小番一騎被告を妻は「ペットのようだと思っていた」と発言
NEWSポストセブン

 世の男たちの股間を震え上がらせた猟奇事件の公判が新たな展開に入った。「さすがにまずい、止めないと……と思っていたところで“シャキン”と音がした。“あー、やっぱり切っちゃった”と思った」──。公判の行方を左右する「最重要証言者」は、“その瞬間”をそう供述した。

 昨年8月、元慶応大法科大学院生で元プロボクサーの小番一騎被告(こつがい・いっき。25)が、妻の浮気相手の男性弁護士の性器を枝切りはさみで切断して逮捕・起訴された「チン切り事件」の裁判は、3月18日に第4回公判を迎えた。

 これまでの裁判は小番被告と被害者の供述を中心に進行していたが、第4回公判では検察側が証拠申請した妻の供述調書が採用され、「事件の原因」となった妻の“肉声”が初めて明らかにされた。内容は小番被告との出会いや被害男性との交際、そして事件当日のことなど多岐にわたる。

 まず、2012年6月に小番被告と結婚した理由についてこう述べている(以下、「」内は供述調書より)。

「猫の里親になりたかったが、“結婚しないと里親になれないので猫をもらえない”といわれたから。考えが甘かったとは思うが、どうせ結婚なんて紙ペラ1枚のことだし、もういいやと思った」

 婚姻関係が崩壊していく経緯についても、「夫もペットも同じと思えば腹が立たないようになってきた」と述べる。

 やがて勤め先の上司である被害者との親密さを深めていくことになるが、その思惑も実に“冷めた”ものだった。

「被害者は給与や賞与を決める権利があるので、待遇面での安心感を得たいという打算もあった」

 5回ほど体の関係を持つものの、「あだ名で呼ばれた時から一気に(被害者のことが)気持ち悪くなった」というから、被害者との恋愛感情もまた、極めて薄かったのだろう。

 妻の浮気を知って激怒した小番被告が被害者が勤務するオフィスに乗り込む経緯はこれまでの公判で明らかにされた内容とほぼ同じだが、「妻目線」で語られる現場は事件の異様さを際立たせる。

「(小番)一騎はフックで被害者を殴り、さらに顎をストレートで殴り、被害者は仰向けに倒れ痙攣し始めた。このとき一騎はリュックから鋏を取り出したので、初めて一騎が鋏を持ってきていたことを知った」

「一騎は鋏を持ち、素早く下半身に近づきズボンを下ろした。まさか切るのではと頭をよぎった。私から一騎の手元は背中で隠れていたので見えなかったが……」

 そして先述したように、妻は耳を通して“事件の瞬間”を知る。そんな中で、「何もしなかった自分」にわずかながら後悔を感じていた様子もあった。

「止めるどころか、声も上げず、動いてもなかった。なんで何もせず突っ立っていたんだろう。もともと修羅場が苦手で、空気を壊すのが苦手で、目を背けたかった。テレビでも見ているような感じで現実感を感じなかった」

 妻の調書は、自らの今後の生活についての供述で結ばれていた。

「一騎への愛情は事件後も変わりないが、せめて名字だけでも変えたい。人生リセットしないと」

 だが、“シャキン”と切られた被害者の性器も、そして小番被告の犯した罪も決してリセットされることはない。スキンヘッドだった小番被告の髪の毛だけが伸び始めていた。

●取材協力/高橋ユキ(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2016年4月8日号

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