『ちんつぶ』(大和名瀬/実業之日本社)
ダ・ヴィンチニュース

「いつやるか? 今でしょ!」という名セリフで一躍売れっ子タレントの仲間入りをはたした、予備校講師の林修先生。理知的かつ軽妙な語り口が持ち味で、彼の番組を観ていると、まるで講義を受けているような印象を受ける。視聴後はひとつ賢くなったような気にさえなるから、さすがだ。
 そんな林先生が、先日、『グサッとアカデミア~人生に合格するオンナの現実学~』で腐女子に向けて講義をした。そして、その講義をするにあたってBLを読んできたと告白したことが話題になったのだ。

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 林先生が予習のために読んできたのが、『ちんつぶ』(大和名瀬/実業之日本社)。腐女子の気持ちを理解するために、と手を抜かない姿勢はもちろんだが、ネットで注目されたのはそのセレクトについて。「選んだBLが『ちんつぶ』って、コアすぎる」「テレビに『ちんつぶ』出てきたw」と祭り状態になったのだ。

 腐女子たちが反応を示した『ちんつぶ』。一体どんな作品なのだろうか……? そこで、林先生に倣って、実際に読んでみることにした。

 本作のメインキャラは、取手、綾瀬、神谷、岩淵の4人の男子高生たち。彼らは修学旅行に向かう途中でバス事故に巻き込まれてしまう。幸いにもほとんど軽傷だったが、取手だけが意識不明の重体に。バス内で隣に座っていた綾瀬は、自分をかばってくれた取手が気になって仕方ない。すると、取手の魂がなんと綾瀬の“性器”に乗り移ってしまう。再び取手と会話できることを喜ぶ綾瀬。こうして、ふたりの同居(?)生活はスタートする。

 また、神谷と岩淵はさらにややこしいことに。なんと、互いの性器が入れ替わってしまうのだ。チャラチャラした神谷と真面目な岩淵。まるで水と油のように相容れないふたり。しかし、この入れ替わり事件をきっかけに徐々に距離を縮めていくことになる。そして、互いの本心に気がつき……。

 本作の魅力は、やはりなんといっても「男子高生の性器が入れ替わる」という設定の妙にあるだろう。林先生も述べていたように、その設定が本作を完成度の高いコメディに仕上げているのだ。時折挿入されるエロシーンも、人格を持った性器がしゃべりまくるため、コメディの延長として読むことができる。これならばBL初心者や男性でも抵抗なく楽しむことができるだろう。

 設定だけを見れば、「ちょっと自分は遠慮しておこう……」と敬遠する人もいるかもしれない。しかし、読者を笑わせることに徹底した本作は、決して腐女子だけのものではない。むしろ、ドタバタギャグ系が好きな男性読者にはぴったりハマるのではないだろうか。騙されたと思って、一度試しに読んでみてほしい。なんといっても、あの林先生のお墨付きなのだから。

文=五十嵐 大

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