今年6月、イギリスに住む15歳のジェニー・フライが、自宅近くの木で首を吊って死亡しているのが見つかった。少女を自殺へ追い込んだのは、学校でのイジメやドメスティック・バイオレンスではない。原因はWi-Fiだ。今、こうして記事を読んでいるあなたの周りにも、当たり前のように飛び交っているWi-Fiの電磁波が、ジェニーを苦しめ生きる気力を奪ってしまったのだ。

「ジェニーは電磁波過敏症で苦しんでいました。彼女はWi-Fiや携帯電話、携帯の基地局などから放射される電磁波を感じ取ってしまい、頭痛や疲労、集中力の低下に悩まされた挙句、肉体も精神も衰弱してしまったのです」

 母親のデブラ・フライは、何とかジェニーを電磁波から守ろうと苦心したが、その想いは報われなかった。

 フライ家では、ジェニーに悪影響を及ぼすWi-Fiや携帯電話を徹底的に排除した。その結果、自宅にいる時の彼女は普通に生活することができた。

 だが、再三にわたって両親が改善を要請したが、彼女の通っていた学校が電磁波への対策に乗り出すことはなく、ジェニーの担任教師からは最後まで理解を得られなかったと言う。

 ジェニーが残した遺書には「これ以上Wi-Fiの電波には耐えられない」と書かれていた。

 2005年にWHOも電磁波過敏症の存在を認めているのだが、なぜそのような症状が現れるのか、科学的根拠は見つかっていない。そのため、患者が電磁波による苦しみを訴えても、医師から適切な処置を受ける事は難しい。

 ただし、ある産業医学グループの調査によれば、100万人当たり数人は電磁波による健康被害を受けていると推定している。

 今年8月には、アメリカのマサチューセッツで暮らす家族が、12歳の息子はWi-Fiの影響で体調を崩したとして、通っていた学校を告訴している。学校が2013年に、それまでよりも強力なワイヤレス環境を導入したことによって、少年は症状が深刻になったと訴えているのだ。

 ちなみに、電磁波過敏症による主な症状として報告されているのは「目の痛みや見にさ。皮膚の乾燥や炎症。鼻づまり、鼻水。顔のほてり。口内炎。歯や顎の痛み。頭痛やうつ。異常な疲れと集中力の欠如。吐き気。肩こり、関節痛。呼吸困難。手足のしびれ」などである。

 これまで、電磁波過敏症を解明するために数々の検証実験が行われてきた。例えば、電磁波過敏症を訴える患者が、本当に電波の飛び交っている電磁場と、それらを一切遮断した偽の電磁場を区別できるかの検証だ。結果はどの実験でも、患者と電磁場の間に相関関係を見つけることはできなかった。

 つまり現在の医学的見地では、健康を害する電磁波が飛び交っているという恐怖心が、電磁波過敏症の原因なのではないかという心因性説が有力だ。

 一方、抗電磁健康活動家として有名なアーサー・フィステンバーグは、電磁波過敏症について真剣に考えていかなければならないと訴えている。

「電磁波過敏症の子どもにとって、Wi-Fiは常に全身へ毒物を浴びているようなものです。学校は子どもたちの健康に責任を追わなければならない」

 原因が何であれ、電磁波過敏症で苦しんでいる人達がいるというのは紛れもない事実である。それはある日、身の周りにいる家族や知人、自分自身を苦しめる原因となるかもしれない。


※イメージ画像:「Thinkstock」より

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