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私が居酒屋チェーンのワタミに入社したのは、2000年代の終わり。配属された職場は、とにかく売上至上主義の体育会系でした。会社は社員に強いプレッシャーをかけ、中にはとんでもない発言もありました。今回はその中から2つ紹介しましょう。

ひとつめは「新卒辞めたら指詰めろ」というもの。最近、外食産業の人不足が話題になっていますが、私が働いていた当時も深刻でした。入社した年の社員研修で、管理職である本部長が集まった社員に向かってこう叫びました。

「今年入社の新卒は、絶対に辞めさせない。ただの1人もだ。新卒を受け入れる店舗の店長は…新卒が辞めたら、指詰めろ!」
「要はそのくらいの覚悟で」という言い訳は通用するのか

(画像はイメージ)

研修という、わりと公の場ではっきりと公言しました。研修の場に一気に張りつめた空気が流れました。本部長も、そんな空気を察してか、

「まぁ、本当にやれってんじゃないぞ。要はそのくらいの覚悟で新卒を受け入れてくれ」

とフォローしていました。

先日、ワタミ創業者の渡邉美樹氏が、理念集にある「24時間365日、死ぬまで働け!」という言葉を撤回しましたが、強い言葉で脅しておいて「本当にやれってんじゃない。要はそのくらいの覚悟で」という言葉でごまかすというのは、どんなもんなんでしょうか。

私が入社した年は、同期が300人ほどいましたが、一番早くて3か月で辞めた人がいました。このことを先輩社員に話した時、彼は平然としてこう言ったのを覚えています。

「いや、今年の新卒はなかなか辞めないよ。俺の同期なんか、入社して3日とか1週間くらいで辞めた奴もいたもんだよ。それも1人じゃなくて、何人も」

独立して飲食店を開く人もいるんだから、離職率なんてアテにならない――。そんな指摘をする人もいますが、入社早々、こんな研修に出れば「早く辞めた方が自分のためだ」と思う人が続出しても不思議ではありません。

月次の報告会で「お前、何で給料もらってんだ?」

もうひとつ、同じ本部長から出た発言を紹介しましょう。「売れなきゃ給料ゼロだ!」というものです。月次の売上報告会の席上で、本部長は売上の悪い店の店長に向かってこう言い放ちました。

「俺たちの仕事は何だ。営業だろ? 営業の最も大事なものは、売上だろ。売上は上げなきゃいけないんだ。営業なんだからな。そもそもお前、売上が悪いのに、何で給料もらってんだ? 普通もらえないんだよ! だって売れてねぇんだから。俺の店長時代はな、売れなきゃ給料ゼロだと思ってやってたんだぞ!」

こんなことを平気で言っていました。一理あるように聞こえますが、大方の疑問は「本当に本部長の給料がゼロだったわけじゃないだろ?」ということです。

雇われ店長のサラリーマンですから、給料ゼロなんてありえません。多少のインセンティブなどの減給は仕方ないにしても、給料ゼロは極端ですよね。それなのに「お前、何で給料もらってんだ。普通もらえないんだよ」というのは、いかがなものでしょうか。

これも「本当にゼロってわけじゃない。要はそのくらいの覚悟で」と言うのでしょうか…。そういえばこの本部長は、今も会社の要職に就いているそうです。今の時代にこのようなことを言ったら、たちまち激しく叩かれることでしょう。私が言うのもおこがましいですが、発言には気を付けて欲しいものです。(ライター:ナイン)

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【プロフィール】ナイン
北海道在住の20代後半の男性。大学卒業後、居酒屋チェーンWを運営する会社に正社員として入社。都内店舗のスタッフや副店長として約4年間勤務した後、「もう少し発展性のある仕事がしたい」と転職。現場を知る立場から、外食産業を頭ごなしにブラックと批判する声には「違和感がある」という。TwitterFacebookブログ

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