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 米国に端を発した、経済格差の拡大に抗議するデモが世界中に広がっている。ニューヨークで「Occupy Wall Street(ウォールストリートを占拠せよ)」のデモ活動を続けているグループは、2011年10月15日を「国際アクションデー」と位置づけ、世界中で行動を起こすよう呼びかけた。日本でもこの運動に呼応したデモが15日に都内で行われ、インターネット上の呼びかけに応じた約100人の参加者は、「OCCUPY TOKYO(東京を占拠せよ)」と書かれた横断幕を掲げ、東京の街を練り歩いた。

 ニューヨークのデモと異なり、この日、日本で行われたデモは経済格差を訴えるものだけではなかった。その特徴は、主張が一貫していないことだ。主催者側のホームページには、「自分の主張を書いたプラカードをご持参ください。テーマは今自分が気になっている事など日本や世界中の人々にアピールしたいものをお書き下さい」と告知されていた。

 集合時間の12時を過ぎると徐々に人が集まり出した。参加者は「原発反対」「TPP断固反対」「貧困撲滅」「高校授業料無償で継続」などそれぞれの主張を書いたプラカードを持参。「OCCUPY TOKYO」のスローガンの下に、「私たちは99%(※1%は富裕層)」「雇用を守れ」など、それぞれが思い思いの声を上げた。

 世田谷区から来たという平野和子さん(80)は、脱原発を訴えるためにデモに参加。「日本を放射能で汚したくない」と訴えた。廣瀬友之さん(29)は、「ウイグルに自由と人権を」と書かれたプラカードを掲げ、「日本国民の税金がチベットやウイグルの民族浄化政策に加担している。これはぜひ一人でも多くの人に知ってほしい」と話した。TPP(環太平洋経済連携協定)に反対だという古閑義和さん(40)は、「貿易の自由化が進み、国内産業が保護されなくなることで、産業の伝統が破壊されたり、技術が継承されなくなったりする。あとは雇用。雇用が守られない」と述べ、「もっと意見を言うべきときは言おう」と話した。

 また、デモには外国人の姿も複数見られた。日本在住15年という米国人のロヒーニ・ドゥブレズさん(46)は、「ウォール街の抗議デモに呼応するかたちで参加した。企業の欲望は人々を犠牲にして世界規模で不均衡をもたらしている。私は99%の側にいる」とデモに参加した理由を語った。

 さまざまな主張が混在したこの日のデモ。プラカードだけではなくシュプレヒコールも「福島返せ」「格差は嫌だ」「産業守れ」など統一感はない。このようなデモの様子に対し、沿道からは困惑する声も聞こえてきた。仕事で通りかかったという男性(60)は、「主義・主張が一貫していればいいが、バラバラなのはどうかと思う。烏合の衆のようだ」と話した。別の男性(71)は、「デモをするのはいいことだが、一つの明確な主張をしたほうがいいのではないか。何をアピールしたいのか分からない」と述べた。

 主催者の一人である松永健吾さん(43)は、デモの主張を統一しなかったことについて「今はいろいろな問題がある。私たちは、団体として一つの考え方を押し付けるのではなく、皆さんそれぞれが考え、その小さな声をわれわれが集めることで大きなムーブメントにしていきたいから」と説明した。

 松永さんは今後もこの運動を継続していくという。「これからが本当のスタートだと思う。急拡大を求めず、段階的に規模を大きくしていけたらと思っている」と今後の展開を語った。

(三好尚紀)

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