平成28年熊本地震」と名付けられ、今も捜索・救助活動や被災者の避難生活が続いている今回の大地震。ひとりでも多くの人が助かり、少しでも日常生活への復帰が現地に訪れることを祈るばかりだ。今回の地震を受けて各テレビ局は通常編成を一部変更し、地震速報のテロップCM中にも差し込むなど、特別対応で臨んでいる。

 そんな中、芸人の所属事務所は大災害のたびに恒例となりつつある、とあるクレームに悩まされていると聞き、取材を行った。

「うちは新人から大御所まで数十名を抱えるタレント事務所ですが、東日本大震災のときから始まった『募をしないのはナゼだ』というクレームに今回も苦労しています」(芸プロダクション関係者)

 タレント事務所への募に関するクレームとは何なのか。

「今回のような地震が発生すると企業や団体、個人が募を表明することもあります。芸人も同様に『募をした』と表明している人がいますが、その一方でまったく表明していない人もいます。すると、表明していない人の中でも高額所得を得ていると思われる大物人がバッシングの対となり、事務所クレームがくるのです」(同)

 募を表明していないからクレームとは驚きだが、この話はそれで終わらないという。

「募するかどうかは個人の自由なので他人がとやかく言うことではありません。でも歩譲って、高額所得者が本当に募していなくてクレームをつけられるならまだわかります。しかし、実際には表明していないだけで、裏でこっそり募している芸人もたくさんいるんです。なのに『募を表明していない芸人=募をしていない芸人』と決めつけてクレームしてくるんですから、たまったものではないですよ。募したからといって全員にするわけではないということを理解してほしいです」(同)

 たしかに募したからといって世間に表する義務などない。むしろ、表することを嫌う人もいるはずだ。しかし、世間の一部はそうは受け止めてくれず、ネット上にはこれに関連したひどいリストも存在するという。

東日本大震災のときには『募していない大物リスト』が作られていました。そうそうたる名前が並んでいましたが、が知る限り、その中の数名は数万、数千万単位の募をしていましたよ。それなのにネット上では『持ちのくせに最低だ』などと書かれているので、ひどいなと思いましたね。熊本地震ではまだリストは出ていないようですが、そんなものを作る前に想像を働かせてほしいですね」(放送作家

 こんなリストまで作られてしまうとは芸人も大変な職業だ。

 先のコメントにもあったように、募はあくまでも本人の意思で行うものであり、かに強制されるものではない。また、募をしたからといってそれをにする義務もない。その点を踏まえて、冷静に行動してほしいものだ。さらに言えば、そのようなことに労を割く余裕があるのならば、その時間を少しでも被災地に向けてほしいものだ。
(文=吉沢ひかる


イメージ画像:『ボランティアナース東日本大震災ドキュメント』(三堂)

イメージ画像:『ボランティアナースが綴る東日本大震災―ドキュメント』(三省堂)