第8回文化庁映画週間の「シンポジウム―MOVIE CAMPUS―」が2011年10月28日六本木ヒルズで開かれ、国内外の映画文化について新境地を切り開くような取り組みが語られた。「今、日本のアニメーション映画の未来を考える」と題された第1部では、アニメーション映画監督やアニメーター、評論家ら6名が集結し、日本のアニメーション映画の現状と今後の展望について深く議論を交わした。

 5つのテーマに沿って話し合われた第1部。3つめ「海外展開について」というテーマに関連して「最初からグローバルな展開を狙うと、日本のアニメのよさが損なわれるのでは? 日本人に合わなくなるのでは?」と司会者に問われると、各パネリストからはさまざまな意見が述べられた。イギリスでアニメーションを学び、フランスのシルヴァン・ショメ監督最新作『イリュージョニスト』でアニメーターを務めた鈴木亜矢氏は、宮﨑駿監督『千と千尋の神隠し』や、『トイ・ストーリー』シリーズなどで有名な米ピクサー社を例にあげ、「その国の文化を色濃く出しているものであるからこそ世界中に認められた作品」があることを指摘。

「文化って探しながら観るものではなくて、感じとるものだと思うんですね。(中略)だから海外展開というときに、『文化性をなくさないとお客さんがわかってくれない』という考え方をすると、お客さんが掴むところがなくなると思うんですよ」

と語った。

 するとこれに反応して、東映アニメーション株式会社・取締役の風早完次氏は、「フランスの人だったりイタリアの人だったり、日本のアニメ文化で育った人たちが、『われわれは、あれをこういうふうに捉えたから、こういうふうにローカライズしたい』」と働きかけてくることで、元が日本の話であっても発信先が海外になる作品ができる可能性もあると発言。「自分がなにを作りたいか、そのときに誰が手伝ってくれるかだということだと思う」と国内外を意識しない作品作りのスタイルも示した。

 ほか約2時間にわたって、制作体制や人材育成、アニメ作りの土壌についてなど、アニメーションに関わるあらゆることが議論された同シンポジウム。最後にコメントを求められたアニメ評論家の氷川竜介氏は、「『日本のアニメは海外で大評判』という、マスコミに必ず書かれる言葉があって、僕は不愉快に思ってるんですけど。なぜ海外に言われたことが評価になるのか」と問題提起し、

「日本人が作っているアニメは、こういう歴史があって、このような特徴があって、ここと比べるとこういう違いがある、私たちはこのような考えがあってアニメを作ってきたし、これからも作っていきますっていう、ちゃんとした宣言文なり自画像なりを言葉にして、意識に結びつけていくことで"未来"が描けると思う。そういったことを普遍的にできるようにご支援いただきたい」

と呼びかけ、締めくくった。

◇関連サイト
・シンポジウム -MOVIE CAMPUS- 第8回文化庁映画週間
http://bunka-cho-filmweek.jp/moviecampus/index.html
・アニメミライ
http://animemirai.jp/

(古川仁美)

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