近年、日本の音楽シーンにおけるアニメソングの存在感はますます高まっている。10月12日付のオリコン週間シングルチャートでも、3位には「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS 01 Dreaming!」が、5位には「うたの☆プリンスさまっ♪Shining All Star CD2(天空のミラクルスター)」がランクイン。両作品ともにアニメのキャラクターが歌っているという体の“キャラクターソング”で、チャート上位にこうした楽曲が食い込むのは、ほぼ毎週といっていいほどだ。

 しかしながら、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)をはじめとする音楽番組や、音楽専門誌などでは、アニソンやアニソン歌手が大きく取り上げられることは意外なほど少ない。音楽チャートをあまり気にしない層には、アニソンシーンがこれほど大きなマーケットになっていることを知らない人も多いだろう。

 昨今では、花澤香菜や坂本真綾、藍井エイルやLiSAといったアニソンで人気の歌手が、高い音楽性で既存のアニメファン以外からも評価されているものの、アニメ界を超えた広がりという点では、まだまだ課題が多いのも事実だ。いったいなぜ、アニソンはセールス的にヒットを飛ばし続けているにもかかわらず、メインストリームになれないのか? その理由を、音楽業界関係者は次のように語る。

「アニソンの多くは、アニプレックスやランティスといった、いわゆるアニソン専門レーベルが手がけているのですが、それらのレーベルは既存の音楽シーンとは少し違った位置にいます。通常、音楽レーベルの広報担当者は、アーティストの新作が出るのに合わせて、音楽メディアにプロモーションをするのですが、アニソン専門レーベルはそうしたメディアには情報出しをほとんどせず、アニメ専門誌などに働きかけます。もちろん、良質な作品であれば音楽メディアも取り上げたいはずなのですが、たとえば漫画原作アニメの主題歌を紹介しようとすると、権利関係が複雑で、場合によってはその漫画の版元や玩具メーカーにも了承を取る必要が出てくることもある。音楽メディアからすると、とても手間がかかる上、自由に批評できない煩わしさもあります。結果として、アニソンは音楽シーン全体から孤立して、“アニソン村”とでもいうべきシーンにとどまってしまっているんです」

 また、上記のような理由から“アニソン歌手”というくくりを嫌うアーティストも多いという。

「一度、“アニソン歌手”というレッテルが貼られると、そのアーティストはなかなか一般的な音楽シーンには戻れなくなります。アニメファンからすると、普通の歌手として売り出そうとするのは、一種のセルアウトのように見えるし、音楽ファンからはどうしても『どうせアニソン歌手でしょう』という色眼鏡で見られる。アニソンを歌うのは、新人の歌手にとって飛躍のチャンスでもありますが、その後のイメージを変えるのは並大抵のことではないので、中にはアニソンばかりを歌っているにもかかわらず、“アニソン歌手”と紹介されることをNG項目に挙げているアーティストもいます」(同)

 アイドルシーンと同じく、大きな資本が流れているからこそ、音楽的にも優れた作品が生まれやすくなっているといわれるアニソンシーンだが、ポップミュージックとして正当に評価されるには、業界の構造を見直す必要があるのかもしれない。
(文=山下祐介)

「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS 02」(ランティス)