中国が提唱したAIIB・アジア・インフラ投資銀行に創設国としてイギリス、オーストラリアなどアメリカの密接な同盟国を含む50の国・地域が参加を表明した。

 

各国それぞれに参加への背景、理由が異なるが、国際社会で中国の存在感が着実に増しているのを示す象徴的な出来事だ。

 

日本のAIIB創設国への参加見送りは、「地球儀を俯瞰する」と称する外交を推進した安倍氏らがアメリカ主導の戦後国際体制が転換点に来ている世界の潮流を読み誤ったための大失敗といえる。

 

AIIBは13年10月中国の習金平国家主席がAPEC首脳会議で提唱、次いで14年4月、李克強首相がボアオ・アジア・フォーラム総会で提唱し、各国に創設国として参加を呼び掛けた。

 

14年10月、北京にアジアの大国インド、ベトナム、カザフスタンなどアジア各国21カ国が集まり設立の覚書に調印。続いて中東各国も相次いで参加を表明。

 

その後、中国が創設国の登録期限としている3月31日に向け名乗りを上げる国が更に増加し、3月後半に欧米先進国も相次いで参加を表明した。

 

日本は融資先選定基準や意思決定制度などに透明性が欠けているなどの理由で、アメリカと共にAIIBの創設国としての参加を見送った。

(内内には、領土問題などでアメリカの支援を必要としていて、アメリカの意向・圧力を無視できなと判断したのだろう、と推察しているが)

 

3月13日に参加を表明したイギリスは何と言っても安全保障面でアフガン・イラク両戦争に参戦し、テロ関連情報などを共有するなど、アメリカとの「特別な関係」を掲げてきた国だ。

 

一方で金融の中心としての座を維持する重要性も忘れない。独自に持つ金融の知識、情報、ノウハウを武器に創設国としてAIIBの具体的な制度・機能作りに発言権を行使できるとの狙いがある。

 

 またドイツの中国との緊密な通商・貿易関係は自他共に認めるところであり、フランス、イタリアのG7国や他のヨーロッパ諸国も中国との通商・貿易関係を重視し、イギリス同様に創設国として強い発言権を確保する意図が鮮明だ。

 

50の地域、国の中には中国と領土問題を抱え安全保障面でアメリカに頼るフィリピン、ベトナム、海洋権益問題で牽制するインドネシアも含め東南アジアの殆どの国が名を連ねる。

 

オーストラリアはイギリスと同じくアメリカと世界の情報共有を進める所謂「5つの目」の一員でアメリカと安全保障の同盟国だが、経済面では圧倒的に中国と結びつきが強く、通商上の利益を考慮した。

 

韓国は安全保障面ではアメリカ依存、一方中国との通商・貿易量はアメリカ、日本と合わせたよりも大きい。結局米中双方の圧力の間で悩んだ末、中国との経済関係を重視する決断だった。結局G7先進7カ国で加盟申請をしなかったのは日米だけ。

 

更に安全保障面で韓国以上にアメリカの支援が欠かせないイスラエルもアメリカの意向を無視して参加。期限となった3月31日にはロシア、台湾も参加を表明している。

 

アメリカは加盟への意思表示はしていないものの、3月末にルー財務長官が北京を訪れ、AIIB発足後もアメリカの権益を図るべく中国側首脳と会談し、一応歓迎の意を表している。

 

アメリカ、日本の主導で出来たアジア開発銀行の総裁もAIIBとの協力の可能性を述べるなど、前向きの発言をしている。

 

しかしAIIBに先進国を含む50の国・地域が参加を表明したことはアメリカの影響力の衰え、世界が一極時代から多極化時代に入ったことを意味しよう。

 

日本では今頃になって自民党内部で6月までに資金参加すべき、などの意見が出され党内協議を始めたという。

それで果たしてAIIBでどれだけ存在感を発揮し発言権を確保できるのか不明だ。

 

中国を事あるごとに意識し、対中世論を煽ってきただけにAIIB参加の件では安倍政権の無策ぶりが目立つ。

「地球儀を俯瞰する外交」という看板を掲げてきたが、欧米メディアは安倍外交を通商面では原発・軍需産業のセールスマン外交と見ている。

 

何しろ多額の税金を使った、訪問国の数が多いだけの安倍「地球儀を俯瞰する外交」の結果、肝心の隣国、中国と韓国との本格的な首脳会談は未だに実現できないままでいる。

 

AIIB創設国への参加見送りは、基本的には世界の潮流の変化を見誤り、日本国民の利益よりはアメリカ政府の追随でしか無く、安倍「地球儀を俯瞰する外交」の大失敗の一つとなった。

 

〈写真:首相官邸ホームページより〉

AIIB・アジア・インフラ投資銀行、創設国への参加見送りは、時代の流れを見失った安倍(地球儀俯瞰?)外交の失敗