもらったので、その辺をもとに、どんどん議論を進めていきたいと思いますし、それで基本的には田原さんと1対1で議論しつつ、途中からやっぱり「いや、その意見は俺も違うと思う。俺にも意見を言わせろ」というのがあったら、僕が会場の方に振りますので、どしどし会場にいる皆さんは「喋らせろ」という人は挙手してもらってもいいですし、コメントのほうでもどんどん突っ込みを入れていけば、それを観て議論を進めていきたいと思います。

 現在、「次世代のジャーナリズム」というテーマが非常に大きいのですが、例えばジャーナリズムというと、今までテレビとか新聞がある種リードをして作ってきたものが、今だともうYouTubeで尖閣(尖閣諸島中国漁船衝突事件)のビデオが流出して、それをテレビとか新聞が後追い報道をしたりですとか、チュニジアではいわゆるFacebook革命、「ジャスミン革命」といわれている様に、ソーシャルメディアがきっかけになって政治体制が変わるみたいな、そういった様なことも行なってきていますし、本当にメディアとか情報の流れ方が変わることによって、ジャーナリズムの形も変わっているのではないかということがあります。ネットにはこれまでマスメディアがやってきたことを個人のジャーナリストだったり、ジャーナリストではない学生とか個人がジャーナリストの代わりになる様なことをやっていたり、本当にマスメディアが今までできなかったことを個人ができるような、そんな時代になりつつありますし、ニコニコ動画なんかも生放送みたいなものも、そういったものの一翼を担っているという形になると思います。

 当然ネットには無責任な意見もあるし、いろいろなデマが流れるとかネットに対するネガティブな意見とかもあるのですけれども、ずっと本当に50年近くジャーナリズムの現場を見てきた田原さんとしては、この今の状況の変化というのはどう捉えていらっしゃいますか。

田原: 今、相当ジャーナリズムはダメになっている。一言で言えば。

津田: 何が原因なんですか。

田原: ジャーナリズムって単純に言えば「事実の追究」だけど、みんな「無難の追求」になっている。

津田: ほう。

田原: 例えば最近で言えば、島田紳助さんが(芸能界からの)引退宣言をしたと。週刊誌を見ても新聞を見ても、全部紳助さんの悪口だよ。「何が悪いんだよ」と、一体。

津田: 島田紳助さんがなに悪いことをしたのかと。

田原: 暴力団と付き合ったという事なんだけど、皆さんもご存知だと思うから分かるけど、いろんな「週刊新潮」をはじめ「週刊朝日」全部週刊誌を見た。何にも書いていない。ただ「悪い」と言っているだけ。中身ゼロ。

津田: 検証がちゃんとできていないということもあるんですか。

田原: もっと言えば、単純に言うと紳助さんが関西のバラエティ番組で右翼をからかうようなことを言った。バラエティはVTRですから、こんなものは、彼は冗談で言ったのでカットすると思っていた。ところがなんとカットしなかった。これはいつか東海テレビがやったみたいな話。(「ぴーかんテレビ」で)何か冗談で書いたセシウムの何とかを出しちゃったと。つまりカットしなかった。カットしないから右翼が紳助さんをガンガン批判した。その時にテレビ局も紳助さんのプロダクションも一切彼を守らなかった。それで右翼からガンガンやられて、きっと彼は弁護士にも相談したんだと思う。他に方法がなくて、こういう時、警察もまったくダメなんですよね。僕も経験があるけど何度か。結局彼は、知り合いの友達の元ボクサーに何か良い方法はないかと言った。そのボクサーがきっと山口系の組員に、会長らしいけど、これに言ってそれで収まったと。これだけの話だよね。

津田: なるほど。ある意味そういうことのきっかけも、全部マスコミが作ってきたということもあるんでしょうね。

田原: それと、では一体この右翼からガーッとやられて、テレビ局もプロダクションもまったく助けてくれない。どうする方法があるのかと。紳助さんをボロクソに言っている週刊誌にしても新聞にしても、あるいはコメンテーターにしても聞きたい。「あなたならどうするか」と、こういう時。「俺ならこうすると。こういう事をやらなかった紳助が悪いよ」と言うなら分かる。何も言っていないんだもん。ただ「悪い、悪い」と言っているだけ。下手すると何で悪いと言っているかというと、紳助をかばうとコメンテーターはテレビに出られなくなるのではないかと。あるいは紳助をかばうともう新聞に取材してもらえなくなるのではないかと。一種の「無難の追求」。こうでないかと思う。

津田: さっきコメントなんかだと「社畜にはジャーナリズムは無理だ」みたいなことも書いてあったのですけど、やっぱりサラリーマン化しているということもあるんですか。

田原: 僕はフリーだよ。言っておくけど。

津田: いや、今のマスメディアとかジャーナリズムの問題の、どんどんそういう追求が真実とか検証ができなくなってきているというのは、かつては、もうちょっと本当に会社員でも、あまり会社に依存しないようなジャーナリストが多かったのではないかという論点も1つあると思うのですけど。やっぱり変わったなという風に空気は感じますか。テレビとか新聞記者とか。

田原: やっぱり自己保身、自分を守る。何よりやっぱりテレビも新聞も経営者がダメだね。要するにジャーナリズムではないんだよね。自分たちを守りたい、自分たちの会社を守りたいと思ってしまう。またその会社に下手なことを言うと、テレビで言えばコメンテーターが出してもらえないのではないかと。フリーまでがサラリーマン以上に保身的になっていると、こういう問題があると思う。

■「フジテレビだって別に韓国ドラマを流していいではないか」

津田: その辺の話は、まさに今炎上しているフジテレビの問題なんかにも通用すると思うのですが。そろそろ、ちょっと議論のほうを・・・。

田原: フジテレビだって、別に韓国のドラマを流したって良いではないか。

津田: おっと。

田原: これでデモするのがまた相当バカだと思うし、またそれでそういう番組を辞めてしまうとは何だとこれは。

津田: ああ。

田原: スポンサーが動いたんだ。

津田: それはちゃんと経営陣がもっとビジョンを示してやれば良いと。

田原: それはそうだよ。逆に言うと、韓国のドラマを流すと聞かないと言うなら、自民党の議員が3人、竹島の横の島・ウルルン島に行こうと思って韓国へ行って入国拒否をされた。これでもっと怒れよと、何で(怒らないの)かと。僕は右翼ではないよ。例えば、何年か前に島根県が竹島は島根県の物だと発表した。そうしたら韓国の議員たちが怒って、「なんだ」と。「俺たちは島根県の県会議員と喧嘩したい」と。その時にやってきた。日本はちゃんと(韓国の議員を)入国させて島根県に行って論争もした。それなのに何で入国拒否なんだよと。それに対して新聞ももっと怒れよと。何か遠慮っぽくて、政府も。谷垣(禎一自民党総裁)なんて男、(会場の皆は)知らない人も多いだろうね。「怒れよ」と。自分のところの議員が行って入国拒否だよと。黙っているではないかと。以上。

津田: なるほど。結構もう会場のほうも言いたいことがありそうな人もいっぱいいるので、本日のテーマ「次世代のジャーナリズムは?」ということで、今日基本的には会場にはこういう新しい時代を担うジャーナリスト志望の皆さんが、ジャーナリズムというものをどのように考えているのか、また正しい在り方や考え方を皆さん書いてコメントでもらっているので、それをピックアップして議論にしていきたいと思います。

 会場にお集まりいただいたジャーナリスト志望の皆さんには事前にアンケートを取らせていただきました。本日はそれをもとにディスカッションしていきます。本当に会場の皆さんだけではなくて、コメントやツイッター等で、どんどん突っ込みを入れていただければと思いますし、意見のある方はどんどんいろんな形で参加していただければと思います。ということで、時間もなかなかどんどん過ぎていくので、さっそく今日の本編のディスカッションに入っていきたいと思います。「次世代のジャーナリズムとは?」まずはこちらの意見からです。「政治ジャーナリストは自己の思想信条・投票政党を明らかにしてから論壇に立て」ということですね。いわゆる公平中立ではなく、こういう政治的な思想とかどういうのを応援していますという「ポジション」を明らかにした上で、言論を書く、記事を書くべきではないかという意見なのですが。こちらの方は・・・本当はここにモニターに、誰々さんの意見というが出るはずなのですが・・・。ダテさんという方ですかね。ダテさんという方は今ここの会場にいらっしゃいますか。

ダテ: はい。

津田: ではちょっとマイクを回しますので、もうちょっと真意を説明していただいてよろしいでしょうか。

ダテ: はい。今日は素晴らしい会をありがとうございます。プロとかでも全然ないので、普段一国民として受け取れる限りの情報をどう判断するかということだけを考えている一般ユーザーと思ってほしいのですけど。本文にはもっといろいろ、今のテーマだけではなくて書いてみたのですが。ジャーナリストって見ていると、「つまりあなたは最後何処を支持しているのか」ということがさっぱり分からない。自民(党)もダメ、民主(党)もここが悪いよね、公明(党)さんはこうだよね、共産党はこうだよねと言ったりするんですけど、最後に誰かそのジャーナリストの皆さんも投票をしますよね。自分の投票の1票があるわけだから。それがジャーナリストの最後の自分の政治的判断だと思うのです。それを示してこそ、意見を言っている真意の一番奥深いところが国民に伝わるのではないかというのが1つ思っていまして。それが言えないで、どれも良い所があるけど、どれも悪い所があるよねとお茶を濁して「はい終わり」みたいなもので国民が最後つかみ所がなく終わってしまうのは、非常にジャーナリストとしては責任感が足らないのではないかと。

田原: こんな国は日本だけ。アメリカで言えば(新聞の)「ニューヨーク・タイムズ」は民主党支持です。「ワシントン・ポスト」は共和党支持です。何処のジャーナリズムだって「何党支持」とちゃんと言っています。日本みたいに公平とか中立なんて言っているのは、こんなのはインチキだっていうこと。

津田: 日本の新聞でちゃんとやっているのは産経新聞くらいですか。

田原: 産経はあれは・・・。

津田: わかりやすく自民党支持ですよね。

田原: あれは自民党ではない。

津田: 違うんですか。

田原: 反朝日なのよ。

津田: なるほどね。

会場: (笑いが起こる)。

田原: 朝日新聞の言うことに全部反対しているのが産経新聞。

津田: でも一応立場ははっきりはしているということ。

田原: だから"反朝日"。

津田: 反朝日という立場がある。

田原: 朝日がどちらかといえば真ん中より左だから、産経は真ん中より右。産経は右ではない、"反朝日"だけなの。

津田: なるほどね。

田原: もっと言おうか、具体的に。鹿内(宏明)さんという人が産経新聞の社長になってきた。売れないまったく。「何か売る方法はないか」と。そうしたら、その時の論説委員で青木さんという人がいて、(売る方法を)考えて「朝日新聞に全部噛み付いたらどうですか?」「面白いね」これで決まった。つまり産経が"反朝日"なのは営業方針ですよ。思想じゃないの。

津田: ビジネスモデルとして、朝日嫌い、エリート嫌いの人に買ってもらおうという。

田原: だから営業方針。

津田: なるほど。ダテさん的には、個人のジャーナリストと、またテレビとか新聞というのが両方あると思うのですけど。新聞はまあ多分分かるんでけど、そういう立場を明らかにすることができるのだと思うのですけど。テレビだと一方で放送法にいろいろ縛られていたりとか、公共性というのもあるので、立場みたいなものを、ある種アメリカのFOX(テレビ)みたいに、あそこまで明らかに「右です」みたいなものを日本の場合やりづらいと思うのですけど、その辺りは個人とテレビと新聞とかいうのでどう・・・。

ダテ: 公共性というか、その場に立つということは、ある程度の電波に乗ることを本人は覚悟の上。あらゆる批判、反論覚悟の上という部分はあると思うのです。自分が知りたいことというのは、その人はジャーナリストはあらゆることを勘案して、最後は何処かに入れるでしょうと。

田原: 当然入れる。最後は何処かに入れるどころではない。実は今から10年ばかり前に、ワシントンで5年くらい続いたのだけど、アメリカのジャーナリストと日本のジャーナリストで数時間毎日ディスカッションをした。その時僕はアメリカのジャーナリストに、「この中で政治家に献金している人、手を挙げて」と言ったら全員手を挙げた。つまり、献金するというのは個人の政治家に献金しているわけだから、どこを支持するかがはっきりしているわけ。日本のジャーナリストに、「この中で政治家に献金している人は手を挙げて」(と言ったら)、躊躇なく誰も挙げなかった。僕はその時から献金しなければいけないと思った。

■「民主も自民も国民に好かれたがっている。これが一番最悪」

津田: 菅(直人)さんも個人的な付き合いがあって、元々TBSで下村健一さんが(内閣官房内閣)広報官として去年の夏くらいから就職をしたわけですけど、ある意味ジャーナリストとしては、菅さんに肩入れするような形になるわけで批判とかもされていますけど、あれは正しい態度ということなんですか。

田原: 彼が正しいと思っていればそれでいいんじゃない。世の中には正しいとか間違っているということはないと思う。「正しい」なんて言っている奴は間違いだと思う。

津田: なるほど。

田原: つまり、「正しい」とか「間違っている」というのは危険なことなんですよ。つまり例えば(アドルフ・)ヒトラーという男がいる。彼は絶対正しいと、彼はつまり「資本主義はダメだ」と「競争はダメだ」と。だから国家社会主義だと。(ヨシフ・)スターリンもそうだね。国家社会主義が正しいとなると、「競争の自由」なんて(言っている)奴は全部監獄へぶち込む。これはとんでもない。僕はやっぱり世の中で大事なのは言論表現の自由だと思っているからね。

津田: そういう意味では、とにかく良い悪いではなくて、立ち位置を鮮明にしてから言論を言うというのは当たり前のことだと。会場で何かこれについてお感じに・・・。

田原: 反論は?

津田: そこにいる彼に。お名前お願いします。

フルハシ: フルハシです。政党を選ぶと言っているのですけれども、政党自体が思想とかきちんと明らかにしてないので、そこら辺でジャーナリストとして支持できないのではないか。

田原: どの政党もダメなら自分で作ればいいんじゃないか。どう?

フルハシ: おお。ジャーナリストとか、ジャーナリストということは・・・。

津田: じゃあフルハシさん的には、どういうジャーナリストだったら支持したいなと思うのかというのをおうかがいしてもいいですか。

フルハシ: いや、自分も同じく思想をきちんと言ってくれる人なんですけど。政党の側がダメだから言ってくれないのではないかと。

田原: 何がダメなの? どういうことを言ってくれればいいの、政党が。何が曖昧なの?

津田: 多分、だからマニフェストみたいなものをもっと分かり易くしてほしいということなんですか? 政党の言ってるマニフェストとか。それかあとはジャーナリストとしての立場を表明するのは必ずしも・・・。

田原: ちょっと簡単に説明するね。自民党という政党は、一応資本主義を標榜している。憲法は改正したほうがいいと思っている。自民党はね。今の自衛隊はインチキだと思っている。それに対して民主党は綱領がない。民主党がどういう政党かという綱領がない。だからバラバラなんだ。だから例えば自民党がそういう政党で自民党がつまらないと思ったら、民主党に何をやってほしい? 何を言ってほしい?

津田: ちなみにじゃあ支持政党ってありますか?フルハシさん。

フルハシ: 自民(党)寄りです。

津田: 自民(党)寄り。「寄り」ということは別に自民党を100%肯定しているというわけでもない?

フルハシ: いや、議員によってまったく違うことが問題なので・・・。

田原: 違わないよ、自民党は。

津田: でも「党議拘束」というものがあるから、考え方はみんな違っても最終的には1個にまとまっていくのが政党というものなので。そこのまとまっている意見が、やはりまだフルハシさんには見えづらいということなんですか。

田原: 自民党に何を言ってほしいの? 「こういうことを言え!」と。

津田: 「こういうことを言え!」と言うとジャーナリストになれるんだよ。

フルハシ: いやー・・・。

津田: だからそこまではまだ・・・。

田原: あのね、自民党というのはインチキな政党なんだよ。つまりね、資本主義を標榜してるわけ。資本主義を標榜していれば、やっぱり競争は自由なんだ。機会は平等、競争は自由なの。ところが自民党は競争はダメだと思ってる。さらに言うと自民党は国民に好かれたいと思ってる、みんな、これがインチキなんだ。昔、竹下登という男がいて総理大臣になった。彼が私に言ったことがある。「国民に好かれたい政治家は野党の政治家になれ。政権与党の政治家は国民に嫌われるという覚悟をしろ」と。それが今、自民党も民主党もみんな国民に好かれたいと思ってる。これが一番最悪だと思っている。

津田: ポピュリズム(民衆主義。大衆迎合)になっているということですね。ちなみにコメントで、すごい明るいコメントがあるのがサイリウムというやつなんです。「サイリウム」といってユーザーがお金を払うとすごい目立つ綺麗なコメントを出すことができるらしくて、さっきサイリウムでお金を払って「フルハシさんがんばれ!」というコメントがあったので、ぜひ頑張って。有料なんですよ。フルハシさんを応援しているコメントも出たので、ぜひ頑張っていただければと思います。

津田: ちょっと次の意見にいきましょうか。本日のテーマ「次世代のジャーナリズムとは」。続いてはこちらの意見です。「情報査定屋となるジャーナリスト」。これはネコメさんの意見ですね。ネコメさん会場に・・・いらっしゃいましたね。ちょっとどういうことか、「情報査定屋」というのは。

ネコメ: 情報の価値というのが、僕の中では3つ条件がありまして、1つは興味があること、つまり趣味とか。他には(2つ目が)多くの人が興味があること、(3つ目は)話題性があること。

田原: 1と2は同じじゃない? 「興味があること」って。

ネコメ: 例えばパソコンが好きだったら、パソコンの雑誌を買ったりしますし、それ以外の情報だったらツイッターで話題だったらそれに目を通したりしますよね。他の人が良く見てるから面白いんだろう。もう1つは自分が支持している人が言った発言というのに価値があると思っていて。最初に言った2つはいいんですけど、最後の、「誰かが言ったことによって価値が発生する情報」というところで、ジャーナリズムというのがすごく重要ではないかと考えています。

 自分はまったく興味がないけど、例えば原発に関して賠償法とかが問題になったとして、例えば津田さんがそれに対して何かつぶやいたり扱っている記事を紹介したりすれば、僕が津田さんのことを支持していたとして、「津田さんが言うのだから、これは重要な情報に違いない」という形で情報を選ぶ。それに価値があるんだと思う。

田原: 君は賠償法に興味がないと言ったけど、興味ないわけにはいかないよ。なぜかというと賠償を東京電力がやるという限りは国民は関係ない。ところが今、東京電力だけではできない。国がある程度出すと。国が出すということは君らの税金から出すわけ。だから自分たちの税金から東京電力がやったあんなエラー、失敗ね。あれに税金を自分たちが出すのか。あるいはそんなのは東京電力だけでやってダメなら潰れろというのか。関心ない?

ネコメ: 実際、僕は最初は関心がなかったんですけども、あるブロガーさんが「それは国民が支払うのは当たり前である」と言っていたんです。

田原: なんで当たり前?

ネコメ: それは、えっと・・・。

津田: ネコメさんは「信頼できる人」を探したい?

ネコメ: そうですね。

津田: あとはジャーナリストというのは自分で取材して意見を発表するという仕事があるのだけれども、もう1つの今のネット時代の役割というのは、これは正しそうな情報だというのをある種右から左に選んできて流すというような役割とも言われているわけで。でも情報を集めてきて、単に流してるだけというのがジャーナリズムになるんですか?

田原: 第一情報集めてないよ、日本のジャーナリストは。

津田: おお。

田原: 昨日(29日)の新聞を見たら、みんな海江田(万里氏)が(民主党代表選で)「当選だ」と書いてある。でも当選したのは野田(佳彦氏)だよね。間違えたらやっぱり今日の紙面で謝罪すべきだ。「間違えました」と。責任とって社長辞めますとか、何でもいいんだから。

津田: ははは。

田原: 謝罪もどこもしてないでしょ。

津田: その意味で言うと、NHKの(民主党代表選挙に関する)誤報の問題、昨日すごく話題になりました。あれはどう思いますか?

田原: あれは誤報だということを各新聞が書いてるじゃない。NHKも何か言うでしょう、きっと。だけど昨日、海江田と書いたのは全部間違いだから、それは謝罪すべきだ。また今日のうのうとして「野田だ」って言ってるでしょ。なんだこいつらと思うよ。

津田: そういう、今ネコメさんが言った論点って面白いと思う。情報を信頼できる人を流すということをジャーナリストと。はい、元気よく手を挙げたので。

ワタナベ: ワタナベと申します。間違ったら謝るというのはすごい僕も今共感した。さっきの自分の支持政党を意思表明するというのもすごい大事だと思うんですけど、僕は顔写真ぐらいまで出してもいいと思う。

田原: 何の顔写真?

ワタナベ: 書いた人の。

津田: 新聞とかで。名前だけじゃなく。

ワタナベ: 自分の顔を見られて嫌なことを書けないと思うので、そういう風にすればウソをついたりしたら。

田原: うん、わかった。新聞記者はジャーナリストなんだと思ってない、社員だと思ってる。

津田: 自分のことをね。

田原: だから顔写真を出さない。名前も出さないでしょ。毎日新聞は出してるけどね。

津田: 最近増えてはきているけど。共同で書いてる場合、誰が書いてるかわからない。あとはニコニコ生放送とかが記者会見に入るようになると、質問しますよね。質問した時にそれが抜かれるんですね、大手メディアが。それがテレビの記者とか新聞記者がすごい嫌がっている人が多い。あれは一体何なんですか。

田原: サラリーマンだから。

津田: サラリーマンだから。

田原: サラリーマンていうのは有名になるのは良くないんですよ。

津田: 目立ってしまう。

田原: 目立っちゃいけない。新聞記者でもね、目立つ人間は大体上に上がっていない。

■「やっぱり既存のメディアに一回就職したほうがいい」

津田: ということで、じゃあ次のテーマいきましょうか。次のご意見、「次世代のジャーナリズムとは」。続いてはこちらのご意見です。「ソーシャルジャーナリズムとメディアジャーナリズムの共存」ということで。ヤザワさんのご意見ですね。ヤザワさん、こちらへ。じゃあちょっとご意見を。

ヤザワ: はい。もう冒頭津田さんが仰られた通りなんですけれども、ソーシャルジャーナリズムとメディアジャーナリズムという形で、ソーシャルジャーナリズムというのはツイッターであったりとか、いろんなブログとか、そういった形でもう個人でどんどん展開していくもの。それとメディアジャーナリズムというのは、マスコミとか新聞社とか、そういったところを代表にいろいろあったりするんですけれども。そういったものがどんどん共存していくんじゃないかと。ただし、メディアジャーナリズムのほうは、どうしても田原さんがおっしゃられたようにサラリーマンなので・・・。

津田: 「旧マスコミ」ということですよね、要するに。

ヤザワ: そうです。どうしてもサラリーマンなんで、稼がなきゃいけないんですね。生活していかなきゃいけないと思うんですよ、そのジャーナリズムを通して。だから結局それは形は変わらずにどんどん廃れていくのかなと。

 一方で、やっぱりソーシャルジャーナリズムというのもそういうことをやっている人たちもいるんですけれども、そういった人たちも稼がなければいけないと思うのです。ですから、やっぱり力がある人がどんどん頭角を現していって、その人たち自身がもうメディアみたいな形になっていくというのがどんどん進んでいくんじゃないかなという風に思っていて、現在でもそうなりつつあるのかなと。田原さんだったり、津田さんとかはやっぱりそれで生活しているわけですから。そうなりつつあると思うんですけれども、それがどんどん進んでいって、最終的にはその二つが共存するという形になっていくのかなと個人的には思います。

津田: 僕も何か割とそういう風にマスコミのジャーナリズムと、こういうフリーの人間のジャーナリズム、新しいジャーナリズムが共存とか融合していくのかなと2~3年前まで結構思ってたんですけど、最近もう「無理じゃね?」と思うようになってきてるんです。「無理かなぁ」っていうふうに。

田原: え、何が無理?

津田: 何か共存というのが。例えば、テレビ局がもっとネットの声を聞き入れて、ネットにもどんどんコンテンツを出していってみたいな、こういうニコ生(ニコニコ生放送)みたいなことを、例えばNHKとかフジテレビがやったりとかするのかなと思っていたんですけど、それはちょっと無理じゃないかなと最近思い始めたんです。

田原: 実はどのテレビ局もニコ生みたいなことをやりたいの。やろうと思っている。テレビ局はこのままやったら衰退だということも分かっている、みんな経営者も。

津田: 分かっている、はい。

田原: ところが、やろうと思うんだけど怖くてできないの。

津田: それはネットが怖いんですか。何が怖いんですか。

田原: だってこういう場で僕がこんなことをしゃべるじゃない。こういうことをテレビでしゃべられたらアウトじゃない。

津田: 何でアウトなんですか。クレームが来る?

田原: だって、例えばフジテレビの放送で、フジテレビの日枝(久株式会社フジテレビジョン代表取締役会長)なんて、(番組で)「会長が良くないよ」と言ったらやっぱり困るじゃない。

津田: やっぱり何か自主規制の空気があるということですね。

田原: そう。だから僕はむしろ、ソーシャルジャーナリズムのチャンスだと思う。例えば、皆さんご存知のように収監された鈴木宗男(前衆議院議員)という男がいる。僕は鈴木宗男が収監される時に、彼の「ラストメッセージを聞きたい」と。それで幾つかのテレビ局に「この鈴木宗男のラストメッセージを聞きたいからやれよ」と。(テレビ局は)全部拒否した。それでニコ生に言ったら、喜んで「どうぞ」。金曜日に鈴木宗男さんのラストメッセージを70分やった。それで月曜日に収監された。こういうことがニコ生は自由にできるわけね。堀江(貴文元ライブドア社長)さんだってそうだよね。だから、そういうことができない既存ジャーナリズムはやはりどんどん廃れていくと思う。

津田: 今日せっかくいっぱいこうやってジャーナリズム志望の若い人が来ているので、まだ学生さんも多いと思うんですけど。今後就職するときに、いきなりそういうソーシャルメディアに、ニコ生とか、ツイッターとか、メルマガとかも含めて、「ネットとかソーシャルジャーナリズムでいきなり勝負していくよ」と言うのか、「いや、それでも一応何かいろいろノウハウとかを学ぶために、テレビとか新聞とかとりあえず(就職試験を)受けてみようかな」というのと、どっちのが多いのかなと思って。

田原: 僕はね、それは現実主義なので、やっぱり既存のメディアに一回就職したほうがいいと思っている。

津田: ああ、これは現実的なアドバイスですね。

田原: 既存のメディアに就職して、技術があるよね、基礎的技術は持った方がいいし、どこがいかにダメかということをよく分かったほうがいいと思う。

津田: 分かった上で飛び出したほうがいいということですね。

田原: そうです。

津田: ちなみにこの(会場の)中で既存のメディアに就職とかを考えている人ってどれぐらいいます、今。

田原: 少ない。

津田: ちょっとマイク持っていただいて。何でなのか? 僕も大学でジャーナリズムを教えているんですけど、田原さんと同じで1回新聞とかテレビとかに行ったほうがいいよと言っているんです。学ぶのに効率的だというのもあるので。なぜそう思ったのかなと思って。

来場者A: いま田原さんが仰った通り、やはりいきなり文章を書くだとか、そうやって発信していくためには、やはり文章力だとか、猪瀬(直樹)さんも伝えていますけども、「伝える力」というものが非常に重要だと思っているんですね。なので、今いきなりフリーになってしまうと、やっぱり経験というか稚拙な文章しか書けないと思うんです。やはり経験を積まないと。ある程度のところまでいかないと、自分としてはまだ人に分かりやすく伝えられる文章というのが書けないと思うので。ジャーナリストというのはやっぱり事実を伝えていくというのであるならば、やはり簡潔に言って、分かりやすく・・・。

田原: うん、そういう技術は大したことないの。僕が言いたいのは、小説は別よ、想像力だから。ノンフィクションのジャーナリズムにいくなら、2つ条件がある。2つあれば二重丸。1つあれば丸。両方なければもうダメ、商売にならない。一つは誰も今まで発見しなかった、誰もそのことを言わなかった新しいことを言う。新しいことを発見する。

 もう一つ、世の中がみんなこういう風に切っている。「(島田)紳助はダメだ、ダメだ」と切っている時に、まったく新しい切り口をやる。新しいことを、今誰も言わなかった新しいことを発見する。事実をね。あるいは、そのことを言う。あるいは今までみんなが言っているのとまったく別の切り口、別の見方を出す。2つあれば二重丸。1つあれば大体商品になる。どっちもなければ商品にならない。

津田: そういうものを鍛える時に、新聞記者で訓練を受けるとか、テレビで報道をやるというのは訓練になると思うのですけど、一方でもうどんどんそういう現場で育てる力が今、新聞社もテレビも・・・。

田原: ない。

津田: なくなってきていると言った時に、まだ大丈夫ですか。あと何年ぐらいはもつと思いますか。

田原: 何が?

津田: 今、田原さんが就職して学んだほうがいいんじゃないかって言っていたんですけど、今もう結構弱体化している中で、今(新聞社やテレビ局に)入ってもそれはまだ学べますか。

田原: 多少は学べると思うよ。ダメだっていうことを知るだけでもいいじゃない。

津田: なるほど。

田原: もっと言うと、自分の経験からいくと3年はいたほうがいい、(新聞社やテレビ局に)入れば。

津田: 3年。

田原: 3年いないと分からないよ。

津田: 3年いて、そうすると取材のやり方とか伝え方とかですよね。

田原: 何よりダメなことが分かる。

津田: なるほど。やっぱりコメントなんかでも、とにかく別に文章の上手い下手とかじゃなくて、「伝え方が重要なんだ」という話があったんですけど。

田原: 上手い下手は天性の問題。ほとんど。やっぱり文章が下手な人間はいつまでたっても下手。僕なんか典型だけどね。

津田: でも文章が下手でも、伝える時に田原さんが気を付けていることというのは?

田原: さっきの誰も言わなかったことを言う。

津田: ああ、なるほどね。

田原: あるいは、誰もが言わない見方を示す。どっちか。2つあれば二重丸。

津田: なるほど。ある意味ジャーナリズムというのは視点の提供でもあるということですね。「見方の提供」ということ。

田原: そう、見方の提供。

津田: なるほど。でも多分今は、まだここにいらっしゃる方は、そういう見方とかはまだまだ鍛えられていないと思うのですけど。

■「家に街宣車15台がきたので『ディスカッションしよう』と」

田原: 例えば、もう皆さんご存知だけど。今度、野田という男が総理大臣になった。何で野田が当選したと思う? これ明日あたりの新聞から書くと思う。どこも書いていない。野田って総理大臣になったでしょう。「なぜなった」と。昨日までは新聞はみんな海江田だと言っていた。その前は前原(誠司氏)だと言っていた。何で野田が総理大臣になったのか、何で代表になったのか。単純なんですよ。それは海江田という男があまりにも小沢一郎のことを、まるで小沢一郎がしゃべっているみたいなしゃべり方をしちゃうわけ。これで小沢と鳩山(由紀夫氏)はダメだと、みんな思ったわけです。小沢、鳩山がダメだから海江田はダメだと。

 それからもう1つ。前原という男が(外国人から)お金をもらっていることが分かったわけ。これも前原はバカだから、僕は前原にも言っているんだけど、「そんなことはもっと2ヶ月でも3ヶ月前に言えよ」と。何でこんな選挙ぎりぎりに、まるで落としてくださいと言わんばかりに言うんだ。それで前原に聞いたら「いや、事務所がいいかげんで」って。そんなことは人のせいにするな、おまえが悪いんだと。その前原を推した仙石(由人)もダメだという話なんです。だから、小沢と鳩山と仙石と前原がダメとなって、それで野田が浮かび上がったと、これだけ。こんな簡単なことを意外に言ってないよね。なぜか。取材していないから。

津田: うーん。なるほど。

津田: そうすると、さっきネコメさんの意見で、「信頼できる人を探すことも1つのジャーナリズムの道ではないか」みたいなのも論点としてあったと思うのですけれど、でも視点を持つということは、誰かの意見に追ずるのではなくて、自分の目というものを信頼できるように鍛えていかなければならないわけですよね。

田原: それは大事です。要するに「読み取る力」ってあるよね。読み取る力というのは大事ですね。新聞読んでも、雑誌読んでもね。

津田: あとは例えば誰も知らないことを伝える時に、「これは誰も知らないのではないか」というのを嗅ぎ分ける力とかというのは、どうすれば鍛えられるのですか。

田原: 一番いいのは、直接取材です。

津田: 直接。

田原: 僕はほとんど、こういう所で喋っているのは、全部1次情報です。2次情報以下のものは信用しない。原則として。

津田: とにかく現場に行って人に話を聞くということは・・・。

田原: 現場行って、当事者に聞く。

津田: やはり、それの繰り返しでしかない。

田原: 僕らは多少、名前が売れて来たので、割と当事者に聞きやすいのだけれど。まったく無名の時には、僕はある政治家に・・・もっと言おうか。実は僕はテレビ東京という所にいた。テレ東の開局の時に私がはったりをかましたわけ。「サイエンスフィクションドラマ」をやろうと。原作は(作家の)安部公房、安部公房・・・知らない人が多いかな。当時は一番有名だったのだけど。安部公房に書いてもらう。「安部公房が書くなら、それは賛成だ」とみんな賛成した。賛成した理由は「絶対書きっこない」と思ったわけ。それで僕は安部公房に電話した。けんもほろろに断られた。それで安部公房の家に朝、行った。僕は毎日1ヶ月は行こうと思った。たった5日間で、安部公房が出て来て会ってくれた。1日目、朝から晩まで居るのですよ、2日目も居るのですよ、3日目も居て、たった5日目で安部公房が出て来て「まあ、入れよ」と。どうも5日とも見ていたらしい。「あの野郎、いつまで粘るか」と思って。安部公房が「入ってくれ」と言って、そこは企画ですよ。安部公房が驚くような企画をやれば。それで(話に)乗ってくれた。

 それでなんと安部公房の作品で、これ皆さん知らないかもしれないけれど、当時フランキー堺という男がいた、加賀まりこという子がいた。この2人は売れっ子だった。安部公房の条件は「フランキー堺と加賀まりこが出るなら書いてもいい」と。僕はまったく(2人を)知らない。それでまた2人のところに通った。これがまた僕も意外だった。2人とも安部公房を尊敬しているわけ。「本当に安部さんが書いてくれるなら出てもいい」と。それで安部さんのところに行って、「出るよ」と。はったりだったのね、まったく。はったりが成功しなかったら、これを「詐欺」と言う。成功すると何となくこれは「成功」になっちゃう。まあ、余計なことだけれども。こんなもんですよ。

津田: やっぱり、ある意味行動力と、こういうやりたいという思いを強く持つということが。

田原: もう一つ言うとね、(芸能界を引退した島田)紳助さんみたいなことが僕もあった。僕は「サンデープロジェクト」は生(放送)だから、右翼は攻撃するだろうと、批判するだろうと承知で言った。生番組ですから。それでやってきた。どんどん攻撃してきた。ぼくの家へ街宣車15台が2回来た。局へはもう毎日のように来た。それで僕は街宣車に、来たから行って「おまえらそんなところでわあわあ揉めたって無駄だ。くだらない。お前らの親分を出せよ」と言った。そうしたら「親分がいない」と。またおかしいので「親分の電話番号教えろ」と言ったら、なんと教えたわけ。それで僕は親分に電話して、「あんなくだらない街宣車なんて寄越すの辞めて、言いたいことがあるなら僕と論争しようじゃないか。ディスカッションしよう」と。どういうわけか右翼の連中が面白いと思ったのだろうね、それで(東京の)九段会館で200団体対僕1人で、2時間半やった。

津田: ははは。

田原: またあと57団体が「俺たちともやれ」と言うので、高田馬場のホテルで3時間やった。右翼って面白いね、やるとあとは握手攻めなの。「よく来てくれた」と。どうでもいい(話)のだけど。僕はジャーナリストだからね、体張っているわけだから、何も失うものがないからできる。タレントは無理だよね。

津田: やっぱり今、学生さんとかからミニコミとかで僕も取材の依頼とか来るんですけど、メール1本終わって返事していないと、それで終わっちゃう。

田原: 終わっちゃう、それはダメだよ。

津田: やっぱり何度も嫌がられてもうざいって思われても、何度も行くっていうことですね。

田原: 今、新聞の取材がダメになった最大の理由は何だと思う。携帯(電話)ができたから。(記者は)政治家全部の携帯の番号を持っていますよ。携帯にかけたら出る。携帯で取材をしたら答えるよね、それで書いちゃう。携帯なんていい加減なことしか答えないでしょ。携帯で聞いたらそれで1次取材したと思っている。全然違う。だから新聞にろくな記事が出てこない。だから「(民主党の新代表は)海江田だ」なんて話になるわけだ。余計なことだけど。

津田: だから本当にジャーナリズムは何年経っても行って、でもそこに行くためにいろんな便利なツールとして、あとは行って、知り得た1次情報を広めるためには全然ネットとかも便利だけれども、そこの転倒が起きてはダメということですね。

田原: 僕が最近よく使う手は、学者にも会いたい。携帯があるからこそ、まずは最初は手紙を書くんだよね。手紙を書いて電話して反応を聞く。意外に効きますよ、これは。

津田: でも確かにそれは具体的なノウハウとして結構参考になるかと思うのですが。時間も迫って来たので、次のテーマに行きたいと思います。次のご意見を出してください。「ネット発ジャーナリズム」という、これはトモさん。会場のどちらにいらっしゃいますか。じゃあちょっと。

トモ: これは単純に言っている通り、「ネットから発するジャーナリズム」で、普通のテレビとか新聞とかだと1次情報、通信社からの情報をそのまま流すだけというケースが結構あるのではないかと思っていて。そうじゃなくて、ネットのブロガーさんとか、例えば著名な田原(総一朗)さんとか、ITジャーナリストの佐々木俊尚さんとかが書いたりする情報を読んだほうが違う視点を得られてすごく面白いかなと自分的に思っているのです。

■「暴力団新法ができたとき、僕はテレビで大反対した」

津田: 今日は田原さんとの激論ディスカッションなのですけど、このまま行くと最後まで田原さんを打ち負かせそうな人が誰もいない。大丈夫ですかね。

田原: 今日期待したのは、実はこの間、「朝まで生テレビ」で放射能の話を僕が言って、これで当然誰か突っ込んで来ると思っていた。ネットでいっぱい突っ込まれているから。歓迎だからガンガン言ってほしい。「お前、何だ」と。

津田: じゃあちょっと、ガンガン言ってください。

スモールデザイン: スモールデザインといいます。まず冒頭の話も全部突っ込みたいのですけれど、紳助さんもまずいと思うし、フジテレビの韓流をゴリ推ししている感じも、僕はダメだと思うのですね。

田原: 何でダメなの。アメリカの映画も観ちゃダメなの。

津田: ちょっと(話を)聞いてみましょう。

スモールデザイン: せっかく紳助さんのTシャツを着て来たので、まず紳助さんの話からしたいのですけど、記者会見で「暴力団の方との写真も手紙もないから」と言った翌日に、警察が「いや、あるよ」という・・・。

津田: 今日はメールとかも出て来ましたね、100通くらい。

田原: 「週刊朝日」がメールを全部出したね。

スモールデザイン: それって記者会見で「(写真も手紙も)ない」と言って「あったら切腹する」くらいのことを言っておいて、結局「あるじゃん」という。

田原: 全然大したことない。だって彼の問題は、さっき言ったように右翼からやられた時に、間接的に暴力団に頼んだと。彼は写真は多分、撮られたことを知らなかったのだと思う。僕だって右翼や暴力団をいっぱい取材しているから、それは僕もきっと暴力団との写真はいっぱいあると思うよ、きっと。それがどうしたって感じ。手紙くらい書いたっていいじゃない。紳助さんがお金くれとかお金を渡すとか、これはダメだと思う。

スモールデザイン: いいと思うのですよ。だから正直に話すと言って、それを話さずに誤魔化したではないか。

津田: 会見で言ったことに嘘があったのではないかと。

田原: 大した問題じゃないじゃない。そんなことがなぜ「大問題」だよ。

津田: ちょっと他に「大した問題である、大した問題だ」という人、誰かいますか?

スミヨシ: スミヨシと申します。今日だか昨日だかに見たニュースで、暴力団の人たちを自分の持っているお店なりで接待したというニュースを見かけて「さすがにそこまで親密にしているとまずいのじゃないかな」と。

田原: 接待したかどうかは分からないけど、「暴力団が来た」とは言っているよね。お店に来るのはしょうがないじゃないか。

スミヨシ: 接待するとなると、もう完全に自分が招いてもてなして、何か便宜を図ってもらうのかは分からないですけど、そういう匂いを感じるなと思うのですけど。

津田: 今のコメントなんかだと「芸能界なんてそもそも暴力団あってのものじゃないか」というコメントもあったのですけれども。

田原: 僕はそうは思わないけどね。だけど芸能プロダクションはね、結構暴力団とつながりがある所が多いと思う。

スミヨシ: それはなぜ思うのですか。

田原: 元々は芸能界というのは全部暴力団が仕切っていたんだ。テレビ局だって音楽のいろんなのをやるのも、昔は全部暴力団が仕切っていた。美空ひばりの事件が有名だけどね。元々が。今はそんなではないよ。

スミヨシ: 今ここで大騒ぎになっているのは、そういう過去というものを知らないがために、華やかな芸能界というのと暴力団というのが、やっぱりまだ付き合いがあるのだと公にされちゃったがために、このすごい反応というか、僕ら世代の若者がすごく騒いでいるという印象なのですけど。

田原: だけどこんなことになったきっかけは、警察が「暴力団新法」というのを作った。それまでは自由だった。僕は「暴力団新法」が出来た時、にテレビで大反対しましたよ。つまりそれまで警察は暴力団に非常にお世話になっている。例えば、具体的に僕のは全部1次情報だから言う。例えば警察が「ピストル狩り」をやるわけ。拳銃を。暴力団のどこかからちゃんと拳銃が出て来るわけ。これは、つまり警察がお願いして、暴力団が「じゃあここに7丁、ここに3丁置いておくよ」と。それで手柄を立てさせるの。それで例えば薬の問題。薬なんかはみんな暴力団とつるんでやっていたということを、警察からも暴力団からも僕は聞いている。それが暴力団新法で急に切るというのだね。

津田: 付かず離れずだから、警察も利用していたということですね。

田原: 完全に利用していた。

津田: それが突然、法律が変わったことによって使えなくなった。

田原: もっと言えば、君らは知らないけれども、戦後、日本が戦争に負けて、言っちゃ悪いけど在日の朝鮮の人とか中国の人がでっかい顔して、闇市なんてこういう人がやっていたのだよね。でもそこで喧嘩が起きるわけだ。警察はまったく介入できない。その時に警察は暴力団の手伝いを得て、浜松事件とか幾つもあるのだけど、解決した。それが急に「暴力団新法」を作るのはおかしいという風に僕は思った。

津田: 暴力団新法が出来たことによって・・・。

田原: 急に暴力団が「悪」になった。

津田: それで、どこまでどういう悪影響が出てきましたか。

田原: 東映なんか全部暴力団映画じゃないか、やくざ映画。鶴田浩二とか高倉健とか。みんなあれ暴力団映画でしょ。あんなもんは暴力団と関係あるから出来るんじゃない。それが急に「ダメだダメだ」と。警察の言うことをなんで何でも聞かなきゃいけないのだ。悪いこともあるのだよ、警察は。

津田: それでやっぱり悪影響も出て来ましたか。

田原: 出ていますよ。あれだって、何で(島田)紳助の事件が十数年前の事件なのに、いま急に警察があんなメールを出すのだよと。裏があるに違いない。何で今あんなメールを出すのだと、吉本に。これはやっぱり基本的に紳助を潰そうという「裏」があるのだと思う。こういうことをマスコミは追究しない。

津田: そこを掘っていくと、また一つ新しいジャーナリズムが生まれて来るってことですね。

田原: そうだよ。今までジャーナリストが皆やっていないことをやれば、これは商品としても価値がある。君らもそれをやれば乗って来ると思うよ、どこでも。

津田: まあ、いきなりこのジャーナリスト志望の学生にそれはちょっとテーマは重すぎるかなという気もしますけど。

■田原総一朗が「朝生」で人の話をさえぎるのはなぜか

津田: ちょっと次の意見行きましょうか。「個の確立と再構築」ということで、これはどちらのご意見かな。祈られ続ける就活生さんですね。就活をしている人っぽいですね。どちらにいらっしゃいますか。どうぞ。

祈られ続ける就活生: こんばんは。

田原: もう、こんばんはか。

会場: (笑いが起こる)。

祈られ続ける就活生: (「個の確立と再構築」というテーマ)これは意味としては、出版社不況で単純に大手出版社の何社かがもし仮に潰れたとして、何人かの記者さんが溢れ出て来て、その中の何人かがジャーナリストとして活躍して、その中でソーシャルメディアが出て来てうまく融合していったりするのかなというのと、単純に左から右に流していく情報というものが、その出版社不況とかによって非正規雇用とかになって変わっていくのかなという風な意味を込めて書かせていただきました。

田原: 僕はいま出版社の一番の脅威は出版社不況じゃない、電子ブックだと思う。

津田: 電子書籍。

田原: 電子書籍が、アメリカはすごい普及しているよね。日本はあまり普及してないけど。電子書籍がどんどん普及すれば、出版社いらない。取り次ぎもいらない。印刷会社もいらない。大変だよね。それで随分安いから、ライターのほうには相当印税が良くなる。これが普及した時に、「出版人」は必要なの。つまりライターに企画を出して、相談して、どういう物を書かせようかと。だけど出版社はいらないよね。

津田: これ、ツイッターでも意見があがってきて、ネット発のジャーナリズムというのが、田原さんが言っている1次情報みたいなものに限られてくるのだと、媒介者としての記者はいらないということになってしまうのじゃないかという突っ込みがあったのですけど。逆に出版社みたいな編集者みたいなものと、そういう1次情報を拾ってくるジャーナリストが必要だと。

田原: だから編集者は必要なのね。それは大江健三郎から始まって、誰でも作家でも何でも猪瀬(直樹)もそうだけど、全部出版社の編集者が育てているのです。

津田: 編集者としての必要な能力とか適正って何だと思いますか。

田原: やっぱり「週刊ポスト」が猪瀬に金ガンガン出して、書かせていたの連載を。ああいうことをさせる男。

津田: ファイナンスですよね。こいつは才能がある、調べる能力があるといったらそれを育てる。食わせる。

田原: 大江健三郎を育てたのは「文藝春秋」ですよ。「文藝春秋」の編集者は僕もよく知っているのだけど、こいつは大江健三郎を育てる以外はまったく脳の無い奴だけど、定年までちゃんといられた。大江健三郎を育てたから。そういう編集者が必要だと思う。

津田: というと、さっきネコメさんが言っていた「この人の発信する情報は見る目が正しそうだ」というような、そういうのを選り分ける人は編集的なセンスがあるということかもしれませんね。

田原: それは僕らでもそうですけど、(原稿を)何本かまず出すよね、まったく無名の時に。やっぱり編集者ですよ。

津田: 例えば、雑誌とかだと編集者って分かりやすいのです。これを新聞とかテレビに置き換えた時に、編集者的存在というのはどうなるのか。

田原: あると思う。新聞社もあると思う。やっぱり新聞社が育てるということはあると思う。

津田: 記事は書かないけれども、紙面を作る時に上手くまとめるという、そういう役割がもしかしたら出て来るかもしれないということですね。

田原: 例えば「新聞小説」というのは、相当作家にとって大事なものです。「新聞小説」を誰に書かせるかというのはとても大事なことだと思います。

津田: なるほど。今日は会場に結構女の子も沢山来ているので、誰か女の子の意見も聞いてみたいなと思うのですけれども。女性で田原さんに今まで聞いた中で物申したいことあるとか、質問でもいいので、何か意見がある人いますか。多分、手が挙がらないと、田原さんのほうから適当に当たるような気がしますけど。

会場: (笑いが起こる)。

田原: 手が挙がらないというのは、いまの話がつまらないということだね。

津田: ああ、そうなのですか。そんなことはないと思います。

田原: 大体そうなのです。

津田: 多分田原さんの話を聞いていて、みんな結構うなづいてはいるので、つまらないということはないと思うのですけど。何かありますか。

田原: (会場の女性を指名し)何かないか。

来場者B: 質問なのですけれども、例えば「朝まで生テレビ」でしゃべっている方を遮ってでも突っ込んで、お話を聞こうとされるじゃないですか。

津田: 今日一番厳しい田原さん批判ですね。

来場者B: いえいえ。それはテクニックなのかなと常々思っていたので、お聞きしたかったのですが。

田原: いいですか皆さん。一つは政治家というのは大体、本音を言わないのです。当てても前さばきか、回りくどく本音にいかない。「そんなことを聞いてないよ」というのが政治家の場合多い。それから評論家の場合は、割にあがっちゃう人がいるわけ。あがって何を言うのか分からなくなっちゃう人が割に多いのだけれど。それは僕の娘たちにも言われますが、ちょっと僕は気が短いと、それは改めなければダメだと良く言われています。

津田: ジャーナリストってどうなのですか、気が長いほうがいいのですかね、気が短い方がいいのですか。

田原: あまり気が長いとNHKになっちゃう。

津田: ああ、そうなのですか。

田原: 何も突っ込まない。

津田: でも、いまの質問いいですよね。ジャーナリスティックでいい質問でしたよね。コメントなんかも評判良かった。なんかこういう、簡潔で楽しくて、かつでも本質に迫る質問を誰かしてほしいなと思うんで。みんな話が長いのですよ、ちょっと。何かないですか、これ言いたいみたいな。

■ジャーナリストが食べていくための2条件

ナル: 女の子じゃなくてごめんなさい。

津田: 大丈夫です。

ナル: 中央大学のナルと言います。さっきの話に戻ってしまうのですけど、出版社はいらないということで・・・。

田原: アメリカは現に(出版社が)どんどん潰れている。

ナル: 電子書籍をあくまで今の本で考えるとそうだと思うのですけど、例えば津田さんの「ツイッター社会論」だと音声ファイルが付いていたり、他にも動画付けたり他にいろいろな企画があると思う。僕はそういう意味では・・・すでに「長い」とか(ニコニコ生放送のコメントで)言われてるのでまとめようと思うのですけど、個人として出来ること以上にやっぱり組織として出来ることがあると思うので、出版社は「出版人」としてではなくて、体質が変わっていくべきと思ってるのですけど、その辺りは田原さんどうでしょうか。

田原: いまの日本で電子書籍が売れない理由は、出版社が本気ではないからですよ。一番の象徴的な例が日経新聞です。日経新聞は電子新聞を出してるけど、実は日経新聞はやっぱり紙の新聞を売りたいから、値段が高い。もっと安くしろと。

津田: 日経(紙の新聞)を取ってる人はプラス1000円というね。あくまでおまけという感じがしますよね。

田原: 日経新聞は紙を守りたいから電子新聞の値段を高くしてる。

津田: でもコメントだと、そうじゃなくてハードの値段がKindleにしてもiPadにしてもまだまだ普及してないから、ビジネスにならないから、本気を出せないのだという話もあります。そこはやはりどこかのタイミングで切り替えなきゃいけないということなんですかね。新聞は電子化するべきだと思います? 田原さんは。

田原: いや両方あっていいんじゃないか。

津田: 両方あって好きな方を選べるようにねと。なるほど。ということで熱いディスカッションが続いていますが、という風にここ(台本)に書いてありますが、あんまり熱くないなぁと思いながら僕も(台本を)読んで「?」なんですけど。いろいろ質問が来ています。メールとかツイッターからもいろいろ質問が寄せられて来ているのでそちらのほうでガンガンいきたいと思います。

 ニコニコネーム「ブックエンド」さん。「ジャーナリストとしてアマチュアからプロに変わる条件、超えるべきラインは何でしょうか。簡単に言ってダメなジャーナリストってどんな人ですか?」。これ結構いい質問ですね。

田原: アマチュアとプロの違いは、それで食えるかどうかですよ。単純に言うと。

津田: そうですね。

田原: 食えるためにはさっき言った2条件です。いままで誰もが発表しなかった「新しい事実」を出す。あるいはいままで誰もが言わなかった「新しい見方」を出す。両方出せば完全に商品になる。片っぽあれば、まあ商品になる。両方なかったらダメです。同人雑誌とテレビの違いを。同人雑誌は金にならなくていい、でもテレビは金にならなくてはダメだ。これは(ジャーナリストの故・)筑紫哲也さんという人、皆さんご存知だと思いますが、筑紫さんと僕は同世代だからよく話したのです。筑紫さんはTBSの夜の番組、僕が「サンデープロジェクト」を持っていた。生存視聴率というのがある。いくら中身が良くてもそれだけの視聴率取れなかったら、打ち切りになる。筑紫さんと僕の共通の生存視聴率は7%だった。7%は取る。ただし10%以上は取らない。10%以上取ろうと思うと別の番組になる。(それは)バラエティとかがやればいいので。生存視聴率。プロは生存の、例えば本にしても何部売れるとかね。それはあると思う。

津田: なるほど。別に100万部売れる必要はないけど、5万部ぐらいはちゃんと売って・・・。

田原: そんなに売らなくていいのよ。津田さんの本はどれだけ売れてるか分からないけど、やっぱり少なくとも出版社がペイできるのは本当は再版なんだよね。再版かかればペイできる。

津田: 増刷かかると大体基本的には黒字になってるんです。本を出すなら増刷になるくらい感じのいい本を出せばいいということですね。逆にダメなジャーナリストというと、そこの最低の・・・・。

田原: 新しい事実もない。新しい見方もない。これはダメですよ。

津田: 逆に言うとそういうものはまったくなくて、もっと大新聞社みたいでフリーになっちゃう人は生き残れない感じですかね。

田原: 新聞記者とフリーとの一番大きな違いは原稿料の違い。朝日新聞の記者たちは僕らの原稿料の20倍取ってます。

津田: 高いですよね。

田原: 高い。20倍。僕らは(原稿用紙)1枚が5000円とか1万円だよね、せいぜい。彼らは給料だから、論説委員なんてろくに書かない。1ヶ月に1本書くかどうかですよ。それで(月に)80万とか90万とってるんだから、全然原稿料が違う。

津田: 食うか食わないかというところの超えるべきラインというのは確かに難しくて、例えば1つのテーマを調査報道みたいに数ヶ月すごく調べて1冊の本にしますと言っても、単行本(初版)5000部スタートからだと(原稿料は)せいぜいが5~60万円ですよね。そうなると本当にペイしないじゃないですか。どうしても調査報道になればなるほど、しっかり調査すればするほど、中々それがすぐお金に換わらないという現実があるんですけど。かつては講談社とか「現代」とかあって、そういうライターとか書き手を育てていたと思うんですけど、いまないですよね。じゃネットがそういう書き手とかにお金という形で育てられるかというと、またそういう現実になってないんですけど。今後そういう育てるには・・・。

田原: やっぱりネットはね、ネットで金を稼げないとプロは出てこないね。それは本気で考えるべきだと思う。例えば堀江貴文(元ライブドア社長)はネットで稼げた代表的な男。彼は自分のネットマガジンを有料にしたんですよ。

津田: 有料メルマガね。ありますね。

田原: 彼に聞いた。(収益は)いくらか? 年間8000万から1億円ぐらいあると。

津田: そうですね。今1万5000人くらい登録されて、毎月800円ずつなのでね。すごいですよね。

田原: それはもう明らかにプロだよね。

津田: 上杉隆さんも有料メルマガやってて成功されてますからね。僕もなんかやろうと思ってて。

田原: やってください。

津田: 明日創刊準備号を作ってというんで。

田原: 3000人いればなんとかなるんじゃないか。

津田: 3000人いればそうですね。そうしたらそれなりのお金になりますからね。一つは有料メルマガというのがこれからジャーナリストとしてあるかもしれないし、もしかしたら例えば今、初音ミクとか、ニコニコ動画とかだったら音楽に関しては、どんどんいろいろな着メロとか着うたとかCDとかでお金を稼ぐ。ニコ動のファンがサポートするようなものはできてきているから、この番組みたいなのをきっかけにして若手ジャーナリストをニコ生とかから育てていくみたいな。お金を出して。かつては講談社がやってたのだけど、たぶんもう講談社には期待できないですからね。

田原: 期待できないと、どんどんその出版社がダメになっていく。若手を作っていかないと。この間もある漫画雑誌の編集者と会ってね、名前は言いませんが。漫画雑誌は今ダメになってる。なぜか。新しい人を育てないから。

■「新聞やテレビはダメだからいい」

津田: いま手が挙がったので。お名前をお願いします。

ドイ: ドイと申します。今の話だとインターネットが(ジャーナリストを)育てると言った場合に、どうしても育てるのに必要なお金が重要なわけですから、当然そこには有料化とかの問題があると思うんです。インターネットといった場合に、情報の信憑性は既存のメディアと比べてみれば多少なりとも下がってくるわけですし、特にインターネットは言ってみれば誰でも自由に発信できるわけですから、そこで玉石混交の中から、有料を選ぶだけのユーザーとしての勇気とか、そこに賭けなきゃいけない部分があると思うのです。

田原: だけど早い話、ニコ生(ニコニコ生放送)が有料会員やってるよ。

津田: あれはニコ生という「場所」に対して払ってるのであって、「クリエイター」に対して還元されるというのとは違う仕組みですよね。

田原: だけどクリエイターにいくらか払ってるじゃない。だって貰ってるでしょう、いくらか?

津田: 出演すればね。

田原: そうそう。

津田: でも、それは正当な労働な対価じゃないですか。

田原: まあまあ。

津田: はい。じゃあ隣の方。

来場者C: さっきから聞いていて、「ジャーナリズム」と言ってるのですけど、ずっとお金の話だなと思って。金がないとジャーナリズムにならないのか、成立しないのか。そもそも田原さんがテレ東から積み上げてきた経歴があるのでしょうけど、その中で、今までさっきから「既存のメディアはダメだ、ジャーナリズムとして成立していない」と言うのであれば、ここまで突き進んで来た間に自分の後輩を育ててきてなかったのか。ジャーナリズムとしての世界をちゃんと若者というか僕らの世代にもジャーナリズムをちゃんと植えつけるようなことをして来なかったのではないかという自分の過ち、反省部分というのはあるのですか。

田原: あります。それはあります。やっぱり団塊がダメだったね。

津田: ははは。

田原: 団塊の世代が、これ難しいんだよ。団塊というのは全共闘世代だよね。今の62、3(歳)から・・・つまり菅さんが典型的団塊だけどね。団塊は連合赤軍事件があったので、自分たちの全共闘の総轄ができなかった。総轄をしないものだから、適当にどっかにもぐりこんじゃったんだね。ここが一つ問題だと思う。だから(批評家の)浅田彰なんて人たちは団塊の批判をやることで登場した。あの辺からまた出てるよね。いろんな人が・・・。

津田:でも僕は別に田原さんを擁護してるわけじゃないけど、基本的にジャーナリストとかやるような人って一匹狼が多いから、メンタリティとして。そういう人が多いと、育てようという人はあまりいないですよね。逆にそこで編集者みたいなもののの仕組みがそういう一匹狼みたいな者にスポンサードすることによって育ててきたというのが今までのジャーナリズムの構造で、それが変わってきているんだと思うんです。

来場者C: ジャーナリズムがパトロンがいて育ててきたという歴史があるんでしょうけど・・・。

田原: パトロンなんかいないよ。

津田:パトロンとはちょっと違う・・・。

来場者C: 誰か補助する人がいて・・・。

田原: ちょっと待って。もう一度言いたいんだけど。さっき僕がジャーナリストになりたいならば、既存のメディアに入ったほうがいいと言った。既存のメディアに入っている中で、こいつらがなぜダメかが分かってくる。分かってくると「こういうものを書こう」と「こうなれば商品になるんだ」ということが分かるんです。自分の商品を見つけるために、何年か既存のメディアにいたほうがいい。こういう言い方をした。

来場者C: それは数字であったり視聴率であったり、部数であったりということですか。

田原: 違う違う。さっき言った2つの条件。今まで誰もが見つけなかった事実を発見する。誰もが言わなかった新しい見方を提示する。この2つですよ。

津田: そこを自分でできるようなノウハウを身に付けるために入れということで、それをお金に換えないと。

田原: そうしたら間違いなく商品になる。

来場者C: ただ、「ダメだダメだ」と言ってるのが大マスコミであり大テレビなわけではないですか。テレビとか新聞社はダメだと言ってますよね。そのダメなものを大体の人たちはそれを見てますよね。

田原: 新聞やテレビがダメだからいいの。ああいところが良かったら僕らは存在しない。フリーの上杉(隆)とか津田さんとか皆存在できているのは、ああいう既存メディアがダメだから。

津田: スキマ産業ですよ、ある意味。

田原: だから僕は既存メディアはダメだと批判はしない。だからありがたい。だから僕らは存在できる。

津田: 僕はあまり「既存メディアはダメだ」と言ってないほうですけど。割と気が長いほうなんで僕は。

田原: ありがたいと思う。

津田: なるほど。でも育ててほしいというよりは、ジャーナリストになる人って「勝手に育ってやる」という人の方が向いているので、口を開けて育ててほしいと待っているだけではジャーナリストになれないと思う。

田原: もっと言うと、金がいっぱい欲しければジャーナリストにならないほうがいい。商社なり証券会社に勤めたほうがいい。

津田: 真面目にジャーナリズムをやればやろうとすればするほど儲からないので。そこはちゃんと折り合いをつける。だから僕は趣味でもいいと思うんです。7割は普通の仕事して、3割のリソースですごくジャーナリズムを突き詰めるみたいなことも、多分これからの世の中インターネットで絶対でできるようになるし。その3割のジャーナリズムをやっていたらすごくヒットして、そこからもしかしたら上杉さんみたいに儲けることができるようになるかもしれない。そういういろんなルートがネットでできるようになったという時代だと思うのです。時間がちょっとアレなのですが、最後いい質問なのでこれいいですか。

田原: どうぞ。

■「放射能についていうと『危険だ危険だ』と言いすぎだと思う」

津田: ニコニコネーム「ネハン」さん。「田原さんに質問です。この間の朝生(「朝まで生テレビ」)で上杉さんが東北の放射能汚染の話をしていたのに対して、田原さんが『いま復興の話を盛り上げていくんだから、そんな暗い話はするな』と仰ってました。田原さん自身は放射能汚染に対して、現在どう思ってるんですか? 意見を聞きたいです」。

田原: まず放射能の前に原発から言うと、僕は新しい原発は当分作れないと思っている。なぜかというと「地域」という概念が変わった。前は、例えば双葉町とか浪江町とか、ああいう所が(原子力発電所の)「地域」だった。いま20km(圏内は)住めないでしょ。20kmに広がっちゃった。はっきり言って原発を作るのは、地域ぐるみの買収でどこもやってるわけ。そんな20km(圏)なんて買収できません。だから従って、新しい原発はできないとみたほうが良い。

 放射能について言うと「危険だ、危険だ」と言い過ぎだと思う。僕は、この前の前、原発の問題で(議論を)やった。その時に西尾(正道北海道がんセンター院長)さんという方が札幌医大の副会長で、放射能に非常に厳しい人。この厳しい人に僕が聞いた。つまり福島のダメだと言われた牛、あの牛の牛肉を食べたら病気になるかと。毎日200グラム食べても、毎日食べても病気にならないと。だから僕は、放射能は危険だと思うけど、いま放射能は「危険だ、危険だ」と言い過ぎている、これは風評被害だと思う。だから、僕はその風評被害に対しては、もうちょっとブレーキをかけたほうがいいと、こう思っているんです。

津田: この放射線の問題については、かなりいろいろな意見もあるし、女性なんかはもっと本当に深刻さも違うと思うのですけど。会場の意見をうかがいたいのですけど「いまの田原さん、それはちょっと酷いのではないか」みたいな人は。では、後ろのほうで彼。(ニコニコ生放送の)コメントだと「じゃあ田原さんが汚染牛を食べよう」みたいなコメントがいま来ましたけど。

田原: 賛成ですね。やっぱり僕らの世代はどんどん食べた方が良いと思っている。

津田: 一番影響も少なくなってきていますしね。

田原: そうそう、もういいんだもん。10年後に何か(病気が)出たって、10年後は生きていないんだから大丈夫ですよ。だから、小さな子どものいる家庭は気を付けるべきだと。

津田: そうですね。どうぞ。

サワイ: サワイと申します。田原さんが「牛肉を食べても基本的には病気にならない」みたいな感じのお話だったと思うのですけど、例えばチェルノブイリ(原発事故)とかの検証も、すごく長いスパンでやらないと見えて来ないということですから・・・。

津田: 軽々しく言うなということですか。

サワイ: そうですね。事故が起こったところの検証がしっかり済んでいないのなら、まあ言うべきではないのかなという風に僕は思います。

田原: 例えば、チェルノブイリ(原発事故)で甲状腺癌になった子どもが6000人いた。その中で亡くなったのは15人だった。だから、それは甲状腺癌になったというのは大変です。6000人ですね。チェルノブイリで何万人も死んだというけど、これはまったく嘘です。それは100人も死んでいない。放射能は危険なんですよ。当たり前なのです、そんなものは。ただ風評被害はそれ以上に怖いと思う。風評被害が強すぎると福島を差別することになる。福島の人間が泊まりに来たら「ダメだよ」とか。

津田: これは、実際ニコ生(ニコニコ生放送)でも何度もやっていて、例えば東大(先端科学技術研究センター教授)の児玉(龍彦)先生と、同じ東大(医学部付属病院放射線科准教授)の中川(恵一)先生と、あと(福島県立医科大学副学長の)山下(俊一)先生とかいろんな人がいる中でも、まったくやっぱりそこ(放射能問題)に対しての意見が、学者とか専門家でも分かれている状況。その中で多分、風評被害だけがマスメディアで拡大することを、「それは危険なのではないか」ということですね。

田原: それからもっと言いたい。あえて言うと、これは反論がいっぱいあると思うけど、いくつかの新聞が、「最近おかげ様で売れています」と。いくつかの週刊誌が「おかげ様で売れています」と。放射能被害のことをオーバーに書くと売れると。

津田: そう、それはありますよね。だからそこもある意味、メディアも商売だから、その商売の文脈に回収されているところもあるという批判的な目を持つこともジャーナリストは多分、重要なんです。という話だと思うのですけど、他にも手を挙げていたので・・・。では、彼お願いします。

来場者: すみません。ちょっと今までの話なのですけど、ネットから発信するという話についてなのですけど、ネットから発信するとなると、中国に目を向ければ日本の1.5倍のネットユーザーがいるわけですし、そういった部分で、日本のメディアとして差別化をするには、もっと実のある情報を流したほうが良いと思うのです。

田原: 実のある?

津田: どういう情報? 実のある情報というのは。

来場者: というのは、地域コミュニティの地域メディアのその「産官学」が、それぞれ透明性のある形で意見を出し合う様な形の・・・。

田原: その「産官学」とは何?

来場者: 産業と・・・。

津田: 地方メディアが、大学とかそういうコミュニティと組んで、もっと情報発信をしようと?

来場者: 原発の問題について、初めの頃は、東京のほうの大学の先生がテレビに出張っていましたけど・・・。

田原: 何が?

来場者: 最初のほうでは、児玉先生とか出ていましたけど、最後のほうは京大の助手の先生とかが・・・。

津田: 小出(裕章)さんとかね。

来場者: そうですね。(そういう人が)出てきて、まったく違った意見も出てきたではないですか。そういった部分で、やっぱりそれぞれの、京都は京都のメディアが、東京と京都のメディアは違くてよいと思いますし・・・。

津田: メディアというよりは、個人の学者の先生のスタンスとかによって意見が違う。ちょっと前のほうに挙げた人がいるので、ごめんなさい。まわっていいですか。

田原: 今のちょっと何を言っているのか分からないんだ。

津田: 僕も・・・。

田原: 「地域」ってどういうことなのか。

津田: シンプルに質問して。

田原: 「地域」とはどういうことを言いたいのか。

来場者: いま福島の情報があまり出てこないではないですか。だから、その福島の本当に暮らしている人の気持ちだったり、こういう情報が知りたいというのを・・・。

津田: あなたは、では福島に行って例えばいまネットがあるからツイッターとかでやれば良いのではないのか。それをやろうと思わないのは何故か。

来場者: 自分の生活がやっぱりありますし、どうなんだろう。行っても良いのですけど・・・。

津田: 福島の情報が知りたいんですよね。

来場者: そうですね。

津田: 福島から発信される情報が知りたいということですよね。

来場者: そうですね。

津田: それが多分メディアが十分に伝えられていないという・・・。

来場者: 僕自身の知名度の問題もあるし。

津田: 知名度は関係ないと思うけど。

田原: もっと言うと、福島には、福島の新聞もあればテレビも何局もある。福島の県に。どうしてこういうテレビが情報を発信しないのだろうね。もっと言うと、それは東京のキーステーションが福島の情報を放送しないのかもしれないね。あるいは、福島のそういうテレビ局や新聞社がろくな情報を発信しないのかもしれない。

津田: 実は、福島に行かなくてもできることはあって、福島に何かそういうテレビ録画機を全部置いておいて、そこからFTPか何かで全部動画を転送して、勝手にYouTubeに全部上げまくって「こういうのがあるんだ、拡散希望」とかやったりという、そういうある種ゲリラ的な方法も、もしかしたらあるかもしれないわけだし。

■「海江田さんなんかが首相になったら大変だと思っていた」

津田: ちょっと前の人も話したかったので、聞いてもらっていいですか。短めにお願いします。

タカハシ: こんばんは。タカハシです。今まで、いろいろなお話をうかがいありがとうございます。1点おうかがいしたいのですが、ジャーナリストが政治のプレイヤーになるのはどうお考えでしょうか。

田原: ジャーナリストがジャーナリストを辞めて政治家になるのは、それは勝手だっていう話。

タカハシ: 例えば、某新聞社の一番偉い人が昔、福田(康夫)さんと小沢(一郎)さんを繋ぎ合わせて・・・。

田原: (読売新聞グループ本社代表取締役会長の)渡邉(恒雄)さんのことを言っているわけね。

津田: ナベツネですね。

タカハシ: 渡邉さん。例えば、読売新聞が大連立を社説で推すのは良いのですけど、それを自分の1千万部の影響力を使ってそれを空気にしていくのはどうかなと思って。

田原: だから悪いなら悪いと書けばいい。朝日新聞はだらしないから、読売新聞と喧嘩するのが怖いから言わないだけ。僕は言ったから、渡邉さんといま仲が悪い。

タカハシ: 田原さんも昔「サンプロ」で、いろいろ政局を動かしてきたりされたではないですか。

田原: 動かしてはいないのだけど。

津田: でも、橋本(龍太郎)さんを辞めさせていましたものね。

田原: 3人失脚させた、総理大臣を。

会場: (笑いが起こる)

タカハシ: 田原さんが、例えば「この首相は嫌いだ」と仰るのは自由ですけど、「サンプロ」というめちゃくちゃ影響力の大きい番組で、プレイヤーとして・・・。

田原: 僕はジャーナリストとして、政治家に、首相に突っ込んだら答えられなかった。これは向こうが悪い。遠慮することはない。

タカハシ: いや、でも・・・。

田原: 宮沢(喜一)さんにしても橋本さんにしても海部(俊樹)さんにしてもガンガン突っ込んだ。そしたら答えられなかった。

タカハシ: それは田原さんが失脚させる気で突っ込んだんですか。

田原: いやいや。本当のことを知りたいから。事実を知りたいから。政治家というのは誤魔化すんだ。誤魔化すから、「誤魔化しているのではないか、どうなんだ」と。もっと突っ込んでいったら、ついに答えられなくなった。

津田: 1個、その「サンプロ」とナベツネさんの話が一番違うのは、ナベツネさんは料亭とかに呼び出してそれをやるわけでしょ。それはクローズの話だけれども、オープンな場でそれを突っ込んで、結果として失脚したというのはまったく違うものだから。

タカハシ: でも、プレイヤーとして政局を動かしているという実感はおありですか。

田原: ないね。

タカハシ: ないですか。

田原: 僕は事実を追及したい。

タカハシ: なるほど。ありがとうございました。

田原: だから(民主党代表選挙の結果)海江田(万里)さんなんかが、首相になったら大変だと思っていた。首相になったその日からガンガンガンガン批判しようと思っていた。野田(佳彦)さんはちょっと見てみます。ダメならガンガン批判します。

津田: はい。ということで最後の質問にします。「人と違う切り口」、今日、田原さんが言っている一つ今日のテーマだったのが「人と違う視点を持て」ということと・・・。

田原: 「新しい事実」

津田: そうですね。「新しい事実を探せ」ということで、そういう新しい視点・切り口を持つために、ジャーナリスト志望の僕ら学生が今、日常的にすべきこととは何ですか。訓練として、就職する前にできること、学生の時に。

田原: やっぱり僕は「本を読むこと」だと思う。

津田: 「本」それは古典的な本とかもですか。

田原: 古典もいい。つまり古典を特に読むのがいいと言うのは、古典はいままで残っている。いままで残っている本というのは、それだけ価値があるから残っている。多くの本は出して終わりだから。それ(古典)は価値があると思う。僕は古典は読んだほうがいいと思う。単純に言えば、僕は40(歳)になってから(カール・)マルクスの『資本論』を読んだ。学生時代に教えられたけど全然興味がなかった。「資本論」を読んで良かったと思う。何が良かったか。マルクスの言ったことは全部外れた、革命は起きなかった。ただし『資本論』で資本主義というのはこういうものだというのを、実にわかりやすく説明している。良かったと思っている。

津田: 例えば、今コメントで「何を読むべきか一例挙げてください」というのがありましたけど、例えば『資本論』を読んでみるとか、他に何か、例えばあと、ノンフィクションとフィクションがある時に、フィクションでもいいのですか。

田原: 何でもいいけど、例えば猪瀬(直樹)で言えば、猪瀬が『昭和16年夏の敗戦』という本を書いた。これは、まだ猪瀬が無名の時の本だけど、いい本だと思う。それは何故かと言うと、彼が調べて、つまり昭和16年というのは「太平洋戦争」が始まった年だけども、始まるに当たって、これまた面白い。政府が、34人か35人若い人を集めるわけ。「この太平洋戦争に勝てると思うか、負けると思うか調べろ」と。そこから始まるわけ。彼はその34人の多くに取材をしているということ。それで、どうやってやったかというのをずっと書いて、最後に、つまり東條英機が陸軍大臣の時に、夏の終わりにこの34人が「負けます」と結論を出す。「日本は絶対に負けます」と。ここはまた政府は偉い。「負けます」と言うのをちゃんと聞くわけ。東條は何と言ったかと。これが面白い。「君らが言うのは理屈はその通りだ。でも戦争というのは、時の運というがあるのだ」と。「俺は運に賭けるね」と。負けるに決まっているじゃないか、そんなものは。

 だから『昭和16年夏の敗戦』というのは、僕は面白い本だと思う。あの本を読んで猪瀬というのは、面白い男だなと思いました。もう大宅(壮一ノンフィクション)賞をとるずっと前(の本)です。

津田: なるほど。ということで、あと本当に本とかもいろいろあるし、ツイッターとか数時間やったりとか、ニコ生の番組を観ている4時間とかを1冊本を読めたりとか回したりするほうが、ジャーナリストには近づけるということなのかもしれないですね。本当に、まだまだお話をしたいことは沢山あるんですけど、そろそろエンディングの時間になってしまったのですけれども。いかがでしたか。こういうちょっと・・・。

田原: 面白かった。

津田: 面白かったですか。

田原: もっとやりたいですね。こういうのは面白いね。

■「僕は右も左も嫌いなんだ、実は。だからやっつける」

津田: 本当に多分、観客の方もいろいろ言いたいことがあるのだけど圧倒されているという感じだと思うのですけど。

田原: もっと突っ込んでほしかったね。

津田: でも、こういう若い人とかで、20代のジャーナリストとかって全然出て来ないではないですか、フリーの人で。田原さんが何か注目している、「若いけどこいつ面白いな」というのは、ジャーナリストとかで誰かいますか。

田原: あまり若いのは、僕は見当がつかないけど。新聞社でも若いのが出ていっている。僕は、無責任で責任を持っていないけど、割に新聞社や雑誌の若いジャーナリストとは話をします。何人か。5~6人とかで。それはやっていますよ。面白いです。

津田: なるほど。そういう中で、この中にいる中から、本当にまた新しいジャーナリストの人が育ってくるかもしれないし、それを期待したいと思います。今コメントとかも観ているので、せっかくなのでコメントで今日の感想とかを書いて下さい。そしたら、田原さんがバーッとコメントを観れると思うので。「朝生(朝まで生テレビ)をここでやってくれ」という意見もあります。これ凄いですね。ここで朝生をやったら確かに凄い感じがしますね。

田原: そうね。やりましょう、もし良ければ。

津田: 他には、あと何か、コメント。「またやって」というのもありますね。「いいねそれ」とか。「毎週やってくれ」というのもありますね。「クロスオーナーシップの話題をやってくれ」「テーマをもっと絞ってやって欲しかった」「ここで汚染牛を食べよう!」それ面白いかもしれないですね、汚染牛。「田原さんを言いくるめたい」とか「東さんとか岩上さんを呼んでください」とか。「田原さんは右? 左?」という意見がありますけど、質問が。

田原: 僕は右も左も嫌いなんだ実は。何故なら、右も左も自分たちが正しいと思っているから。僕は何よりも「言論・表現の自由」が好きだから。右も左もやっつけます。決して真ん中ではない。だけど右も左もやっつける。

津田: 言論自由主義者ということですね。

田原: そうですね。僕には僕のもちろん考え方があるけども、僕は、あまり革新ではない。「保守リベラル」かと思う。なぜなら社会主義がいいと思っていないから。リベラルだと思う、非常に。

津田: なるほど。

来場者: 今は何党支持ですか。

田原: この間の総選挙は、民主党に入れて失敗したと思っている。この間の東京都知事選は共産党の小池(晃)さんに入れた。

津田: 僕も小池さんにしました。

田原: そういうもんです。

津田: 消去法で小池さんしかなかったという感じでした。

田原: 割に共産党は良く入れる。

津田: なるほど。そういう、どちらかというと左寄りだけれども、ゴリゴリの左ではないという立場ということですね。

田原: あの党を大事にしたいのよ。共産党がなくなると嫌だから。言っていることは半分くらい間違っていると思うけど。

会場: (笑いが起こる)。

津田: でも結構「面白い」とか、あとは「田原さんは、そういう政治家の相手とかよりも素人を相手にしているほうが面白い」という意見も打ち込まれました。

田原: ありがとうございます。楽しかったです。

津田: ということで、最後にアンケートを取りたいなと。「この番組『田原総一朗のジャーナリスト魂』2回目をやってほしいか」というアンケートを最後に取って、これぜひクリックをしてもらえればと思うのですけど。

 さっきスタッフの人に「そうは言っても、どうせ2回目とか決まっているんでしょ」と(言ったら)、「本当にこのアンケートと反響で決めます。ガチです」という風に言っていたので、本当にクリックする側のほうもガチでやっていただければと思うのですけど。僕はすごく面白かったし、まだまだ沢山、田原さんの話を聞きたいと思いましたが、どうだったのでしょう。これの反響次第で。ニコニコ(生放送)としても多分これ、実験だったと思うのです、相当。「不評でも2回やろう」という話もありましたけど。確かに「ニコファーレ」を使って、こういう言論番組をやるということ自体が、確かに新しいと言ったら新しいですけれども。

津田: 結果が出ました。出してください、ドン。


会場: (画面に結果が出る。「はい」88.4%「いいえ」3.0%「どちらかといえばはい」7.2%「どちらかといえばいいえ」1.4%。来場者が拍手)

津田: おお。圧倒的ですね。

田原: 良かったね。

津田: 何とか90%くらいを超えた感じで。たぶん今日観て、この会場で「俺もしゃべりたかったな」という人もいただろうし、多分ネットで観ている人も「次は俺が行ってやる」みたいに思って、たぶんそういうので本当に来て、田原さんに「田原さん、あなたの言っていることは間違っている」みたいな、そういう人が・・・。

田原: 言ってほしい。

津田: 嬉しいでしょう。

田原: 嬉しい、嬉しい。

津田: これは本当に次回、第2回目もあるのではないかと思うのですが。「次暴れるぜw」なんていうコメントもあるので、是非そういうのが。では、最後に一言感想を。

田原: とても今日は楽しかったです。もうちょっと突っ込んでほしいね。

津田: 田原さんからコメントと会場にダメ出しが来たので。

田原: もうちょっと突っ込んでほしい。いっぱい弱点あるんだから。言っていること矛盾がいっぱいあるんだし、グッと突っ込んでほしい。

津田: そうですね。そういうのを皆さんで是非、下調べをしていただいて次から。「次は、ひこちゃんで出てくれ」という、コスプレというのもありましたね。「会場に来る」という人もいるので。ということで、「田原総一朗のジャーナリスト魂」、今回のゲストも盛り上がって良かったです。田原総一朗さん、どうもありがとうございました。

田原: どうもありがとうございました。どうも。

会場: (拍手が起こる)

津田: どうも田原さん、ありがとうございました。今後とも日本のジャーナリストの指針になるような活躍を期待したいと思います。本日、会場にお越しいただいた皆さん、そしてパソコンやモバイルの前でご覧いただいたユーザーの皆さん方もありがとうございます。

 何とか最後の結果が良かったので僕もホッとしています。次回以降、またもうちょっと違ったギミックなんかも入れて、何か議論が盛り上がるような形で第2回目ができればと思います。ということで「田原総一朗のジャーナリスト魂」、ここで終了です。また次回、たぶんあると思うので、次回またお会いしましょう。さようなら。

・[ニコニコ生放送]田原総一朗のジャーナリスト魂 in ニコファーレ - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv59493535#0:03:47

(協力・書き起こし.com

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