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 先日、アメリカの人工衛星「UARS」が大気圏に再突入した際、機体の一部が海などに到達したとして話題になったが、2011年10月22日現在、同様にドイツの人工衛星「ROSAT」が大気圏に再突入する可能性があるという。「スペースデプリ」――いわゆる「宇宙ごみ」は、そんな頻繁に地球に落ちてくるものなのか。これが私たちにぶつかる危険性はどれくらいあるのか。家屋や車に落下してきた場合、誰に苦情を言えばいいのか。そのようなスペースデブリの問題について、10月20日のニコニコ生放送でJAXA(宇宙航空研究開発機構)の研究開発本部未踏技術研究センター・センター長の木部勢至朗氏が語ってくれた。

■宇宙はデブリで大渋滞

 現在、地上から観測できるものだけで、地球の軌道上には約1万7000個のデブリがあるという。デブリは大きく分けると3種類で、ロケットや人工衛星などミッション終了後の宇宙システム、ミッション関連(クランプ、ワイヤーなどのミッション関連の物)、そしてこれらの衝突や爆発で生じた破片などだ。

 これらデブリが運用中の衛星に衝突すると、例えば1センチのものでも衛星が全機能停止する危険性がある。ある1機の衛星に対してデブリが衝突する可能性は500年に1回だが、現在の衛星の数を考えると、いずれかの衛星に当たる可能性は年に1回あるそうで、宇宙では結構なデブリ渋滞が起きているわけだ。

■漫画『プラネテス』の「スペースデブリ回収業」の可能性

 デブリをこれ以上生み出さないために、現在では爆発の発生原因を解明し、爆発を起こさないようにする、分離部品を出さないようにする、使用済み衛星は早く軌道から除去する等の対策が取られている。

 しかしすでに宇宙はデブリ渋滞ともいえる状態なわけで、JAXAでは10年ほど前からデブリ除去の技術開発を進めている。例えば、デブリに氷の玉をぶつけて回転を止め、テザー(導電線)をつけて減速させた上で、大気圏に突入させて燃え尽きさせようという考えだ。このデブリ除去の研究については、日本が一歩リードしている状況だという。ここまで来ると、漫画『プラネテス』のようなスペースデブリ回収業の可能性について気になるところだが、木部氏によると

「非常にビジネスチャンスがあると思っている。学会等で、将来私は宇宙サルベージ会社を設立しようと思うが出資をしませんか、と呼びかけたことがある」

とのこと。『プラネテス』の世界は思っていたより近そうだ。ぜひとも世界初のスペースデブリ回収事業を誕生させてほしい。

■ROSATの落下は10月23日前後。もし当たったら?

 さて冒頭に述べたROSATだが、これは1990年に打ち上げられたX線観測衛星。破片30個、総重量1.6トンが地表に到達する可能性があり、落下予測日は10月23日前後だという。デブリが地表に落ちる際に地上の誰かに当たる確率は2000分の1、特定個人に当たる確率は26兆分の1だという。ちなみに万が一、車や自宅など財産が落下物の被害に遭った場合、木部氏は「そんなことがあっては困るけれど」と前置きしながら、

「損害賠償条約(宇宙損害責任条約)があって、その国(今回のROSATの場合はドイツ)が責任をもって対応してくれる。当たり損ということはない」

と説明してくれた。だが、やはり被害に遭わないに越したことはない。なお落下物を発見した場合には、火傷の可能性や毒性を含んでいる場合もあるので、むやみに触ったりせずに警察に届けてくださいとのことだ。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]JAXAによるスペースデブリ除去イメージから視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv67054970?po=news&ref=news#19:50
・ドイツ人工衛星ROSAT最新情報など - 文部科学省 Facebookページ
http://www.facebook.com/mextjapan

(大塚千春)

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