富士通総研経済研究所の高橋洋主任研究員

富士通総研経済研究所の高橋洋主任研究員

ニコニコニュース(オリジナル)

 エネルギー政策の抜本的な見直しについて、有識者から意見を聞く総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会は2011年10月26日、第2回会合を開いた。この日プレゼンテーションを行った委員の一人である富士通総研経済研究所の高橋洋主任研究員は、再生可能エネルギーのさらなる導入と電力安定供給のためには、国際連系に取り組む必要があるとして、「韓国との国際連系を真剣に考えるべき」と主張した。

 高橋氏は、エネルギー安全保障の観点から「再生可能エネルギーを再評価すべき」と、その重要性を訴える。しかし、高橋氏によると日本での再生可能エネルギーの発電量はわずか1%ほどで、今のところ普及しているとは言えない。高橋氏はその理由の一つに「系統不安定化の恐れ」があることを指摘。電力の供給力不足を再生可能エネルギーで補うためには、出力の不安定性による系統不安定化の問題を解決する必要があるという。

 高橋氏は、再生可能エネルギーの安定供給を確保するための対策の一つとして国際連系の必要性を強調。国際連系線によって送配電網がつながり、再生可能エネルギーの導入が進んだEU(欧州連合)を例に出し、「欧州では市場の力を使い、さまざまな電源の需要と供給を組み合わせることにより再生エネルギーの不安定性を吸収している。市場を大きくして安定性を確保するというのが欧州のやり方」と述べた。その上で、

「日本はまず国内の市場を統合すべきであろう。その次の段階として、韓国との国際連系を真剣に考えるべき。市場の力をうまく使えば再生可能エネルギーはかなりの力が入る」

と話し、再生可能エネルギーのさらなる導入と電力安定供給のためには、韓国などとの国際連系が重要との認識を示した。

(編集部注:電力網同士がつながることを「連系」と表記しています)

■ロシア、中国との国際連系も視野に

 高橋氏の意見に対し、日本エネルギー経済研究所の豊田正和理事長は、日韓間の電力価格の差を指摘。韓国はガスや電力などを価格政策で抑えており、加えてウォン安ということもあり、日本の電気料金と比べると3分の1ほど安いという。豊田氏は「ヨーロッパでは経済情勢がほとんど一致しており、日本と韓国との関係とは違う」と疑問を投げかけた。また、東京工業大学大学院の柏木孝夫教授は、国際インフラを進めるという考えには同意した上で、「ヨーロッパの場合は、1951年に設立した欧州石炭鉄鋼共同体から、ガスや電力の共同体構想を作っていて、かなり歴史がある。日本はどういう形で2国間からアジアを見据えた全体の国際インフラを引くのか」と質問した。

 高橋氏はこれらの疑問に対して回答。国際連系は外交政策に関わるものであり、長期計画のもと戦略的にやるべきとして「そのための方向性を決めていく必要がある」と述べた。その上で

「まずは系統システムが安定している韓国と送電網をつなぐ。地理的にも比較的に韓国は近いし、いろいろな意見はあるかもしれないが、外交上の信頼度もほかの国と比べると高いのではないか。例えば対馬とか済州島など風況が良い場所で、再生可能エネルギーの共同開発をしていく。そうやって、少しずつステップアップをしていくことが現実的」

と語った。また、電力価格の差を指摘する質問に対しては「長年かけて市場を少しずつ統合して解決していくべき」と述べた。

 高橋氏はさらに日本の周囲やアジア全体を見据えた国際連系に言及。

「(韓国の)次の段階で、サハリンや北方領土の地熱を共同開発して送電網でつなぎ、中国などとも少しずつ(国際連系を)広げていく。それがヨーロッパの現実的な市場の拡大の仕方で、長期計画を国家戦略でやることに現実性がある」

と語り、再生可能エネルギーの共同開発などを含めた国際連系を外交戦略と位置づけ、実現を目指すべきとの考えを示した。

(編集部注:電力網同士がつながることを「連系」と表記しています)

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 高橋洋氏のプレゼンから視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv67870436?po=news&ref=news#1:54:58

(三好尚紀)

富士通総研経済研究所の高橋洋主任研究員