現在ミリオンセラーを記録している、スティーブ・ジョブズ初の公式伝記『スティーブ・ジョブズ(上・下巻)』(講談社)。ダ・ヴィンチ電子ナビでは、発売にいたるまでの経緯や、発売後の反響などを出版元の講談社編集担当者に取材した。
発売当初、カバーのデザインが「オリジナルとかけ離れた改変だ」と一部の方が批判を寄せ議論を呼んだ。編集部にも、抗議の電話がかかってきたという。
「たしかに発売当日、編集部にも電話が掛かってきました。“なぜ、あんな文字が載っているのか?”という抗議でした。おそらく帯のコピーのことを仰っていると思うんです。あるいは、タイトルの文字がオリジナルのものより大きいというのもあるかも知れません。
“顔写真だけで分かるじゃないか”と言う方もおられるかも知れませんが、私たちとしてはより多くの方々に本書がスティーブ・ジョブズの伝記であると伝えたかった、という思いがあります。翻訳者のお名前もやはりきちんと入れるべきです。私たちとしては、この装丁がベストだと考えています」(講談社学芸局翻訳グループの柿島一暢さん)
ツイッターや一部ニュースサイトでは、各国版のカバーを並べて過剰な装丁だとされた。
「そもそも、“書籍の中身には一切文句をつけなかったジョブズ氏が唯一注文をつけたのが表紙だった”というのは事実ですが、これは“英語版のオリジナル(原書)の表紙を海外版もそのまま使ってほしい”という意味ではありません。大きな誤解です。
実は、原書はもともと“iSteve The Book of Jobs”というタイトルで、表紙も現在のものとはまったく異なるデザインだったんですが、その表紙を見たジョブズ氏が「変えてほしい」と注文をつけた・・・というのが真相です。
ちなみに、契約書には“表紙については事前にアメリカ側の許可を取ること”という条項があったので、我々は日本語版の表紙デザインをアメリカの代理人に送り、アプルーバル(許可)を得た上で制作しています。“ジョブズ氏やご遺族・関係者の意思を無視して改変を行った”という指摘はまったく正しくありません」(講談社学芸局翻訳グループの青木肇さん)
実際、帯を取れば「講談社」という社名すらなくなり、デザインには十分な配慮がされたことがうかがえる。
「オリジナルにはある各章扉の写真がない、という批判も承知しています。あの写真の利用は翻訳書の発行の条件に含まれておらず、別途それぞれの写真の権利者との交渉が必要でした。写真を原書のように増やし、ページ数を多くすれば、その分価格に跳ね返ってきます。スケジュール的にも現実的ではなく、より多くの人に手にとってもらう定価、2000円以内におさめるためには、扉の写真はなしで行こうという判断をしました」(柿島さん)
(ダ・ヴィンチ電子ナビ ミリオンセラー『スティーブ・ジョブズ』 はこうして生まれた)




