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警察庁のまとめによると、就活がうまくいかないことに悩んで死を選ぶ大学生の「就活自殺」が、2013年までの7年間で218人にのぼったという。

産経WESTは1月3日の記事で、「あー、いつまで就活するんや、俺」とブログに綴って自殺に至った学生のケースを紹介し、ネットで大きな話題を呼んだ。ツイッターには、読者からこんなつぶやきが投稿されている。

「老人たちには甘い部分しか見えていないが、若者にとっては現実は死ぬほどつらい」

自殺した学生の親も「正社員主義」の弊害指摘

産経WESTは同日の別記事で、就活自殺をなくすには「根本的には学生が安心して就職できる正社員の雇用量を確保する必要がある」という森岡孝二・関西大学名誉教授のコメントを紹介している。

その一方で前述の記事では、自殺した学生の父親が、本人や周囲が硬直した就職観に陥ってしまうことが、学生を追い詰める一因になっていることを示唆している。

「私も息子も、就職するなら正社員でなければならないと思い詰めたことが落とし穴だった。親が子に多様な生き方を提示するとともに、異変を感じた場合はいったん就活を休ませることも必要だ」

大学に入ったからには、正社員として有名企業に確実に入れるという思い込みが、「こんなはずではなかった」という失望を招くのだろう。この点については、就活市場のリアルな現状認識が必要とも考えられる。

大阪芸術大学の純丘曜彰教授は1月6日、INSIGHT NOW!に「身の程知らずの就活はムダ」という記事を寄稿している。有名企業の新卒採用は、最初から有名上位校のみをターゲットにしているのだから、それ以外の学生がいくら受けても無意味というのだ。

「人物重視、などという建前を真に受け、ムダに努力ばかりして、結局、どこも内定を得られず、最後には自殺してしまう学生の話を聞くと、冷たいようだが、もともと『常識と適性に欠ける』という、企業側の判断が正しかったように思わざるをえない」

無理に入社しても「エリート連中の捨て駒にされるだけ」

純丘教授が「企業側が採りたいターゲット校」として名前をあげるのは、「東大京大ほか旧7帝大と東工・筑波・一橋、早慶までの12大学のみ」だ。

大学名と優秀さはイコールではないという議論もあるが、純丘教授は有名大卒が集まることが「有名企業としての組織的ステータスの源泉になっている」ので、実績として採っておかないと人事部が責任を問われると指摘する。さらに企業は、限られた資源を学生の精査に集中するために、

「上記12大学に、GMARCH・関関同立を加えた22大学までが、(有名企業)2千社にとっての採用審査対象」

に限られると断言。それ以外の採用は「まったくの例外」であり「よほどウリがなければ、エントリーシートの段階で早々に『お祈り』する」のが現状だという。

確かにこのようなリアルな認識をもって就活に臨むことは重要だが、ターゲット校以外の学生は途方に暮れてしまいそうだ。ただ、早めに有名企業以外の道を探ることで無意味な「お祈り」が減り、手詰まり感が減ることも確かである。

純丘教授も、有名企業に入りたいなら「最初から22校に入るべきだった」としつつ、無理に入社しても「幹部候補として温存されるエリート連中の捨て駒にされるだけ」だし、その企業も将来どうなるか分からないとして、次のように助言している。

「就活ごときで思い詰めて自殺してしまう以前に、このろくでもない社会の本音、欺瞞、狡猾さを学び、その泥沼の中で生き抜いていくメンタルな強靱さを身につけることの方が先決じゃないのか。そして、そのメンタルな強靱ささえあれば、べつに有名企業の就職にこだわることもないんじゃないのか」

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