少子化時代、女性の社会進出が進む時代ゆえか、「男の育児」が礼賛される風潮だ。しかし、漫画家・弘兼憲史氏があえて異議を唱える。

 * * *
 昨今、子育てを熱心にやるイクメン会社員がもてはやされています。しかし現実には、仕事のできる人間というのは家庭では必ずしも好かれていないし、逆に家庭的で幸せなパパというのは会社ではそんなに出世しない、という構図があります。

 仕事ができて出世して、家庭でもイクメンで運動会にも参加して子供に好かれる。それはもちろん理想ですが、現実には難しい。

 たとえば僕が上司の立場だとして、急遽、重要な案件が発生して緊急会議になるから残ってくれ、と部下に頼んだとします。その返答が「すみません、今日は子供の誕生日なので帰らせてください」だったとしたら、僕はその部下を仕事から外しますね。

 たとえ子供の誕生日だとしても会社の重要案件となれば、給料をもらっている以上、やっぱり会社を優先すべきです。子供の誕生日、あるいは子供の運動会程度のことで会議をすっぽかすな、とは言いたい。

 僕自身、子供のときにオヤジが運動会に来てくれたことはなかったし、それで嬉しいかといえば、全くそんなことはない(笑)。「運動会に来い」というのは、実は母親の自己満足ですよ。「よそのお父さんみんな来ているのになんであんた来ないの?」という。

 なにより問題なのは、多くのパパたちがイクメンになったからといって、イクメンではないけれど仕事に打ち込んでいる父親への、ある種の批判的な意見が当然のように存在する、ということです。本来、どちらが正しい、こうあるべきだという話ではないはずです。

※SAPIO2015年2月号

全文を表示