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 大学3年生を対象とした就職活動が例年より2ヵ月遅い12月に始まった。そんな中、2011年12月7日のニコニコ生放送では「高学歴ワーキングプア」の問題について大学関係者らが熱い議論を交わした。

 日本では1990年代、大学の研究基幹組織を大学から大学院へとシフトする「大学院重点化」が進められ、この20年間で大学院生の数は7倍に増加したととも言われている。大学は研究機関として充実した一方で、企業側が博士課程を経た学生の受け入れを避けるため、博士号を取得したのに仕事が無いという、いわゆる「高学歴ワーキングプア」問題が起きている。

■年に1万人の「博士」が職にあぶれている

 高崎経済大学・慶應義塾大学で非常勤講師を務める千葉雅也氏は、自身も常勤職を探さなければいけないという状況で「司会をする立場ではないが」と断りつつ、「特定の専門領域プラス、ビジネス的にアピールできる副専攻のキャリアパスが必要」と学生にアドバイス。大学自体は経営維持のために社会人学生などを受け入れつつも、若者に対して決断を迫るのも大事との持論を述べた。

 首都大学東京都市教養学部の西山雄二准教授によると、年間1万5000人が博士号を取得するのに対し、大学側の教員採用は5~6000。つまり単純計算で毎年1万人あぶれているという。彼らはフリーターやポストドクター(博士課程終了の研究者)で生活を保ちつつ、論文執筆や学会発表などで実績を上げながら少ない大学採用枠に対して熾烈な争いを繰り広げている現状なのだ。

■「モラトリアムを永続化しただけ」の博士課程

 千葉氏は、「よく『大学に残る』という言い方をするが、実際に自分の出身大学に残るなんてことはありえない。(教員募集をしている大学に)何十通も書類を書いても就職は決まらない。いわゆる就活と同じ。その厳しさは知っておくべき」と、現実の厳しさについて声を荒らげて訴えた。博士を増やす施策はそもそも間違いだったという立場の千葉氏は、その理由を

「学生のモラトリアム期間を永続化しただけ。勉強している状態ならばいいとズルズル自分探しをひっぱっている」

とバッサリ。社会人学生など、経済的に自立した人たちが生涯教育として大学に戻ってくるのは自己確立のためにも大学活性化のためにもいいとしつつ、学生がそのまま大学に残ることについては

「人文系はいわゆるアーティストと一緒。漠然とした最終目標に対して夢を見るのは危険。生きていけなくなる可能性もある。生涯教育の夢を見せてひっぱるのは大学の経営戦略として必要なのかもしれないが、若い人に対しては極めて残酷で、『ここまでである程度のことを学んだ』という区切りを示すことも大事」

と、安易に博士課程に行こうとする学生および現状の大学経営に対して警鐘を鳴らした。年齢的に学生の本音と接する機会の多い千葉氏ならではの、学生を思いやるゆえの厳しい発言の多い討論会となった。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 千葉氏のアドバイスから視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv72697153?po=news&ref=news#35:14
・JREC-IN - 研究者人材ベース(大学求人公募情報サイト)
http://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekTop

(大塚千春)

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