キャリコネ

 リーマンショックから3年半。一時は鳴りを潜めた外資系金融などが、欧州危機でひと儲けしようと画策しているという噂もある。中ではどんな働き方をしているのか。外部から知ることのできない様子を、キャリコネの口コミからうかがってみよう。

 六本木ヒルズ森タワーのオフィスフロアの最上階部分、42階から48階まではゴールドマン・サックス・グループが借り切っている。グループ専用の受付を通り、専用の直通エレベーターで職場に向かうと、社内には社員専用のスターバックスコーヒーがある。ゴールドマン・サックス証券に勤めていた30代の男性は、こう書き込んでいる。

「ヒルズ内にも1階に降りていけば『六本木ヒルズ・ウエストウォーク店』があるが、『より近くで待たずに』という発想。スタバのスタッフも4人くらいいる本格的な店である。価格は1割引」



「友人の結婚式さえドタキャン」なんて誰も驚かない

 そこまで時間を節約し、快適さを追求して何をしようというのか。同証券に勤務する30代のトレーダーによると、2009年時点の社員の年収は一般的に次のようだったという。

 「アナリスト(新卒~3年目)で1500~2000万前半、アソシエイト(4年~8年目)で2000万前半~4000万、VP(ヴァイスプレジデント)(8年目以降~)で3000万~1億円程度、MD(マネージング・ディレクター)で5000万~10数億円程度かと思います」

 これだけ稼ぐのなら、一分一秒を争っても仕方がない。この男性は運よく30歳でMDになり、年収も2億円から5億円ほどになったが、「結果次第では、いつ解雇になるか分かりません」と諦めている。現在も働いているかどうかは不明だが、それだけ稼いでいたら、もう一生働かなくても済みそうなものだ。

 とはいえ、目玉が飛び出るほどの高給をもらう理由は十分あるというのが、彼らの言い分である。ボストン・コンサルティング・グループで30代を過ごした男性は、他の企業に比べて給料は高いが、もらいすぎという感覚はなく、労働を通じた貢献にふさわしい報酬であると主張する。

 「労働環境は極めて苛酷。厳しいときは週睡眠時間10時間なんていう声もあちこちで耳にする。社内で労働環境改善に向けた取り組みを進めているが、形骸化しているのが実態。結局は働いてナンボ、成果だしてナンボ、のマゾヒズムカルチャー」

 20代にドイツ証券に勤めていた男性も、仕事のきつさをこう振り返る。

 「最初の3年間は私生活は無いものと考えた方がよいのでは。平均睡眠時間は4時間、2(日連続)徹(夜)・3徹当たりまえ、土日無し、休みもいつ取れるか分からない、金曜日の夜に仕事を振られて土日徹夜、友人の結婚式さえドタキャン、なんて話を聞いても誰も驚きません」


 

プロジェクトの慰労会で恋愛に発展、2カ月で離婚

 人間の限界に挑戦するようなハードワークを迫られる職場にも、社内恋愛は存在する。ただし、恋愛も結婚も外資系社員ならではのエネルギーとスピードを要する。こちらもドイツ証券で勤務していた人の話だ。

 「協力してプロジェクトを遂行し、やり遂げた後の慰労会などで、“共同作業で何かを達成した感”から恋愛に発展するのではないでしょうか。そのかわり2カ月で離婚したというケースも聞いたことがあります」

 徹底しすぎる個人主義は、ときに滑稽に映る。JPモルガン証券で派遣社員として働いていた女性によると、個人の執務デスクはパーテーションで区切られており、そのため勤務中は一切同僚と会話をせず、「前後左右の人にもすべてメールでコミュニケーションを取っていた」。

 そんな外資系業界でも、長引く不況で以前のような高給がもらえなくなったと嘆く声もある。シティバンク銀行に勤める20代後半の男性によると、以前は30歳で1300万円くらいはもらえていたものの、インセンティブ報酬が引き下げられて「700万円弱くらいになってしまう」人もいるそうだ。

 給与水準は職種によっても異なるが、それでも「平均よりもずっと高い」ことは確実だ。それを喜んで誇りに思うか、それとも「こんな程度ではリスクの高い職場で働く意味がない」と考えるか。あるいは「そこまでして働きたくない」と思うか。いずれにしても、外資系=ある種のブラック会社に飛び込むかどうかは、自分の能力と覚悟次第だ。


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