キャリコネ

「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」――。そんな考えを抱く児童や生徒が増えていることが、ベネッセ教育総合研究所の調査で明らかになった。2015年と2006年の調査を比較すると、小5で16.9ポイント(78.1%)、中2で16.0ポイント(60.6%)、高2で12.8ポイント(50.9%)増えているという。

「将来、一流の会社に入ったり、一流の仕事につきたい」という考えも支持率を上げており、増え幅は小5で11.0ポイント(70.8%)、中2で8.8ポイント(58.4%)、高2で11.0ポイント(62.8%)という結果になった。

「学校の勉強がお金持ちになるために役立つ」も10ポイント増

「学校の勉強がお金持ちになるために役立つ」と考える子どもの割合も高い。小5で57.8%(前回調査比で10.0ポイント増)、中2で60.7%(同11.4ポイント増)、高2で66.8%(同12.3ポイント増)となっている。

勉強に取り組む子も増えており、平均学習時間の伸びは小5で14.3分(勉強時間計95.8分)、中2で3分(計90.0分)、高2で13.9分(計84.4分)。大手企業に入るには有名大学を卒業した方が有利といわれるが、それが小学生にも浸透しているのかもしれない。

データからは、特に小学5年生の意識の高さが目に付く。「できるだけいい学校に進めるよう成績を上げたい」と答えた割合は、中高生より高く74.6%。「今は勉強することが一番大切なことだ」と答えた割合も49.6%と半数近くとなる。

小学生のうちから将来を冷静に考えている現代っ子に驚きを禁じ得ないが、ネットには子どもたちの考えを支持する大人たちの声があがっている。

「お金と知識(教養)は、沢山あっても邪魔になるものじゃない」
「高卒の自分からすりゃこう信じて勉強できてたならまだマシだったかなとか思うしいいんじゃないかな。少なくとも選択肢は広がることは間違いないし」

学歴だけで仕事が決まるわけではないものの、「悲惨な非正規見てたらいい大学出なきゃと思うわな」と、子どもに危機感が伝わっていると見る人もいる。

有名大学の教授は「大学は通過点でしかない」と断言

その一方で、小学生の頃から勉強に追われる子どもに同情する意見も見られた。

「夜遅くまで塾で勉強して電車の中でマック食ってる小学生をよくみるが…そんな奴の幸せってどんなのだろう」
「小学生の夢が大学入学はちょっと悲しいよね。大きい夢を見るのは子供と特権。大人になってからでは『宇宙飛行士!』『スーパーモデル!』とか言えないんだよ。子供のうちに言っておかないと損」

一橋大学大学院教授で経営者の佐山展生氏も、調査結果に冷ややかだ。小学生が「いい大学を卒業すると幸せになれる」と答えるのは、そのように考える親が多いからと推察しつつ、「いわゆるいい大学を卒業したシニアな人に幸せか聞いてみればいい。大学は通過点でしかない」とツイートしている。

有名大学の学生を間近に見ている人が指摘すると説得力があるが、同様の指摘はネットにも多く見られる。

「旧帝大出て今はニートなんですがwwwwwwwww」
「早稲田出たけど全然幸せじゃない」

河合薫氏は憤慨「市場の価値と人の価値は同じでない」

これに対し「いい大学を卒業すると幸せになれる確率が上がる」と反論する声もあるが、健康社会学者の河合薫氏は納得できないようだ。「市場経済の価値=人間の価値と言っているようなモノ」「"競争に負けた人"は(略)稼ぐ努力も学ぶ努力も次第に失い、格差がますます広がっていく」と不満を示し、子どもたちを追い込んだ大人たちを批判する。

「もし、子どもたちを否応なく待ち受けているのが『競争社会』であるなら、オトナたちが教えるべきことは、『失敗してもいいんだよ』という価値観じゃないのか」

そして「競争社会は今後増々厳しく、陰湿なものになっていくに違いない」としつつ、「だからこそ余計に、市場の価値と人の価値は同じでない、ということを、何度も何度も私たちは自分に言い聞かせねばならない」としている。

ネットにも、人が幸せになるためには「学歴とともにコミュニケーション力も大事!」として「人との関わりを嫌がってたり、思いやりがない人は社会に出たときや恋愛でつまづくんじゃないかな?」と、勉強漬けのリスクを指摘する人もいる。

あわせてよみたい:「就職に有利」で学部・学科を決めた人から後悔の声

 

全文を表示