ニコニコニュース(オリジナル)

 精密機器メーカー・オリンパス元社長のマイケル・ウッドフォード氏は2011年12月14日夜、オリンパス現役従業員の質問に答えるニコニコ生放送の番組に出演した。「不安」を抱く同社の現役従業員や視聴者から寄せられたさまざまな質問に対し、ウッドフォード氏は正面に受け止めながら答えた。

 以下、会見を全文書き起こすかたちで紹介する。

・[ニコニコ生放送]全文書き起こし部分から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv73722602?po=news&ref=news#7: 20

■ウッドフォード氏が解任されて2ヶ月

内藤聡子氏(以下、内藤): お待たせいたしました。こんばんは。内藤聡子です。

 医療用の光学機器や顕微鏡の分野で世界最大手のオリンパスで発覚した巨額の損失隠しによる粉飾決算事件。この問題発覚後、オリンパスの株価は大暴落。上場廃止を懸念した投資家達による投げ売りも多く見られました。そんなオリンパスが上場廃止になるかどうか、その鍵を握っていたのが決算書の報告。今日12月14日までに四半期決算報告書を提出しなければ、上場廃止になるとまで言われていましたが、オリンパスは今日、2007年3月期からおよそ5年分の決算訂正と、2011年7月から9月期決算を関東財務局に提出しました。

 これにより、報告書の提出の遅れによる上場廃止は免れましたが、今後、報告書の内容を調査した上で、上場を廃止するかどうかを最終的に判断されます。ちなみに今回の決算報告書では過去の損失を反映した結果、利益剰余金が大幅に減り、財務の健全性を示す自己資本比率は、9月期末で4.5%まで低下。訂正作業では海外ファンドなどに移し替えていた損失を取り込み、2007年3月期連結決算の利益剰余金を1172億円減額修正しました。

 その結果、純資産は大幅に減ったものの、訂正期間全体を通じて、債務超過には至らなかったとしています。世界的な大企業であるオリンパスが起こした一連の騒動。株主はもちろん従業員にとっても、まさに晴天の霹靂でした。

 先日ニコニコ生放送にもご出演いただきました、オリンパス再生のためのウェブサイト『Olympus Grassroots』を立ち上げた元オリンパス専務・宮田耕治さんのもとには、オリンパスの従業員、そして個人株主、顧客の皆さんから数百通にのぼる意見や質問が寄せられているそうです。

 そこで今夜のニコニコ生放送では、昨日再来日したオリンパス元社長のウッドフォード氏にご出演いただき、前半は、宮田さんのもとに寄せられた、オリンパス従業員や、個人株主、顧客からの質問にウッドフォード氏に直接お答いただきます。そして、後半はユーザーの質問にお答いただくという2部構成でお送りしていきます。それでは、本日の出演者の皆さまをご紹介いたしましょう。まずは、オリンパス元社長のウッドフォードさんです。よろしくお願いいたします。

マイケル・ウッドフォード氏(以下、ウッドフォード): good evening.(こんばんは)

内藤: good evening. 続きまして、在日33年の修行僧で、ウッドフォード氏の親友でもあり、今日は通訳も務めていただきます、ミラー和空さんです。よろしくお願いいたします。

ミラー和空氏(以下、ミラー): よろしくお願いします。

内藤: そして、オリンパス元専務の宮田耕治さんです。よろしくお願いいたします。ウッドフォードさん、本当にお忙しい中、今回のご出演ありがとうございます。

 さて、それではウッドフォード氏にお答いただく、ユーザーの皆さんからの質問をお待ちしております。番組の画面下にあります、専用フォームから投稿してください。

 それでは、本題に入る前にオリンパス事件について改めてご説明させていただきます。今年の4月、マイケル・ウッドフォード氏が社長に就任。そして6月、月刊誌『FACTA』の7月号で、過去の不可解なM&A(企業の合併と買収)が暴露されます。この記事を見たウッドフォード氏は、菊川会長をはじめとする、日本人取締役に説明を求め、最終的には多大な損失を出したという理由で退任を要求しました。そして10月14日、ウッドフォード氏が解任。17日、オリンパスから全てのM&Aは適正、そして適切だったと声明。26日、菊川会長兼社長が退任、高山氏が新社長に就任しました。11月4日、決算延期を発表。8日、オリンパスは過去の損失隠しを認め、このM&Aを過去の含み損の穴埋めに利用したと発表。10日、東京証券取引所は、オリンパスを管理銘柄に指定、上場廃止が危ぶまれます。12日に、オリンパス元専務取締役の宮田耕治氏がオリンパスの再生を呼び掛ける『Olympus Grassroots』を公開。11月25日ウッドフォード元社長が、オリンパスの取締役会に出席。現経営陣の退陣を迫りますが、交渉が決裂しました。そして、12月に入り1日、ウッドフォード元社長は取締役を辞任。現経営陣に対して、委任状争奪戦を仕掛ける意向を表明。そして今日、12月14日、四半期決算報告書を提出し、これによる上場廃止を免れました。

 今日でちょうど、ウッドフォード氏が解任してから2ヶ月が経ったことになるんですが、色々なことが起きた2ヶ月間でした。簡単にオリンパス騒動について振り返ったところで、本題に入っていきたいと思います。宮田さんの立ち上げたサイト、『Olympus Grassroots』に寄せられた質問をご紹介して、ウッドフォード氏に直接お答えいただきます。そして、通訳はミラー和空さんにお願いいたします。放送時間の都合で、全ての質問にお答えいただくことが難しいため、質問のピックアップを今日は宮田さんにお願いをいたしました。宮田さん、どのような基準で今回の質問を選ばれたんでしょうか?

宮田耕治氏(以下、宮田): 基本的には寄せられた質問の数をベースにしました。それから、私の主観で特にミスター・ウッドフォードの復帰に不安を感じている方、疑問を感じている方、そういう方の質問を優先しました。それから従業員以外の個人株主様、それから顧客の皆さまからも、寄せられておりますので、その中からも何通か選ばせていただきました。

■「オリンパスを独立した会社として生かしたい」

内藤: それでは早速、その宮田さんが選ばれました、ウッドフォード氏への質問をぶつけてまいりましょう。1つ目はこちらです、

「あなたは、オリンパスから不当な扱いを受けたにも関わらず、自らの生活を犠牲にしてまで、オリンパスへの復職実現に向けて、孤軍奮闘されているが、いったいなぜそこまでやれるのか?真の動機は何か教えて欲しい」

ウッドフォード: 今晩ご覧の現役の従業員の皆さまに、まず一言。ご覧いただいてありがとうございます。本日、この機会を生かして、私の真意をご承知いただきたいと思います。ぜひ、よろしくお願いします。

 まずは、残念ながらいろんな悪質な噂が流れているようですが、例えば私が中国勢や韓国勢と組んで何かオリンパスの技術を日本から奪おうとしているのではないかとか、ハゲタカファンドと組んでオリンパスの身売りに繋がるような、もしくはオリンパスをバラバラにするような仕組みを図っているのではないかと言われているようです。ここではっきりと言っておきたいのですが、私はそのようなことは絶対にしません。私はオリンパスを独立した会社として生かしたいと思っています。それは私の本当の念願です。

 日本人は本当に忠実心や帰属心を重視されると思います。いわゆるロイヤルティーをとても大切にされている国だと思います。そこで私は自分のことについて2つを申し上げたいと思います。1つは私はオリンパスに30年以上勤めてまいりました。また、入社して1年目に今の妻となった人と出会って、結婚も30年続いています。私もロイヤルティーをとても大切に思う人間です。

 (社員の)皆さんにとってオリンパスは非常に知名度のある社名でもありロゴでもありますが、私にとってオリンパスは単なる社名やロゴではなくて、オリンパスは人間です。私はオリンパスに30年以上にわたって勤めてきたおかげで、素晴らしい多くの人間と良い関係ができましたので、「こんなことをやっていてアホらしいんじゃないですか」と周りに言われることが多いのですが、朝起きてコンピューターをつけて前の夜から送られてきて溜まっているメールを見て、「頑張って下さい。是非オリンパスの為にさらに頑張って下さい」というメッセージを読んで励まされていまして、私は自分のことじゃなくオリンパスを優先的に考えていまして、そのように励ましていただきながらこの場を去ることはできません。

■「正直、逃げたいと思った」

内藤: 分かりました。では、続いての質問に移らせていただきます。

「不祥事を追求したことは評価するが、やり方がいかにも過激で結果として会社の損害を拡大してしまったのではないか?このやり方以外にももっと工夫する余地があったのではないか?」

ウッドフォード: 私は社内でこの問題の解決に取り組んできました。何としても社内でこれを解決させるべきものだと思って努力しました。この問題を指摘した『FACTA』という雑誌の記事が、最初に出たのは7月20日でしたが、その12日後の8月2日に私はこの問題について会社のほかの経営者と話しました。

 その7月20日に出た『FACTA』誌の記事について、8月2日まで社内でどなたも問題にしなかったことを不思議に不自然に思っていました。ついに8月2日に菊川会長と森副社長にこの記事を見せて、「どうしてこの記事を私に見せなかったか?」「私の部下の話によると、見せてないだけじゃなくて従業員にその雑誌を私に見せるなと言っていたと聞いていますが、それはなぜですか?」と追求しました。

 その時、私は菊川会長にこのように言いました。「私は社長です。私は立場上責任として、例えば決算にサインする立場におります。また監査報告書にも私はサインしなければいけないので、私がそういう責任を負わされる以上必要最低限の情報も絶対必要です」

 菊川会長は私の質問に答えてくれないので、森副社長に聞きました。例えばジャイラスという会社を、先ほど話がありましたように20億ドルで買収していましたが、その後また7億ドルの支払いがさらにあったのです。その7億ドルはわが社の2年分の当期純利益平均の総額に相当する金額であって、「この支払いは果たして何の目的のものでしたか?」と追求しました。

 「何かの株を買う為の支出だった」と彼(森副社長)は誤魔化そうとしたんですが、「その前に20億ドルも払った時、それは株式の100%を買い取ったはずなのに、なぜ今となってさらに株を買ったりすることがあるのか?」と(追及しました)。そこで『FACTA』誌が指摘したもう1つの問題について質問しました。うちの本業とまったく関係無い3社を買収するために8億ドルも支払っていました。つい、不思議と笑ってしまうような話になったのですが、森副社長に「「うちは化粧品(会社)ですか?電子レンジ用の食器を作っている会社を買っていました。間違いのなくオリンパスは日本を代表するハイテクな製造メーカーです。私たちの研究開発を通じて開発された高度な技術を生かして、世界に通用する製品を作っている会社です。私たちが化粧品とか電子レンジ用の食器を作る会社を買収する理由は何もないはずです」

 森副社長が黙ってしまいました。つまり7億ドル、8億ドル。15億ドルも2つの案件で支払っているのですが、それはうちの会社の5年分の当期純利益の総額に相当する金額です。果たして何のためにそれが支払われたか。

 私はどんどんイライラしてきました。一応私が社長なので、私の部下であるはずの副社長に重大な問題について質問しているにも関わらずまともに、答えてもらえていません。私はついに「森さん、あなたは誰に勤めているんですか?」と追求しました。

 「オリンパスに勤めている」とか「そちらのもとで働いている」と答えてくるんじゃないかなと思っていたんですが、そうではなくて彼はその時「私は菊川さんのもとで働いてます」答えてきました。森副社長のそういった反応で、この会社の非常に重大な問題があると分かりましたので、正直言って「まず真っ先にもうこの場を去りたい、逃げたい」と思いました。

■「私なら、独立を捨てないで財務状態の改善を図る」

内藤: 今のウッドフォードさんのお話を聞いていると、もう中からだけでは変えられないこともあったということですか?

ウッドフォード: これは事業の戦略上の何か意見の食い違いとか、そういうような問題じゃない。明らかに何らかの不正と思われる事件があったと思ったんですが、それについて聞けば聞くほど相手がごまかすような答え方しかしてくれなかったので、私はやっぱりこの問題の真相まで解明しないと気が済まないと(思いました)。繰り返して言いますが、これらの不正を指摘した記事が7月20日に発行された『FACTA』の8月号に載りました。そのような重大と思われる不正が指摘されている以上、日本の他のメディアや株主は、これについて会社に当然追求してきてるはずだと思ったんですが、菊川さんと森さんに聞いたところ「まったくそういった質問を受けてない」ということでした。

 しつこいようで申し訳ないのですが、非常に大切な点であって、ぜひご覧の皆さんにご理解いただいきたいです。もう少し言葉を尽くしてご説明させて下さい。その後、6通にわたって、菊川さんとか森さんに手紙を出しました。その手紙を出す都度に全役員に対して、通知を付けました。それぞれの手紙を英語だけ(の文章)でなくて和訳も一緒に出しました。これらの手紙をもって、この問題の解明を求めてましたが、先方は答えてくれなかったんです。そこで逆に「これ以外、何ができたでしょうか?」と私の方からお聞きしたいんです。

■「カメラに『オリンパスの再生』と刻んでいる」

内藤: 分かりました。ウッドフォード氏のお怒りもごもっともだと思うんですが、次の質問にいってよろしいですか。

「あなたはオリンパスが復活する鍵は何だと考えているのか。最大の3つの課題と、それを解決する施策の要点を披露して欲しい」

ウッドフォード: 第一に会社が揺れています。まず会社の安定化を図らないといけないと思います。オリンパスの財務状態は非常に悪い状態に陥っています。自己資本比率は非常に低い水準にあります。有利子負債を大量に抱えています。何らかの形でその貸借対照表の強化を図らなければいけないと思ってます。

 高山社長は何らかの戦略提携を考えているようですが、それを非常に懸念しております。なぜかというと、戦略提携と言えば、オリンパスが独立性を捨ててしまうことです。オリンパスは独立した会社としてやっていけます。私はそう信じています。貸借対照表の強化は必要なんですが、やり方はいくらでもありますので、戦略提携つまり身売りをする必要はまったくありません。私なら、独立を捨てないで財務状態の改善を図ります。

 2つ目の鍵としまして、私たちは4つのコアの部門に集中しなければいけないと思ってます。それらは医療機器、顕微鏡、工業用品、カメラをはじめとするコンシューマー商品です。いろんな不正もあって、不健全な形で資金が流出しているので、そのために私たちはこれらのコアの事業に投資すべき資金が足りなかった。例えば顕微鏡に関して言うなら、マーケットのシェアは非常に高いんですが、利益率は低いんですよ。再投資する必要がいかにもあります、戦略的に投資することによって、これらの事業は本当に世界に誇れる事業になるはずです。良い事業ですが、皆さんご存知のように、カメラ「PEN」(商品名)も本当に好評で、私たちはそのような商品を開発できる会社です。ですから、是非ともやはり経営基盤の安定化、財務状態の強化が必要で、またそれを独立を捨てないで図って欲しいと思います。

内藤: ユーザーの皆さまのご意見で、「カメラ(事業)を売却しないで欲しい」といった書き込みなども結構多く見られています。

ウッドフォード: ありがとうございます。この場を借りて明確に断っておきたいことがあります。私はカメラ事業をたたむつもりはありません。私は解職される前からカメラ事業をたたむつもりはありませんでした。私たちがPENのような素晴らしいカメラを開発して製造して売れる以上、このカメラ事業を育てていけるはずなので。今までは正直言って半端な形でこの事業を営んできた。馬鹿みたいな本業と関係ない会社を買収したりするんじゃなくて、同じ資金をカメラ事業に投資して強化すれば、あのカメラ事業は今よりも利益率の高い事業になるはずです。ちなみに私は、あのE-P3型のPENの最初の001番のカメラを持ってます。私は「オリンパスの再生」とそこに刻んでます。

■ウッドフォード氏が日本で学んだこと

内藤: 力強く言っていただきました。では次の質問にまいらせていただきます。

「あなたは社長就任以来、日本で過ごした時間が短すぎ、海外拠点ばかり優先して周り、オリンパスの最も大切な開発・製造拠点へはほとんど足を運んでいない。ものづくりの大切さを理解してないのではないか?」

なかなか厳しいご意見をいただきました。

ウッドフォード: ちょっと疲れて見えるかもしれませんが、実は4月1日からはちょっと疲れてきているかもしれません。オリンパスはグローバルな会社です。グローバルな会社を運営するには、オリンパスの本社が入っている新宿のモノリスビルの15階に座り込んで、できることではありません。

 私は日本で1つ大切なことを学びました。それは現場・現物(主義)です。私はグローバルな企業を運営するために、やっぱりその市場・職場・事業所・現場に出向くべきだと思います。私の会社の売上の70%は欧米が占めていますので、私は社長に就任した時、菊川さんとの合意によって、私は米州事業と欧州事業のそれぞれの会長、トップを務めることになってまして、それぞれの役員会の議長を務める約束をしてました。よって、欧米で過ごす時間はおのずと多くなりました。もちろん中国などの他の市場も回りました。ちなみに、私の40%の時間は日本で過ごしてましたが、うちの会社の実態に鑑みてはそれは適切な割合だと今も思っております。

 また研究開発に関して、私は研究開発の信者です。私は最初、イギリスのキーメッドという医療機器製造販売会社にいましたが、その会社は親会社(オリンパス)よりも売上の比率として、高い水準の研究開発支出をやってました。私はその後担当するドイツの会社も親会社よりも売上比率として多く研究開発に投入してました。やはり製造メーカーである以上研究開発は非常に大切です。ただ戦略的に割り当てる必要はある。ばら撒くことは良くありません。

■会社の机の上に私物を置くことを制限した理由

内藤: 分かりました。では次の質問に移らせていただきます。

「高山社長が主張する『ウッドフォード氏が解雇された理由は、ウッドフォード氏の独断専行の経営姿勢がオリンパスにとってマイナスであるから』という説明に納得している社員は多い。あなたが主張する『解雇の理由は不正を暴いたから』と言うのも理解するが、独断専行という批判にはどのように反論するのか?」

ウッドフォード: そう言われて「皮肉だな」と感じます。菊川政権の時以上、独裁的なものはなかなかないと思います。例えば、机の上に私物を置くことを制限したことについて、私はこのようなことを言われているようです。聞く人によっては、「机の上に私物を置いて良いもの、置いてはいけないもの」というのは余計なお世話であると思われるかもしれませんが、ちょっと考えてみてください。修理工場で働いていらっしゃる方、製造現場で働いていらっしゃる方は製造ラインの脇に自分のおもちゃとか置いたりするのが許されるはずはないですよね。だからと言って、1部門の方々が置いて良いかというと、それは変な話だと思う。

 誤解のないように、ご家族の写真、ペットの写真、お子さんやお孫さんが描いてきた絵を飾っていだだいても何の問題ないんですが、裸の女性が写っているカレンダーを掛けたりとか、自分の好きなプラモデルを置いたりしていただいては本当に困ります。また、1つお分かりいただきたいんですが、私は会社は開かれているものと思っていまして、職場環境は会社の看板だと思っています。私たちは開放的に多くのお客さんを案内することが多いので、どのような形でお客さんに見られたいかをお考えいただきたいと思います。

■「ハゲタカファンドとは組むつもりはない」

内藤: 「ウッドフォード氏の例えがとても分かりやすい」とユーザーの方がコメントで書かれていらっしゃることが多い。では次の質問に移ります。

「なぜ強引に株主総会による対決を望むのか?なぜ取締役を辞任せず、高山社長以下現経営陣と協力してオリンパス再生の新体制、シナリオ作りに取り組む道を選ばなかったのか?海外株主は短期的な利益を目指すハゲタカではないのか?それらと組んで乗り込み、結果としてオリンパスをバラバラにしてしまうのではないか?」

ウッドフォード: 私はハゲタカファンドなんかと組むわけありません。オリンパスに被害をもたらせることは絶対にしません。かねてより私が日本の文化について尊敬していることの1つは、(この国は)敵対的な手出しを避ける傾向が強いこと。もちろん、戦わなきゃいけない時はあるんですが。まずは戦いを避ける道を探るべきだと私も思います。

 先週金曜日に、オリンパスの海外基幹投資家の2社のそれぞれの代表が2回にわたって、高山社長と話しました。1人が朝90分にわたり、高山社長と直接話しました。もう1人は午後2時間にわたり電話会議を行いました。2人ともそれぞれの話し合いの中で、高山社長にオリンパス自身が依頼した第三者委員会、つまり元最高裁の甲斐中さんが議長を務めた第三者委員会の報告書で指摘していることを受け入れるように勧めました。彼らは社長に、「ウッドフォード氏を呼び戻して、彼と手を組んで新しい経営陣、経営体制を構築して下さい。臨時株主総会を開いてそこで辞めて下さい」と勧めました。それらの期間通して、「私は高山さんと組んで協力する用意はある」と彼らに言ってありました。このままでいけば、オリンパスは大変なリスクを背負っているんです。例えば、このままでいけば、私と関係ない所で株主訴訟を必ず起こされると思います。大きな損失の発生することがありうるので、それをぜひ避けてもらいたいと私は思っています。

 例えば私たちが一定期間、8週間とかにわたって協力して、円満な形でオリンパスにとって良い経営体制を構築して、そして秩序のある形で、混乱を避ける形で新しい体制を発足した時に退陣していただければ、わりと面子の上でも最善のやり方じゃないかと思っていました。

 隣に座っている和空氏が最初の話し合いの後、外から電話をかけて秘書室長に声をかけて「マイケル・ウッドフォード氏が来日しますが、来日中会っていただけないか」とお願いしました。「ちょっと検討させて下さい」といったん電話切られたんですが、しばらくしてからまた電話がかかってきて、「ちょっと忙しいからお会いできません。ちなみに来週も忙しいから」と(返事をされた)。今なお私はお会いして協力する用意はあります。何日でも何時でも私が出向いてでもお会いしてお話する用意はあります。協力してオリンパスの再生を図りたいと思っております。もちろん、その後今までのことについて責任をとって今の役員全員に辞任してもらわなければいけませんが。

■「日本は今まで以上に輝く資本市場になれると信じている」

内藤: ウッドフォード氏の愛社精神のお話を聞いてると、オリンパスをバラバラにする気はまったくないことが非常に分かるかと思います。では、次の質問も、なかなか厳しい質問なんですが移らせていただきますね。

「あなたの復帰を強く望んでいるが、日本の機関投資家、大株主があなたの復帰を望んでいないと聞いている。その理由はなぜだと考えるか?彼らのサポート無しに、本当にオリンパスを再生できるのか?どのように彼らのサポートを取り付けるのか?」

 ウッドフォード氏の復帰を望んでいない株主もいるのではないかという質問なんですね。

ウッドフォード: こうなったら本当にさびしい。というのは、やはり最終的に国内外の株主さんという線で分かれることです。

 本日2回にわたって、民主党と自民党のそれぞれの企業統治などに関するワーキングチームとお会いしてお話させていただきました。議員の先生方は、オリンパスの事件で日本に対する信用が世界において揺らいでいることを懸念していらっしゃいます。東京証券取引所の出来高で、7割も外人の投資家によって行われてるんです。日本の信用が揺らいでは、国は本当に困ります。「これは良い機会だ」と捉えて、この(オリンパスの)問題解決に誠意を示すことによって、今まで以上に輝く資本市場になれると私は信じてます。

 野田総理ご自身も、この問題について言及していらっしゃいます。自見先生(庄三郎・内閣府特命担当相)も、この問題について言及していらっしゃいます。

 もし私から、新しい経営陣の案として役員候補の名簿を提出するようになれば、日本人の誰から見ても納得できる知名度のある権威のある方々をそのリストに必ず載せることを約束いたします。先ほどから話しているように、議員の先生方が心配してらっしゃるようなことは、機関投資家もそれなりに懸念してらっしゃると思うので、私たちはそういうような説得力のある役員候補の名簿を見せることによって、私たちにサポートをいくらか付けることができると信じています。

■「オリンパスが粛清する必要があるのは、役員会だけだ」

内藤: どういった役員候補になるのか非常に気になるところなんですけれども、ユーザーの皆さんは「質問が厳しすぎるんじゃないか」とか「ウッドフォード氏は必要だ」などの優しい意見も非常に多いようです。次の質問は少し優しいかもしれませんね。

「あなたの復帰に反対した社員を許す気はありますか?それとも反対者は徹底的に排除することで、一気に改革を進めようと考えているのか教えてほしい」

ウッドフォード: 先ほどのコメントを感謝いたします。厳しい質問を心配していただいてありがとうございます。宮田さんは、これらの質問を選ぶにあたって、ちょっと私をいじめようと思っていたんじゃないかなと思いました(笑)。真面目な話として、このような率直な質問を私は本当に歓迎いたします。ご安心ください。とにかく粛清するようなことは絶対にありません。オリンパスが粛清する必要があるのは、役員会だけです。役員たちが4万人の従業員に対する責任を怠ったことは事実です。

内藤: では、従業員の方を切ることもないということなんでしょうか?

ウッドフォード: もし、例えば違法行為か何かが発見された場合は、それは適切に対応することになるのですが、私の復帰を反対したからといって、従業員を切ることはあり得ないです。やはり自分が最近解職されたばかりなので、同情はありますよ(笑)。

■「オリンパスの問題は、ごく限られた人間の起こした問題」

内藤: 痛みが分かるということなんですね。安心した方も多いかと思います。では、次の質問にまいります。

「私はオリンパスの内視鏡ユーザーだが、これだけの不祥事を引き起こしながら、経営陣から何の説明もないまま、病院のコンプライアンスの関係で他社製品に切り替えざるを得ない立場で苦慮している。私と同様の内視鏡ユーザーは世界中に多いと思う。我々に対して明確なメッセージを発し、前線の社員にまで徹底させて欲しい」

ウッドフォード: このユーザーの方に、今後も安心してオリンパスの製品をご利用くださいと申し上げたい。今回の件は、オリンパスの企業文化の組織的な問題による問題ではありません。オリンパスの企業文化は依然として健全なものです。オリンパスの問題は、ごく限られた人間の起こした問題です。オリンパスはこれから日本だけではなく世界的に見ても、企業統治の模範的な会社になっていくと私は信じております。ぜひ、今後ともうちの製品を安心してご使用ください。

■「カメラ事業を続けることで利益がある」

内藤: アピールがありましたが、ありがとうございます。では、次の質問にまいります。先ほども少し触れたカメラのお話です。

「私は長年のオリンパスカメラの愛用者で、この不祥事で儲からないカメラ事業が切り捨てられるのではないかと心配している。内視鏡は儲かるかもしれないが、オリンパスが世界中で愛されている理由の大きな部分は、素晴らしいカメラだ。是非続けて欲しい」

 先ほどもカメラの事業を切り離さないというお話がありましたが、もう一度改めてお聞きしたいと思います。

ウッドフォード: 私もまったく同感です。オリンパスのそれぞれのコアな事業の間に相乗効果があると信じています。現に、カメラ以外の事業はある意味で「カメラの七光り」的な恩恵を受けていると私は思っております。実は、うちの最も優秀な幹部の多くはカメラの分野で育った方々なんです。非常に競争の激しい分野で、本当に利ざやが薄い分野で、経営者の腕が問われるような分野で、いい幹部・経営者が育てられる分野で、私たちがいろんな形でカメラ事業を続けることで利益があると信じております。

内藤: 利益が少なくても続けていってくださるということで、非常に安心するご意見をいただきました。オリンパスの従業員の皆さまからの質問は、この辺りで終わりとさせていただきます。続きましては、ユーザーの方からいただいた質問をウッドフォード氏にぶつけていきたいと思います。こちらは青森県の男性の方からです。

「私は、投資家に虚偽の報告をしたオリンパスは、当然上場廃止になるべきだと思っています。ウッドフォード氏は、オリンパスの上場についてどうあるべきだと考えているでしょうか?」

ウッドフォード: お気持ちはよく分かります。やはり資本主義にはルールが必要だと思います。違反があれば当然罰が伴う原理があります。ただ、この場合は限られた人間がやったことのために会社を罰するのではなくて、その人たち自身を罰すべきだと思います。

内藤: 確かに氷山の一角と言うか、本当にごく一部の人間が行ったことですからね。

ウッドフォード: 私はそう思ってます。

■「高山社長と協力する用意はある」

内藤: では続きまして、神奈川県の男性の方からの質問です。

「現役社員です。今は誰の責任がどうこうより、会社が今後どうなるのかが心配です。この瞬間は、誰もがオリンパスを復活させたいと思っているはずです。責任のことは一時的に棚上げにして、現経営陣と手を組んで会社復活の努力はできませんでしょうか?敵対することにより、時間やエネルギーを浪費するのはあまりにも無意味だと思います」

 現経営陣とウッドフォード氏に手を組んで欲しいというご意見ですね。

ウッドフォード: 私も再生に目を向けたいと思っていますが、ただそのために、今まで不正を看過していた人たちがそのままでは。オリンパスの将来を彼らに委ねてはいけないと思っています。

内藤: なるほど。現経営陣と手を組むことはないということですね?そういう意味ではなくて?

ウッドフォード: オリンパスの将来を、汚染された役員に委ねてはいけないと思うのですが、やはり過渡期に入りますので、新しい経営陣が発足するまで一定期間、高山社長と手を組んで協力する用意はあります。

内藤: 分かりました。失礼いたしました。では、続いての質問に移ります。今度は神奈川県の男性の方です。

「現状のオリンパスにおいて、何をどのように変える必要があると思っていらっしゃいますか?具体的に教えてください」

 オリンパスをどのように変えていくかということです。

ウッドフォード: 私は、オリンパスを問題を抱えている会社だとは思ってはおりません。繰り返して申し上げますが、オリンパスの企業文化は健全で、活力が溢れているものだと私は思っております。確かに第三者委員会は、芯まで腐ってるような言い方をしていたと思うんですが、それはオリンパス全体を指して批判しているのではなくて、あくまでもその役員会のごく限られた人間を指したものです。

■「従業員の心は誇りに思う」

内藤: 分かりました。続いての質問は、現役のオリンパスの社員の方からなので、今のお答えもきっと喜ばしいことかと思います。東京都にお住まいの男性の方です。

「入社3年目です。今回の事件をきっかけに経営体制が刷新されるかと思いますが、仕組みだけ変えても従業員の心も変えないと、きっとその仕組みは形骸化され、実態は何も改善されないかと思います。ウッドフォードさんが社長に復帰された場合、どのように従業員の心も刷新できるようにアプローチをされますか?」

 形だけではなくて、心を変えるという質問ですね。

ウッドフォード: せっかく寄せていただいた質問なのですが、正直私はオリンパスの心、従業員の皆さんの心を一新する必要は感じておりません。オリンパスの皆さんの心は、とても健やかなもので誇りに思うべきものだと思っています。あくまでも一部の人間に問題があったと思っているだけです。私は本当に消極的で非常にマンネリ化する人間で、30年同じ女性とずっと結婚しているし、オリンパスに30年勤めていました。もし何か不本意な形で解職されてなければ、今もオリンパスに勤めているはずでした。

内藤: そういった従業員の人の心は何も変えることはないということですね。

ウッドフォード: 是非、心はそのままで続けてください。

内藤: 分かりました。皆さまからいただきました質問は、以上とさせていただきます。ではここで、ウッドフォード氏が思うオリンパスの未来についてお聞かせいただけますか?

ウッドフォード: 皆さんご存じいただいているように、オリンパスは医療機器で圧倒的な国際的な競争力を持っているんですが、ただちょっと外科用のものに偏っているかもしれない。ただ、逆に外科用以外のものも、本当は資源さえあれば開発して実用化していきたいものがいっぱい溜まっているんですよ。なぜそれをまだ製品化していないかと言うと、投資する余裕がなかったんです。顕微鏡に関しては40%のマーケットシェアを持っているんですが、私たちの同業他社、例えばドイツのライカ社とかカールツァイス社に比べて利益率は低いので。なぜかというと私たちが投資する余裕がなかったんです。
 工業用品に関しても、私たちには非常に競争力がある商品があるのですが、それを強化していくための投資は十分じゃなかったんです。コンシューマと言うか、カメラと言うかPEN。皆さん素晴らしい商品じゃありませんか。本当に市場において最高の製品。しかし、それをもっともっと宣伝したりプロモートしたりするべきでしたが、私たちはバカみたいなものにお金を使っていたから、その宣伝の予算が十分に取れなかったのでPENを十分に生かせていないと私は思っています。

■75.2%の視聴者がウッドフォード氏の話に納得

内藤: はい、分かりました。もうそろそろお時間になってしまうんですけれども、ここで1つユーザーの皆さんにアンケートを取りたいと思います。「あなたは今夜のウッドフォード氏の話に納得できましたか?」。①納得した、②納得できない、③どちらでもない...。皆さんはどのようにお感じになりましたでしょうか?今夜のウッドフォード氏のお話に納得できましたでしょうか?一時間以上にわたってウッドフォード氏にお話しを伺いましたが、皆さんはどのようにお感じになりましたでしょうか?はい、結果が出ました。お話に納得したという方が75.2%と非常に多いですね。納得できないという方も9.1%、どちらでもないという方が15.7%いらっしゃいます。この数字をご覧になってウッドフォードさん、どのようにお感じになりますか?

ウッドフォード: このような数字を拝見して本当に光栄です。皆さんどうもありがとうございます。私は文字通りにも比喩的にも長旅がずっと続いていまして、正直言ってちょっと疲れました。今朝3時半から起きてやっていますが、この数字を拝見して「やっぱりここまで、このようにやってきて良かった」と励ましていただいたつもりでいます。

 オリンパスはものづくりの会社です。研究開発と製造現場でどの会社にも負けないような強みを誇っている会社です。内視鏡の部品を本当に芸術作品のように見ています。工業用の顕微鏡は、本当にこんな美しい製品はない。正直言って、私たちはものづくりの現場が一番の強いところだと思う。営業でもサービスでも私たちはとても誇りを持っている、素晴らしいものがあると思うんですが、やっぱりそういった部門の方々がものづくりの現場の人達に学ぶべきものがいっぱいあると思っています。

内藤: ユーザーの方々からも、「ウッドフォード氏のお体が心配だ」「ちゃんと休んでくださいね」というご意見がたくさん来ているんですよ。

ウッドフォード: ありがとうございます。私は彼ら(ユーザー)について心配しております。

内藤: 本当ですか(笑)。そろそろお時間になってしまうんですけれども。(通訳の)ミラーさん、今日1時間以上話をされてきて、「Olympus grassroots」も(宮田氏と)一緒に立ち上げていらっしゃるということですけど、いかがでしたか?

ミラー: ウッドフォード氏を知らない人、会ったことない人、生で声を聞いていない人は噂を聞いただけで、いろいろ誤解があって当然だと思います。宮田さんとも認識を共有しているつもりなんですが、生で見ると、この人(ウッドフォード氏)かわいくてしょうがないでしょう?

内藤: 非常に優しいお顔されてらっしゃいますよね。「かわいい」というコメントも流れています。

ウッドフォード: はは(笑)。

内藤: かわいらしい笑顔だと。

ミラー: ここまでにしましょうね(笑)。

■元専務、現経営陣に「ニコ生出演」を呼びかける

内藤: それでは、「宮田さんのお声を聞いていない」というユーザーの意見がたくさん流れているんですけれども、では、ここで宮田さんにお話をいただきましょう。その前に出演者の皆さま、ニコニコ生放送をご覧のユーザーの皆さま、本日は遅くまでありがとうございました。では、これで最後になりますが宮田さんから伝えたいことがあるということですので、そちらをお聞きしてお別れとなります。それでは宮田さんよろしくお願いいたします。

宮田: オリンパスの高山社長、森嶋副社長に呼びかけたいと思います。「Olympus grassroots.com」を立ち上げて以来、私は一貫して「この問題は社外の力を借りず社内で決着をつけよう。ウッドフォード氏が正しく、あなた達が間違っていたことを率直に認め、ウッドフォード氏を中心に氏と協力してオリンパス再生の道を構築して欲しい」と訴えてきました。多くのステイクホルダーに多大なご迷惑をおかけしている今、膨大な無駄を生むプロキシファイトなどに貴重なエネルギーと時間を浪費する暇はありません。しかし、あなた方は私の呼びかけに応ずることなく、「ウッドフォード氏は経営トップとして不適格者であり、彼が復帰すれば多くの従業員が不幸になる。オリンパス再生にウッドフォード氏の協力は必要ない」として一貫して和解を拒否してきました。高山さん、森嶋さん、本日ウッドフォード氏は私の求めに応じて私のサイトに寄せられた従業員、株主様、ユーザー様からの疑問、異論、反論、特に厳しいもの、ネガティブなものを選んで答えてもらったにも関わらず、そのすべてに自分の言葉で答えてくれました。今度はあなたたちの番だと思います。ニコニコ生放送のディレクターの了解の上でお二人に呼びかけます。この場でウッドフォード氏と同じように従業員、株主様、ユーザー様、そしてオリンパスの行く末を心配してくれる多くの皆さまの不安、疑問にあなた達自らの声で答えていただきたいと思います。その上でなお、対決を望まれるのであれば止むを得ません。次の株主総会で決着をつけていただきたいと思います。

■「日本が欧米のどの国より進んでいるのはニコ生そのもの」

 ウッドフォード氏がオリンパス従業員や視聴者からの質問に答える番組は一旦終了したが、その後ウッドフォードがスタジオに駆けつけた記者たちのぶら下がり質問に答える中継が行われた。ウッドフォード氏は、同日出演したニコニコ生放送に触れ、「日本が欧米のどの国より進んでいるのはニコ生そのもの」と語り、海外のテレビ番組のようにそばに弁護士が控えていることもなければ、発言を止めたり編集されたりすることもない点で「これこそ民主主義の現場だと思って尊敬している」と述べた。

 以下、再び全文を書き起こすかたちで紹介する。

ニコニコニュース・土井記者: ニコニコニュース土井と申します。よろしくお願いいたします。ウッドフォードさんにお聞きしたいのですけれども、最初に『FACTA』で報道が出た時に、菊川会長に問い詰めたというお話が先ほどあったと思うんですけども、その時に菊川さんに「他のマスコミからもそういう問い合わせはないのか?」というお話をされたと思うんですが、実際に日本では報道はなかったと思うんですね。それを知った時にどのように感じられたのかということをお願いいたします。

ウッドフォード: 正直に言いまして、メディアの対応について、ちょっと気になるところは多々ありました。前から言われていたのですが、日本のメディアはちょっと自己啓発的な面があるように感じました。しかし、『FACTA』という雑誌がこの国で事業として成り立っているのが、日本の基本的な報道の自由の証だと私は思っています。また、この件を通じて、今後ほかの会社でも問題に気付いた方は内部告発者になって積極的にそれぞれのメディアに通達するようになるのではと期待しております。

 私はこの国はメディアだけではなく、社会全体にわたって保守派、というよりも現状維持派という勢力と改革派ともいうべき間で足のひっぱり合いがあるように感じますね。どちらが有利なのか私は分かりかねますが、この事件を経て感じているのは、次第にメディアが積極的になってきてらっしゃるんじゃないかなと思います、前より。今回の事件が勃発してから、例えばあの保守的な鑑であるNHKでさえかなり大きく、この問題を大々的に堂々と取り上げてくれました。私はそのような動きを期待したいと思います。しかし、それは私が決める問題じゃなくて、それは皆さま次第です。また編集の方々もですね。

 またもう1つ、付け加えさせていただきますと、日本は欧米のどの国よりも進んでいる点があると思います。それは何かと言うと、この「ニコ生」そのものだと思います。海外では私が知っている限り、こういう番組があったら弁護団が(会見場の左手の壁をさして)ここに列を作って待っていて、何かいけないことがあるとすぐ来たり、修正したり編集させますが、このように生々しく堂々とやっている姿はなんとも美しい。これこそ民主主義そのものの現場だと私は尊敬しております。また、この現場を褒めているだけじゃなくて、この現場の結果を私は信じています。最終的に私が拝見させていただいた数字。もし本当に50%近い数字が反対している数字だったら、おそらくこの場でやめていたと思います。しかしその数字を見せていただいて、むしろ励ましていただいて、ニコ生さんにも本当に心から感謝いたします。

■「社長にこだわりはない」

産経新聞・フルカワ記者: 産経新聞のフルカワと申します。今日はありがとうございました。本日オリンパスが発表しました決算についてお伺いしたいのですが、自己資本比率が4~5%まで減ってしまって財務状況は非常に悪化しています。この立て直しのために資本増強などの対応が急務だと思うのですが、ウッドフォードさんがまた復帰された場合に銀行団などの協力をスムーズに得られるとお考えでしょうか?その辺りをお聞かせください。

ウッドフォード: 私はすでにそれぞれの関係者と話し合って、言ってみれば着手しています。私的な問題の解決策の案を、それぞれの形で練っております。この会社には20億ドルぐらい注入すれば、それ以上に企業価値がすぐ高まると信じております。企業側が第三者割り当てのような形で、今現在の株価より10%以内の割引だったら、取締役会の独断でも理論的に行えるはずなんですが、この会社はいろいろな係争中の問題がありまして、この状態でそのようなことに踏み切ればちょっと信じられないほど多くの問題を呼びかねないのであって、現実的にはできないんじゃないかなと思っております。むしろ、この会社は自力で再生を図るべきだと思っております。独立した会社としてやっていけると信じています。今の経営陣はどうも戦略提携のようなことを考えているようですが、それは先ほども言いましたが、オリンパスの独立を捨てるようなことになりますので、それは本当に悲しい限りです。是非それを避けていただきたいと思います。

共同通信・オオツカ記者: 共同通信のオオツカです。今、次期役員選任の件で質問したのですが、もし高山さんがウッドフォード氏と次期社長選に協力すると言っても、もし「ウッドフォード氏を社長や取締役に迎えるのがいやだ」と言った場合は協力する用意があるのかということです。

ミラー: 向こうが「いやだ」と言っても、こっちが協力する用意があるということ?ああ。社長復帰を反対されながら、協力・・・分かりました。

ウッドフォード: Ah・・・NO(いいえ)。

日刊工業新聞・ムカサ記者(以下、ムカサ): 日刊工業新聞のムカサと申します。今日はありがとうございました。2点お願いします。まず1点目が、(ウッドフォード氏は)提携については独立性を保てないので否定的なお立場ですが、それは資本提携、業務提携両方について否定されているのでしょうか?

ウッドフォード: 例えば業務提携の名目で20%だけの資本提携が伴う場合は、相手は必ずいずれ支配的な立場になっていくつもりで望むんじゃないかなと私は見ております。

ムカサ: もう1問ですが、さっきハイテク分野の4事業にフォーカスすべきだとお話がありましたが、情報通信事業は非常に大きな事業で携帯端末の販売がメインだそうですが、この情報通信事業についてどういうふうにすべきだとお考えでしょうか?

ウッドフォード: いろいろ考える必要はあるでしょうが、私は今単なる一市民にすぎませんので、それについてある程度以上は差し控えさせていただきたい。正直に言えば、コアな事業として捉えておりません。ただし赤字の事業でもないので、今年5~6千万ドルの利益を上げているかと思いますが、その事業で実際に人間が働いてらっしゃいますので、プロバイダの関係で競争観念であまり集中させない方が良いという考えで独立した事業として生かすメリットも感じます。この場でそれについてこれ以上言えないのですが、何をするにも成立するには非常に問題はあるし、ちょっと真剣に考えるべきでしょう。

ウォール・ストリート・ジャーナル・オオサワ記者: ウォール・ストリート・ジャーナルのオオサワと申します。先ほどの質問のフォローアップになるのですが、高山社長に協力するということがあったとしても、社長として戻れないのであれば、それはできないという話でした。それはあくまで会社に戻るのであれば、社長としてCEOとしてということでとのお考えなのかということが1つ。それが、もしそうであるならばなぜですか?

ウッドフォード: さっきの方のご質問に、もうちょっと言葉を尽くしてお答えするとすれば、とにかくふざけた話に対応する余裕はないんです。偽善主義的な話はご勘弁いただきたいと思っております。真剣に話を進めていくなら私は応じます。私の理想として価値観を共有できる人間と一緒に仕事をしたいと思っております。最初から何かの恣意的な条件をつけられると、これは誠意にかけた話だと思わざるを得ないので応じかねるんですが、私は社長になること、CEOになることにこだわりがあるかというと、まったくないんです。

宮田: ちょっと一言いいですか。ミスター・ウッドフォードが10月14日に「解雇」されたことに全然正義がないんですよ。だから、そこに戻るってことは全然不自然じゃないと思います。

(了)

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 全文書き起こし部分から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv73722602?po=news&ref=news#7:20

(書き起こし:ハギワラマサヒト、登尾建哉、内田智隆、武田敦子、小浦知佳、写真:石津大助、編集:山下真史)

全文を表示