年間500食!を全国食べ歩く“らーめんDJユデ太郎”が作る究極のカレーラーメンとは
週プレNEWS

DJ界のカリスマが人気ラーメン店とコラボし、絶品ラーメンを作り上げたーー!

都内近郊に20店舗を構え、創業100年を超える老舗の人気ラーメン店「直久」が5月末まで販売する期間限定メニュー(一部店舗を除く)「華麗(カリー)なるスパイスそば 初夏の香」がそれだ。

北インドカリーで使われるスパイス10種類以上を使用し、香味油と共にブレンド。そのスパイスダレを名古屋コーチンと鶏白湯(とりぱいたん)のスープでバランス良く合わせ、枝豆のジュレや京都産の九条ネギをトッピング。さらに麺はモチモチの特製平打ち麺で…というスペシャルなスパイス・ラーメンだそう。

材料を聞いただけでこだわりのゴージャス感が伝わるが、一体、そんなラーメンを作り上げたDJとは何者なのか? 「直久 新橋店」へ出かけ取材を試みると、そこにいたのは――。

―へ~。DJがコラボしたラーメンかぁ~。どんなもんだろう。(ひと口食べる)、う、うぉ~! こ、これ、めちゃウマ! うっ、うっ(言葉を失い、一気に食べる!)。ふ~っ。一体、これを作ったのは誰なんだろう。そういえば『とんかつDJアゲ太郎』って漫画があるけど、もしや「らーめんDJユデ太郎」? あ、そこにいるあなたは、ま、まさか!

●● そうです! 私が「らーめんDJユデ太郎」です!…って、おーい、何させんだよ! 週プレNEWS(笑)!

―いや~。DJとラーメンの二刀流なんてリアルに漫画みたいなんで、盛ってみました(笑)。すみません。っていうか、あの須永辰緒(たつお)さんじゃないですか!?

須永 ま、「アゲ太郎」は僕も読んでて好きですけどね。

―でもコンピレーションCDを数え切れないほどリリースし、国内外のクラブだけでなく、海外のジャズフェスに呼ばれるほどの人気DJが、なぜお店でラーメンを?

須永 もともと僕は全国にDJで出かける合間にラーメン店を回って年間500食、食べていたほどラーメンが好きなんです。今でもラーメンのためだけに日帰りで地方まで行くこともあるし。

―え~! そんなに好きなんですね!

須永 で、10年くらい前からラーメンを独学で作り出したんだけど、それが友達やイベントのお客さんの間で好評でね。その輪が少しずつ広がって、いつかお店で自分のラーメンを出せたらいいなと思ってたら、直久さんから声をかけてもらって。まぁ、プロのDJになった時も最初は自分で作ったカセットを友達にあげて、喜んでもらったことに始まったわけだから、似てるといえばそうだけど。

―ラーメンにかなり熱い想いがあったんですね。だけど、こういうカレー風味のスパイシーなラーメンって珍しくないですか? 今まで食べたことないですよ。

須永 そう。日本中回ってもスパイス・ラーメンって少ないんですよ。だからこそ美味しいものを自分で作りたかったというか。友人の東京カリ~番長(カレーに特化した料理ユニット)にスパイスを学んで、自分で何度も調合したり、札幌にある有名なスパイスラーメンのお店に出かけて味を研究したり。その上で直久さんと10回以上試作しました。でも味に関してはもちろんだけど、お店でラーメンを出すのは本当に大変だと思いましたね。

―大変? どのあたりがですか?

須永 一番大きいのは原価を守ること。これが商売の難しいところでさ。今回は赤字覚悟ってことで直久さんにかなり泣いてもらったけど、話を聞くたび、改めてプロの凄さを感じましたよ。イベントでラーメンを出す時は原価がいくらでとか、あまり考えないんで。

―須永さんは、普段からプレイする曲の原価が最も高いDJとして有名ですよね。高価なレコードを購入しても1度のプレイで1曲しかかけなかったり。クリエイティブにお金を惜しまないというか。

須永 僕は1曲に最高7千円くらいはかけちゃうから。馬鹿馬鹿しいっちゃ、馬鹿馬鹿しいんだけどね(笑)。

―200円出せばネットで曲が買える時代にそこまでやるのは圧巻ですけどね。DJプレイするのとラーメンを作ることで同じように意識してることはあります?

須永 グルーヴかな。お客さんに反応してもらって、そこから最後まで楽しんでもらう推進力を作ることです。

―具体的には?

須永 つかみですね。ラーメンでいえば、スープのひと口目。そこでお客さんを驚かせて食べ進めさせていって、途中でいろんなものを味わってもらいつつ、最後は美味かったって余韻(よいん)を楽しんでもらう。それが理想。DJも1曲目でつかんで、徐々に盛り上げながら、最後までいく。その上で翌日になって、昨日はなんだかわかんないけど最後まで踊っちゃったな、酒が進んだなとかって余韻を味わってもらえたらいいというか。













―なるほど。確かに今回のラーメンもスパイシーなスープで、まず「おっ」ってやられて、食べ進むうち、上に乗ったジュレが溶け出してスープの味が変わったり、ご飯を入れて別の味を楽しんだり。食べ終わった後は、清涼感と一緒に余韻も楽しめましたね。

須永 でしょ(笑)。自分で言うのもなんだけど、他にはないタイプのラーメンだと思いますよ。

―ちなみにDJする上での、鉄板のつかみなんてあります?

須永 そうだなぁ。現場によるけど、「マツケンサンバ」とかね。

―あー!! あれが1曲目にきたら、テンションが上がって思わず踊りだしちゃいますよね。

須永 うん。ちなみに「マツケンサンバ」を東京で最初にかけたのは俺なんで。以前、大阪に行った時、若いDJがかけてたのよ。で、聞いたら京都の東映太秦(うずまさ)村にしかないお土産品だっていうから買ってきてもらってね。それを東京のクラブでかけたら「なんだこれは!」って爆発的に盛り上がっちゃって。それで小西(康陽・音楽プロデューサー)さんとリミックスしてアナログを出したら大ヒットして、いつの間にか紅白歌合戦に出てた(笑)。

―へ~っ!! 本当につかみ次第でものすごいことにもなるというか。じゃあこのラーメンも…。

須永 最終的には紅白で話題になるくらい、お客さんが喜んでくれたらいいですね(笑)。

―それにしてもDJとしてのお話といい、ラーメンへの情熱といい、本当に漫画のキャラみたいに最高すぎますよ!

須永 そうかなぁ。じゃあ、もう週プレNEWSでは「らーめんDJユデ太郎」でいいや(笑)。あ、でもそれだとどこかの漫画の真似か飲食チェーン店の名前みたいだから「さん」をつけて、「らーめんDJユデ太郎さん」で。よし、これからはそれで(笑)!








●須永辰緒(SUNAGA TATSUO)







日本のクラブシーンの黎明期からDJとして国内外のクラブやフェスでのプレイをはじめ、楽曲制作、コンピレーション制作その他幅広く活躍。昨年、活動30周年を迎えたクラブジャズの第一人者。25日には「須永辰緒の夜ジャズ・外伝2 All The Young Dudes ~全ての若き野郎ども~」をリリース。また、同時にラーメンをこよなく愛し、自らラーメンソロユニット「ラーメン吉田」として都内クラブやレストランバーなどで不定期ながらイベントを開催するほか、ラーメン関連の雑誌連載も手がける。

(取材・文/大野智己)

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