中国は国際法廷の仲裁を受けつけない、あくまでも「法に従って」事を進める=中国外相、南シナ海の領土問題で発言
サーチナ

 中国政府・外交部の王毅部長(外相)は17日、記者団に対して、フィリピンが国際法廷に対して中国との領土問題で仲裁を求めて訴えている件について、「受けつけない」と述べた。王外相は自国の方針について「粛々と法に従って、事を進める」と述べた。

 オーストラリアを訪問し、同国のジュリー・ビショップ外相と中豪の外交戦略について会談した後の、記者会見での発言。フィリピンが2013年に南シナ海の島についての領有権問題について2013年1月、国際的な紛争や争いの仲裁・調停・国際審査を行う常設仲裁裁判所に訴えたことを、改めて非難した。

 王外相は、中国が2006年に国連海洋条約に加入した際、同条約298条に賦与されている権利として、領土の主権及び海洋権益の問題で、仲裁は受けないと表明したと説明。中国政府は同立場を維持しており、全世界で30カ国以上が、同様の表明をしたと主張した。

 王外相は、南シナ海の島の領有権の問題で「中国と協議せずに、一方的に仲裁を求めて訴えた。これは、仲裁を求める際に当事者が同意せねばならないという、国際的な常識に反している」などと、フィリピンが一方的な動きを続けていると非難した。

 王外相は、フィリピンの提訴を「信義に反する」とも非難。「われわれは、フィリピンがこのような向こう見ずなやり方を採用したことには、複雑な国際的なバックや、場合によっては人には言えない政治目的を隠しているのではないかと、疑わざるをえない」と述べた。

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◆解説◆
 フィリピンが「領土問題」を常設仲裁裁判所に訴えた当初から、中国は裁判を受け付けない方針を表明してきた。同裁判所は2014年6月4日の期限を定めて、中国に抗弁の陳述書を提出するよう命じたが、中国は従わなかった。同裁判所は問題を解決する強制的管轄力を持つわけではないが、言い渡した仲裁の判断は強制力を持つとされる。

  中国はフィリピンが訴えた裁判に従う義務がないと強調しつづけている。しかし、カメルーンとナイジェリアの領土紛争で、ナイジェリアが国際司法裁判所(ICJ)の判決などに従って実効支配していたバカシ半島をカメルーンに引き渡したことについて(2013年8月15日)、中国国営の新華社や中国国際放送は「国連安全保障理事会が称賛した」と報じた。

 同報道は、中国共産党の意向に沿ったものと考えられる。同じ国際法廷の判断でも、他国が従った場合には「安保理が称賛」と肯定的に報じ、自国が絡む問題では「裁判による解決は認めない」という、「奇妙な矛盾」がある。

 王外相の言葉の「粛々と法に従って、事を進める」とは、「自国の考え通りに進める」と同義ということになる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)joeppoulssen/123RF.COM。常設仲裁裁判所などの国際司法裁判所のあるオランダ・ハーグの平和宮)

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