え?「タトゥーの方は入浴お断り」には法的根拠がないの!?
教えて!goo ウォッチ

温泉に行くと必ず目にする但し書きがある、「タトゥー・刺青の方、御入浴お断り」。しかし、どういった根拠でタトゥー・刺青をしている方の入浴を制限する事が可能なのだろうか。これは法律で決まっていることなのか、それとも経営者側の自主規制なのか。場合によっては訴訟に発展することにもなりかねない問題である。「教えて!goo」にも「刺青と温泉」というタイトルで同じような質問が寄せられている。

■5cm=手で隠せるオシャレ目的のワンポイントタトゥー?

寄せられた回答を見ると、タトゥー・刺青をしている方の入浴を直接制限する法律はないとのこと。その上で、どのような法運用がされるのかを指摘する回答もみられた。

「別に温泉やプールでの刺青禁止は法律で決まってるわけじゃないし、そこの施設の判断です」(azuki-7さん)

「『入れ墨を施した者の入場を禁じる法律』はありませんが、入場を禁じるか否かは銭湯経営者の自由であり、その告知を無視して入場すれば建造物侵入罪、退場に応じない者は不退去罪で罰せられることになっています」(HALTWOさん)

また「直径5cmまでならOK」という規定をどう解釈するかで、興味深い回答もあった。

「5cmの根拠は、おしゃれで1ポイント入れた若者が居たとして、手で隠せるからだと思います。また、威圧感のある刺青って、大きく入っているのだからだと思います」(oookkk111222さん)

「剥がしたり、落としたりできるタトゥーシールを外さずに入浴する輩がいることを想定しているのでしょうね。……まあ『絆創膏を貼ったまま入浴するぐらいならば O.K. よ』と言うようなものです(笑)」(HALTWOさん)

なるほど、5cmまでなら隠せるからOK、というのは納得してしまいそうである。しかしやはりこうした考え方の根本には、タトゥー・刺青があれば入浴は制限されるという考えが見え隠れしている。

■タトゥー・刺青制限はただの自主規制だった!?

一度ここで、上記の入浴制限について、はっきりとした回答を得る必要がある。そこで、法の専門家、福岡県にあるおりお総合法律事務所の尾崎英司弁護士に話を伺った。

「刺青がある人が銭湯や公衆浴場に立ち入ることを直接的に禁止する法律はありません。公衆浴場法では、伝染病にかかっている方々の入浴拒否を義務づけていますが、刺青がある人の入浴拒否は義務づけていません。したがって、業界側の自主規制でしょう。入浴拒否の判断は、第一次的には営業者の方に委ねられます」

では、タトゥー・刺青をしている理由で入浴を拒否された方は、おとなしくそういった指示に従うしかないのだろうか。

「営業者の独断で解釈できるというものではありません。仮に、入館拒否された方が、本件入館拒否は違法だ、として争ってきた場合には、それが適法か否かは最終的に裁判所で判断されることになります。よって、営業者の方も、訴訟リスクを考慮した上で判断していく必要があります。また、公衆浴場にも営業の自由があります。
しかし、公衆浴場は、都道府県知事の許可を受けて経営され、公衆衛生の維持向上という公共性もあることから、相応の平等性をもって利用者の利用を認める必要があります。不合理な差別に基づいて入浴拒否をした場合は、お店側が損害賠償請求を受けるリスクもありますので、入浴拒否は慎重に判断する必要があります」

ここで言われている訴訟リスクとは、営業者側が「入浴拒否を理由に訴えられることで請求される損害賠償の額」と「タトゥー・刺青の方に入浴を許可することで、利用者が減少した損害額」を天秤にかけていることになる。現在では、「タトゥー・刺青=畏怖の対象」や、こうした理由で訴え出る件数とそれを認める判例も少ないために、天秤は後者に傾いているといえる。しかし、多くの人のタトゥー・刺青に関する感覚が大きく変化すれば、この天秤は傾きを変え、制限も少なくなる日がくるのかもしれない。

(樹木悠)

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