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 "神の粒子"と呼ばれる「ヒッグス粒子」発見につながるかも知れない――。欧州合同原子核研究機関(CERN)は2011年12月13日、「ヒッグス粒子」発見の可能性が高まったと発表した。ヒッグス粒子こそが、いわゆるダークマター(暗黒物質)の正体ではないかとの見方もある。

 ヒッグス粒子は"神の粒子"とも呼ばれ、この宇宙ができて間もない頃、すべての素粒子に「質量」を与えた粒子であると考えられているが、いまだ発見には至っていない。もしヒッグス粒子があるとすれば、これまで「真空」と考えられていた状態であっても、そこにはヒッグス粒子で埋めつくされた「ヒッグス場」が存在することになり、これまでの概念がひっくり返る可能性がある。

 CERNのアトラス日本グループの研究者たちは、円周約27kmもの巨大な施設を用いる「アトラス実験」に携わっており、同じ施設では別のグループが同じ実験をしている。この2つの実験から今回、ヒッグス粒子について「『発見した』とも『兆候がある』とも言えないが、『かなり興味をそそる示唆』が現れた」という。

■500兆回実験しても「まだ言い切れない」

 「発見した」と断定できない理由は、単にデータ量が足りないからだという。この実験ではすでに500兆回もの素粒子の衝突実験が行われたが、ヒッグス粒子とは関係がないにも関わらずヒッグス粒子の働きのように見える「バックグラウンド事象」や、期待を持ってデータを見てしまうために単なる偶然を信号と誤認する「どこでも現象」がある。これらを考慮すると1.1%「まちがい」の可能性があり、誤差100万分の1以下の精度を求める「発見」には程遠い。

 だが、このペースでデータ収集していけば、来年にはヒッグス粒子を「発見した」もしくは「存在しなかった」と発表することができる見込みだという。発見に至れば「真空は、実は真空でなかった」という成果を得られ、逆にヒッグス粒子の存在が否定されれば「これまで知られていない別の何か」がそこにあることになる。

 会見で説明を行ったアトラス日本グループの研究者で、浅井祥仁准教授は興奮気味に語る。

「実験の結果が出始めた7月頃からまともに寝ていません。寝なくていいくらい楽しい」

◇関連サイト
・LHC実験の最新成果 - 会見資料(pdfファイル)
http://info.nicovideo.jp/niconews/pdf/cern1.pdf
・CERNプレスリリースの和訳と英文 - 会見資料(pdfファイル)
http://info.nicovideo.jp/niconews/pdf/cern2.pdf

(土井大輔)

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