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 「此処(ここ)より下に家を建てるな」――。1933年に起きた「昭和三陸地震」では次の世代への教訓として、いくつかの石碑が残されている。それと同じよように今度は東日本大震災の経験をいかに次の世代へ伝えていくかが課題となる。

 東日本大震災から約7ヶ月経った2011年10月8日、岩手県遠野市でシンポジウム「東日本大震災の記録とその活用―311まるごとアーカイブスの目指すもの」が開催された。「311まるごとアーカイブス」(正式名称:東日本大震災・災害復興まるごとデジタルアーカイブ)は、デジタルで被災地の失われた「過去」の記憶を再生し、被災した「現在」と復興に向けた「未来」の映像や資料を記録するとともに、まるごと保管することを目的とするプロジェクトだ。

■震災の教訓はいつしか忘却される!?

 シンポジウムの第2部では「データの収集・活用をめぐる課題とアイディア」について議論が行なわた。会場からの質問コーナーでは、岩手県の男性が「過去にも大きな津波が起きているから、必ず記録を残そうという動きが出ている。結果として、それが石碑だとかある。(しかしながら)どういうわけか、いつの間にか(教訓が)忘却されているということが起きている」とした上で、「忘却させないためにはどうしたらいいか」「どうして忘却が起きるのか」と質問した。

 これに対し釜石市の野田武則市長は、「昔の人は石碑を建てて教訓として残した。あるいは記録を作ってそれを教訓とすべしということで我々(後世の人間に)伝えてくれた。あるいは当時を体験した方々が世代、世代にその恐ろしさを伝えてくれた。だけれど、また同じような被害をこうむってしまった」と述懐。その上で、

「映像はある意味で大事なんだけど、忘れてはならないことがあるんじゃないか。昔はテレビがない、写真もない、ビデオもない時代だから、そういう石碑を建てたんだと。我々は今まさに最新の科学技術があって、臨場感・切迫感のある映像を見せることができる。ここはやっぱり大事にしていかなければならないが、それは何のためにやるかというと、やはり教訓として次の世代に残す(ため)。『その意識は絶対忘れてはならない』ということを伝えなければならない」

とし、さらに

「記憶の部分(が重要だ)。被災された方々の想いとか悲しみとかを(記録と)一緒に伝えていただかないと。単なる仕組みだとか活用の仕方だとかやり方だとかという形になってしまうと、先ほど言った意識がどんどん失われて、あと50年後100年後の時はですね、まったくただの映像に(なる)」

と大災害の記録だけではなく、被災者たちの"記憶"をアーカイブと共に残すことが大事だと訴えた。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 「映像だけでなく記憶も伝えて」市長の訴えから視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv65704883?po=news&ref=news#2:48:38

(山下真史)

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