単行本で全26巻。前髪に分け目があるのが双子の弟・和也。真ん中の女性が浅倉南。大きく写っているのが双子の兄・達也。
エキサイトレビュー

あだち充の『タッチ』は浅倉南と上杉兄弟(兄・達也と弟・和也の双子)の三角関係から展開される恋愛野球漫画。テレビアニメの第1期オープニングテーマ『タッチ』では「あなたから触ってほしい」といった内容の歌詞が入っている。
和也は南が好き。達也も南が好き。南はどちらが好きだったのか。和也・南ペア、達也・南ペア、それぞれの間でどんな「タッチ」があったのか。スキンシップの量・質という観点から好意の方向を浮き彫りにさせていく。服の上から触っても有効、接吻・抱擁も1カウントとする。

和也と南の場合


「ひとつだけ南にたのみがあるんだけど……いいかな? キスしてほしいんだ。」
甲子園のかかった地方大会決勝戦前夜、キスを要求する和也。南の肩を持って唇を近づけていくと、南が涙を流し始めた。それに気づいた和也は急きょ、おでこにキス。冗談だと言って去っていった。
トランプで甲子園にいけるかどうか占っていた南ちゃんを後ろから抱きしめたこともあった。肩を持つ、おでこにキスする、抱きしめる。和也が南に触ったのはこの3回だけ。

「長生きしないよ、カッちゃん…… 人に気をつかいすぎるよ………」
デートのシーンの忠告。南は悪い雰囲気をサッと変えるように腕を組んだ。全7回の接触。小さいころに不良からかばってくれた和也の背中を持つほか、腕組み以外は上裸の和也に手当を施したり、柔軟・腹筋の手伝いで上に乗ったりと、野球に関するサポート的なタッチだった。

達也と南の場合


いたずらっ子なたっちゃん。親たちがディスコで踊っているころ、南と達也が見ているテレビからお下劣なシーンが流れ始めた。達也は気まずい雰囲気に耐えられず、冗談交じりに南を押し倒してしまった。
「グへへ…大声出してもむだだぜ。」
ビンタでも食らうのかと思いきや、南はガバッと起き上がり達也を抱擁。少し大きめな地震を予知して怯えてしまったらしい。結局、グへへのくだりは不問とされた。
達也から南へのタッチがあったのは合計8回。南が高熱を出しているのを察して、手を引いて保健室に連れていったり、おでこを触って熱を計ったりするシーン。便所掃除した手で南の首筋を触る、ビンタするなど、男女間を感じさせないボディタッチが多い。

「こんなときやさしい女の子なら………だまってやさしくキスするんじゃないか……」
ボクシング部で練習試合に負け、落ち込んでいた達也。慰めてくれる南に冗談を言うと、唇を奪われた。
「南のファースト・キスなんだぞ。ありがたく思え」
翌日、飯が喉を通らなくなり倒れた達也。一方で南ちゃんは朝も昼もしっかり食べられたらしい。照れ隠しなのか、ラーメンのどんぶりをお箸で「チーン」と鳴らしながらの初めてのキスであることを告白していた。
達也に対して接触を試みたのは31回。マッサージや傷の手当てのみならず、ほっぺにキス、足の爪を切ってあげる、やさしくヘッドロックを掛けるなど、野球以外の面でもスキンシップがたくさんある。

それぞれの「タッチ」の回数をグラフで表してみた結果



和也は達也にタッチ数・被タッチ数ともに大きく劣っているように見える。しかし、和也は7巻で物語から退場してしまう。
というわけで1巻あたりのタッチ・被タッチ数をさらにグラフ化してみると……

タッチ数に関しては和也が達也に逆転。長生きしないよ、と言われていたように、生き急いでいたのかもしれない。
南からのタッチ数に関しては和也と達也の差が縮んだ。しかし,わずかながら達也には届かず。
唇対唇の接吻、互いの抱擁経験の有無を考えてみても、タッチのクオリティも達也・南ペアの方が勝る。

3月20日から開幕したセンバツ甲子園。
ある高校が逆転するとき、校歌斉唱のとき、アルプススタンドが頻繁に映し出される。応援団やベンチ外の野球部員は抱き合って勝利に喜び、肩を組んで校歌を斉唱する。
しかし隣に女子生徒がいた場合、女子生徒にはけっこうよそよそしい。ハイタッチすらも遠慮がちな生徒をよく見かける。
上杉兄弟と浅倉南の場合、恋心が芽生える前からずっと一緒だった。だから多少大胆なタッチもほとんど許される。
それくらいの幼馴染が隣で応援しているということも現実ではあまりない。嫌われたらイヤだし、ここは無難によそよそしくしておこう……という判断は正解とは言えないが、間違ってもいないと思う。
(山川悠)
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