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GWは仕事を休み、行楽に出かける人も多いだろう。しかし世の中には休めない人たちがいる。特に接客サービス業は、連休こそが書き入れ時だ。おかげで休みを快適に過ごせるのだから、もっと感謝されてもいい仕事ではないか。

そんな接客サービス業で、最近特に問題になっているのが「過剰クレーム」だ。2015年4月24日放送の「おはよう日本」(NHK総合)では、「追いつめる社会」と題してその実態を追っていたが、そこには珍しく「加害者の論理」が紹介されていた。

40代男性「飲食店や工場などで非正規の仕事を転々し…」

あるコンビニでオーナーが深夜勤務をしていると、おにぎりの温め中に男性客が店外に出ていってしまった。その客はしばらくして戻ってくると「食べようとしたら入っていなかった!」と怒鳴り散らし、オーナーに土下座を強要したという。

このような理不尽かつ激しい感情的な批判を伴うクレームは、明らかに過剰なものだ。オーナーはこれがきっかけで店に近づくのも怖くなり、恐怖で深夜勤務ができなくなった。

なぜ過剰なクレームが増え続けているのか。番組では過去に土下座をさせたことがある関東地方に住む40代の男性に話を聞いた。病院で長時間待たされたことに腹を立て、事務職員に土下座を求めた時のことをこう語る。

「自分は間違っていないという事を知らせたかったのかな、他の人にも」

この男性は、飲食店や工場などで非正規の仕事を転々としてきた。「(上司からの)圧力がキツかったねえ。言われたことは全部やらなくちゃいけないと思うから。無理をして無理をして」と当時を振り返る。いまも仕事ができないでいるという男性は、胸の内をこう明かした。

「自分が厳しくされたことを世間に見せつけみたいなことをさせたい、という気持ちはあるかもしれない」

ストレスのはけ口を他人に求める「負の連鎖」も

クレーム対応のコンサルティング会社を経営する援川聡さんは、1000以上の企業からクレームの相談を受ける中で、過剰なクレームをつける人に共通する傾向に気付いた。それは、孤立やストレスで社会のひずみの影響を強く受けている人たちだ。

「75歳、独居のお年寄り。家族とは疎遠な関係がうかがえる」
「50代、自分の母親の介護に疲弊している」

援川さんは「劣等感や自分の『こうしたい』という欲望・希望が、思いどおりにならなかった時にクレームになっている」という見方を示した。

取材にあたった水嶋大悟ディレクターは、過剰クレームを発する人の言葉の端々に「社会に対する強い不満」を感じたと話し、ストレスのはけ口を他の人に求める「負の連鎖」も起きていると感じたそうだ。

一方、接客の現場では過剰クレーマー対策を練り始めており、過剰な要求に応えないとする研修も行われているという。名古屋市の市営地下鉄では、警察を招いた暴力に対する対応の仕方を学んでいた。

番組を見ると「加害者の論理」にも同情するが、だからといって「弱いものがさらに弱いものを叩く」ことを放置すべきではない。まじめに働いている人が理不尽に被害者にならない工夫はもっと必要ではないか。「おもてなし」の名の下で、働く人に我慢を強要する世の中の風潮を根本的に変えるべきだ。(ライター:okei)

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