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 人前で好きな本について語る「ビブリオバトル首都決戦2011」が2011年10月30日、ベルサール秋葉原で開催された。「ビブリオバトル」とは、立命館大学情報理工学部の谷口忠大准教授が考案した、ゲーム感覚を取り入れた新スタイルの「書評合戦」のこと。ビブリオバトラー(発表者)が、1人5分の持ち時間でおすすめ本についてプレゼンし、バトラーとゲスト・観客が一番読みたくなった「チャンプ本」を決定する。

 大会は各地で開催された予選大会の勝者による頂上決戦という位置づけで、今年で2回目。30名以上の大学生・大学院生が一堂に集結し、熱い戦いを繰り広げた。優勝したのは、北海道教育大学3年の杉目美奈子さん(21)で、グランドチャンプ本はミステリー小説『彼女はもういない』(西澤保彦著)。「結末を言えない」という難しさの中、「この何の変哲もないタイトルが、きっと特別な言葉に皆さんの中で変わるはずです」とし、

「最悪の終わり方です。とても大きな喪失感で、これを読んだ後は、その日の夕ご飯は食べられないと思ってください」

とアピールした。

 決勝戦のバトラーと推薦本は以下の通り。

 杉目美奈子さん 『彼女はもういない』(西澤保彦著)
 坪井遥さん 『万物理論』(グレッグ・イーガン著)
 水原未奈さん 『赤ちゃんの科学』(マーク・スローン著)
 常川真央さん 『子どもが体験するべき50の危険なこと』(ゲーバー・タリー,ジュリー・シュピーゲル著)
 平松和旗さん 『女の決闘』(太宰治著『新ハムレット』より)

■「一人一人が作者になる」面白さ

 準決勝と決勝のあいだには東京都副知事の猪瀬直樹氏を司会に、批評家の東浩紀氏、イラストレーターのわたせせいぞう氏、谷口准教授と「本を紹介される側」のトークセッションも開催された。この中で谷口教授は、

「皆、本を読むことはあっても、それをシェアしてディスカッションする場が少ないですよね。でも、教師は『読め、読め、読め』になってしまうわけですね。それじゃあ良くない。仕組みが悪い」

と、ビブリオバトル考案のきっかけを説明。これを受けて猪瀬氏は、「ちょっと落語にも似ているよね。古典落語なんて、ある意味、古い本を題材に喋るようなものだから。(そう思うと)5分間しゃべるのって大変だね」。さらに、

「作家の作品というのは、最初のシーンに何を描くかというのがあって、それから伏線を張りながら、クライマックスを持って来て、最後にオチがあるわけ。(プレゼンも)そういう構造になっているので、実はしゃべる人たちもその作品を題材に、どういう"マクラ"(落語で本編に入る前の話)を作って、どういう展開をしたら良いかっていう。一人一人が作者になるんだよね」

と作家とビブリオバトラーとの共通点を指摘し、そのクリエイティヴさに感心していた。

 本とプレゼンという2つの面白さがあるビブリオバトル。あなたなら何を語る?

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 杉目さんが『彼女はもういない』をプレゼンする部分から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv68773768?po=news&ref=news#0:57:35
・[ニコニコ生放送] 「トークセッション」部分から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv68773768?po=news&ref=news#0:21:55

(野吟りん)

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