サーチナ

 福建省ホ田市と江西省南昌市を結ぶ高速鉄道路線の向ホ鉄路を走る列車内で8日午前11時10分ごろ、乗客が食べようとした弁当が爆発した。(「ホ」は草かんむりに「甫」)

 若い男性が車内で食べようと、中国で流行している「自熱盒飯」と呼ばれる弁当を持ちこんだ。中国人は、前菜など例外を除いて「冷たい食べ物」を嫌う。味が悪いだけでなく、冷えているだけで体にも悪いと考える人が多い。

 「自熱盒飯」には食品を入れた部分の下に、発熱材を入れる部分がある。料理の種類によって、温度上昇の仕方もそれぞれ工夫するなど、「食べ物にはうるさい中国人」のニーズを満たす配慮がなされている商品だ。さらに、食品は加熱してから密封しているので、常温で保存できて便利だ。

 男性は福州駅で同駅始発のD6502列車に乗った。発車時刻は8時半。目的地は、午後0時18分に到着予定の終点、南昌駅だ。男性は午前11時ごろ、「自熱盒飯」を食べようと用意を始めた。正午すこし前に、「温かいご飯」をいただこうと考えたからだ。快適な高速列車の旅が、さらに楽しくなるはずだった。

 男性は発熱材の入っている袋をセットした。容器に書かれていた説明に従って水を注いだ。そして、目の前の座席後部に取り付けられたテーブルに置いた。

 「そろそろ温かくなったかな」と、目の前の弁当を見た。すると弁当容器が急に膨らみはじめた。「おや、どうしたのだろう?」と思った瞬間に「バン!」と音をたてて“爆発”した。

 弁当の内容物が飛び散った。弁当の異変にあっけにとられた男性に向け、白煙が噴出した。白煙のように見えたのは白い粉状の物質だった。男性の顔や頭、衣服は粉だらけになった。

 通報を受けた車掌は緊張した。列車の機器にトラブルが発生したのか……。乗客を守らねばならない。消火器を持って駆けつけた。異変は一応、おさまったようだった。しかし油断はできない。周囲の乗客を離れた場所に移動させた。幸いなことに、パニックの発生は避けることができた。車掌は改めて“爆発物”を見た。弁当だった。2度目の爆発はなさそうだった。

 一番たまげたのは弁当を食べようとしていた男性だった。顔も服も「白い粉がまぶされた」状態だった。車掌も来た。それ以上の事態はなさそうだった。急いで洗面所に洗いに行こうとした。車掌は「あ、まずい」と思った。温かくなる弁当は、生石灰と水が反応して発熱する現象を利用すると知っていたからだった。

 男性の顔は、濡れていないように見える白い粉だらけだった。水で洗ったら反応しはじめて温度が上昇。やけどをするかもしれない。車掌は男性の顔などを布で丁寧にぬぐってから、洗ってもらうことにした。

 同爆発で死傷者は出なかった。鉄道当局は「列車に乗る際には、安全面でリスクのある食品やその他の物品を持ちこまないでください」と、乗客に呼びかけた。

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◆解説◆
 向ホ鉄路の全長は支線を含めて635.8キロメートル。2013年9月26日に全線開業した。大部分は最高時速200キロメートルだが、一部の区間では250キロメートル走行を行っている。貨物列車が走っている区間もある。貨物列車の最高時速は120キロメートル。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)

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