なぜ浮気はなくならない?
LAURIER PRESS

医学博士である米山氏は、過剰なストレスは人間にとって害だが、適度なストレスは脳に必要だといいます。その適度なストレスとは実は『恋愛』だとか。人を愛し、愛されようとして努力することで生まれる適度なストレスが人間の脳の大好物なんだそうです。

ですが、相手への熱烈な想いが爆発すると、恋する歯止めが効かないのが通常の恋愛です。特に恋愛初期のころに経験する恋愛の悩みは実ることが少なく、「適度なストレス」などと悠長なことはいえないほどのストレスがふりかかることも少なくありません。恋愛は愛する人に愛されることで脳内の活動を調節して活発化させ、元気にせさる「セロトニン」を分泌されることが重要で、恋愛が適度なストレスだと言えるようになるには、やはりそれなりの恋のストレスに慣れるまでの経験の積み重ねが必要かと思います。

とはいうものの、恋が実れば実ったで別のストレスが生まれる場合も。当研究所の恋愛相談でも一番多いのが恋愛中のお悩みです。女性に束縛され腑抜けにさせられた男性は、オスとしての牙を抜かれ、出世への意欲が削がれたり、男性から愛されている女性では、愛される喜びを感じつつも刺激が少ないことに不満を募らせ、結婚に踏み切れなかったりと「幸せなんだけどなんか満たされない」矛盾した感情が生まれる様子。脳の大好物なはずの恋愛でも、満たされなければ意味がありません。では、なぜ満たされないのか?

■人間は恋愛をして心の安定を得ても、欲望があるかぎり満たされない?

それは、人間には恋愛感情以外に「欲」という欲望があるからです。欲の中でも「性欲」は、男女の恋愛で切っても切れない欲望です。以前、執筆しました「男嫌いや女嫌い、恋愛嫌いは人間として正常な反応?」の文中で、人間の「性欲」は誰でも良いが、「恋愛」は誰でも良いというワケではないという人間の恋愛のシステムをお伝えさせて頂きましたが、人間はこの「恋愛=安定」と「性欲=刺激」の狭間でいつも悩んでいます。

恋愛で得られる安定は、人間社会のモラルに則った安定です。性欲で得られる刺激は、バーチャルな刺激を含め、どちらかというとインモラルへと傾く刺激です。人間は生殖期間をコントロールし、年中発情できる動物ですから、大人になればなるほど計算が働き、恋のストレスに慣れると、安定と刺激の両方欲しがるようになります。ですが、通常その両方は同時に手に入りません。それでも唯一、両方手に入れられる関係があります。

それが不倫関係です。今回はこの不倫の関係性を深く掘り下げ検証してみます。

▽既婚者男性と独身女性の不倫は、男の理想の関係

結婚という社会的立場は、恋愛とは別格と考える男性は少なくありません。夫という立場は表の世界で堂々と勝ちとった男にとっての戦利品でありステータスです。妻は妻で自分にとって安住の地で、そこに性欲のドロドロした感情を持ち込みたくないと考える男性が案外多いのです。つまり、夫は夫として外で性的関係を結ぶ相手をつくることで家庭を守っているという考えなのだそうですが、女性からいわせればなんとも理解しがたい考えで、家庭への愛情を問うただけでも男女の考え方の違いは、明らかです。

ですが、妻の理解が得られなくとも、男性が社会で出世するためには、どうしてもオスとしてパワーが必要だと男性は本能的に渇望します。もともと結婚生活と性生活を切り離して考えがちなのが男性の生き方であり性質(※参照コラム「草食男子とセックスレスが増えた本当の理由5つ」)です。家庭という安定を得られているからこそ、余裕をもって社会や性への関心を外に向けられるようになったといっても言い過ぎではありません。

また、既婚男性は、まだ妊娠や結婚経験のない生殖可能な独身女性を好んで選ぶことが多く、独身時より精神的に余裕を持って女性と接することができる分、今までつき合ってきた女性の中で一番といえるほど性的魅力ある女性を選ぶ傾向になり、その欲望は浮気を繰り返すごとにエスカレートしていきます。

よって、妻が表の世界で一番なら、不倫相手はオスとしての本能を満たす裏の世界で一番なのです。ですから、どちらかを選べという話は不倫男性にとってナンセンス。どちらも大切で両方手にした状態が一番ベストで理想的なので、妻と不倫相手のどちらが1番か?なんて比べる考えはないでしょう。

▽既婚女性と独身男性の不倫は、本気になりやすい関係と計算しつくされた関係の2種類

女性が既婚者の場合は、浮気相手との妊娠する危険性をともなうため、一般的に男性より重罪に扱われます。また、関係がバレたときも、男性より修復不可能な場合が多々あります。なぜなら、浮気された夫の社会的立場の面子をつぶすことはもちろんのこと、女性が浮気から本気へと感情がシフトしてしまうことが多いからです。

以前のコラム「ヒモ男は女の本能を満たす恋のサービス業者」で女性がいかに性的行為に弱い性か? を述べさせていただきましたが、女性は本能的にセックスをした相手に愛情を抱き、執着してしまう性です。精神的満たされなくともセックスをしてオーガズムを感じれば、莫大な快感を得る快感ホルモンの影響を受けてしまい、盲目的に脳内麻薬の虜になります。これは独身女性にもいえることで、女性が男性に簡単にセックスを許してはいけない本当の理由は、ここにあります。

ですが、一方で世の男性が驚くとんでもないデータがあります。動物行動学者の竹内久美子氏の著書の中に、イギリスのR・ロビン・ベイカーとマーク・A・べリスが3679人の13~72歳の女性の浮気を調査したデータがあります。

◎年代別 女性の浮気の確率
10代後半  6% 
20代前半  5%
20代後半  4%
30代    8%
40代以上  10%

と、30代になって急に浮気する確率が高まっていることがわかったそうですが、さらに「すでに何人子がいるか?」で再調査したところ、

◎子の数別 女性の浮気の確率
0人    5%
1人    3%
2人    10%
3人    16%
4人以上  31%

と、なんと子供の数が多いほど女性の浮気率がとてつもなく高くなることがわかったそうです。つまり、子が多いほど夫と別れにくい安定した状況を作り出すから浮気の確率が高まるのではないか? と竹内氏は分析しています。女性は通常ひとりの男性との子しか宿せませんから、結婚して子をたくさん生む以外に、浮気をすることでパートナー以外の男性との間に子をつくり、遺伝子的にバリエーションをつけることが子孫繁栄のために有利に働くとされています。

これは外国での調査なので、日本ではどうか? という思いもありますが、強欲というか強かというか、なんともやりきれない結果ではあります。


▽既婚者同士の不倫は、利害が一致するだけの打算な関係

既婚者同士の関係は、互いが安定した立場での合意した関係ですから、恋愛というより利害のみが一致した関係に過ぎません。男性も既婚女性との関係は、独身女性より責任もコストもかけることなく性の快感のみでよいと考えるため関係は長く続くようですが、その分、思い遣りが希薄になり、女性は虚無感に悩まされることが多くなるようです。

■終わりに……不倫は「安定」と「刺激」どちらも手に入れたい人間のずる賢さゆえの罪

いずれの関係にしろ、不倫は恋愛ではありません。もともと浮気者の遺伝子を持って生まれた人間が浮気心を持つことは避けられない欲です。浮気をする可能性は誰にでもあるゆえになくなりません。ただひとりの人を愛す恋愛をすることのほうがマレであり貴重なのです。不倫は不倫関係であるかぎり人間のずる賢さゆえに生まれた欲望渦巻く罪な関係にすぎないでしょう。万が一、その「欲」が本物の愛に代わるときがあるなら、そのときこそ初めて人は満たされるのかもしませんね。
(荒牧佳代)

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