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 経済、農業分野のみならず、知的財産の分野にまでグローバル化を求めているTPP(環太平洋連携協定)参加交渉。TPP加盟によって、日本の著作権法はどのようなインパクトを受けるのか、また、同人誌、コスプレ、ボカロ、MAD動画などの二次創作文化はどうなってしまうのか。2011年11月11日に開催されたシンポジウム「TPPはネットと著作権をどう変えてしまうのか?【第2弾】 検証!保護期間延長・非親告罪化・法定賠償金」では、『魔法先生ネギま!』原作者の赤松健氏ら有識者が、TPP交渉の知財分野における問題点を踏まえた上で、日本のメディアコンテンツ産業の将来像について議論し、その模様はニコニコ生放送で中継された。

■「一番心配なのは萎縮効果」と福井弁護士

 現在の日本の著作権法は、権利者が権利侵害を訴え出ることで、はじめて法的な処罰が可能になる制度(親告罪)であるため、権利者への実害が少ない二次創作コンテンツなどについては、目立った取り締まりは行われていない。そのため、日本では二次創作文化が発展し、クリエイターの育成、輩出を支えているという側面もある。

 TPP交渉の過程で、日本側への要求が想定されている「非親告罪化」とは、著作権の権利侵害の事実が確認された時点で、ただちに法的な処罰が可能になるというというもの。弁護士で日本大学藝術学部客員教授の福井健策氏は、現状を次のように述べた。

「多くの同人誌などは(権利者の)許諾の無い状態でやっている。形式的にも実質的にも著作権侵害の部分が大きいが、警察は多くのものを摘発していない。なぜなら、明瞭に"許諾を与える"とは漫画家や出版社は言いづらいけれども、刑事罰までは望んでいない。つまり、グレーな領域の中でなんとなく許されている状況がある」

 福井弁護士は仮に著作権違反が非親告罪化した場合でも、摘発が活発化する可能性は低いと見るが、一方で、「一番心配なのは萎縮効果」と、非親告罪化による作家の過剰な萎縮を懸念する。

■赤松氏「戸愚呂(弟)式に言うと・・・」

 このような状況で、「同人出身の作家が増えている。だから故郷を潰されたくないと思っている」と語る赤松氏は、二次創作と同人誌の即売会を守る方法の現実的な案として、「作者側が『私たち(マンガ家は)同人誌が結構好きです!』とアナウンスすること」を挙げ、「これなら、すぐにできる」とした。

 その一方で赤松氏は、「TPPが導入されるのは、同人作家が意識改革をするいい機会になるかも知れない」と指摘。

「同人作家には危機意識が足りない。『幽遊白書』の戸愚呂(弟)式に言うと、『もしかして、自分が死なないとでも思っているのか?』と。一回(TPPを)導入した後に、もう努力なしでは幸せなことは続かないんだとわかったとき、変化が訪れるかもしれない」

と語り、そうした状況で同人作家と著作者とが「緩くつながる」ことで、日本の二次創作文化が世界に拡がるような新しい展開があるのでは、との見方を示した。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 赤松氏「同人作家は危機感が足りない」から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv69974885?po=news&ref=news#1:01:34

(内田智隆)

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