日本映画第1位に選出された『この世界の片隅に』 - (C) こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
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 老舗映画雑誌「キネマ旬報」が2016年度のベスト・テンを発表し、女優ののんが声優を務めるアニメ作品『この世界の片隅に』が『君の名は。』や『シン・ゴジラ』といった強豪を抑え日本映画第1位に決定した。同賞において日本映画でアニメ作品が1位に選出されるのは宮崎駿監督作『となりのトトロ』以来、28年ぶりとなる。

【動画】キネマ旬報ベスト・テン日本映画1位は『この世界の片隅に』

 こうの史代の同名漫画をアニメ化した『この世界の片隅に』は女優のんが改名後、初めて声優として映画主演を務めたことでも話題となり、2016年11月12日に全国63館の小規模公開でスタートしながら週末映画興行収入ランキングで初登場10位にランクイン。以来、9週連続でベスト10入りを果たす異例のヒットを記録。初週より上映館数が100館以上追加され、1月8日時点で興収11億円を突破するなどいまだ勢いが衰えない。なお監督の片渕須直も日本映画監督賞を受賞しており、アニメーション作品の日本映画監督賞受賞は初となる。

 2位は『エヴァンゲリオン』シリーズなどの庵野秀明が総監督を務めた『シン・ゴジラ』(2016年7月29日公開)、3位は第69回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」審査員賞を獲得した深田晃司監督作『淵に立つ』(2016年10月8日公開)。一方、邦画作品の歴代興収ランキング2位だった『ハウルの動く城』を抜き、210億円を突破した記録的ヒット作『君の名は。』は圏外となった。

 洋画第1位はクリント・イーストウッド監督の実録ドラマ『ハドソン川の奇跡』(2016年9月24日公開)。2009年1月15日、突然の全エンジン停止という危機に見舞われながらも、ハドソン川に不時着して乗客全員が生還した航空機事故のてん末をトム・ハンクス主演で描いた物語で、イーストウッドは本作で8度目の外国映画監督賞受賞を果たした。

 同賞は、1919年に創刊された「キネマ旬報」が1924年度から発表している映画賞。2016年度はのべ130人以上の映画業界人が各賞を選出した。ベスト・テン及び個人賞の詳細については2月3日発売の「キネマ旬報2017年2月下旬 キネマ旬報ベスト・テン発表特別号」にて掲載される。(編集部・石井百合子)

第90回キネマ旬報ベスト・テンは以下の通り。

【日本映画ベスト・テン】
1位:『この世界の片隅に』
2位:『シン・ゴジラ』
3位:『淵に立つ』
4位:『ディストラクション・ベイビーズ』
5位:『永い言い訳』
6位:『リップヴァンウィンクルの花嫁』
7位:『湯を沸かすほどの熱い愛』
8位:『クリーピー 偽りの隣人』
9位:『オーバー・フェンス』
10位:『怒り』
(次点:『海よりもまだ深く』『64-ロクヨン-前編/後編』)

【外国映画ベスト・テン】
1位:『ハドソン川の奇跡』
2位:『キャロル』
3位:『ブリッジ・オブ・スパイ』
4位:『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』
5位:『山河ノスタルジア』
6位:『サウルの息子』
7位:『スポットライト 世紀のスクープ』
8位:『イレブン・ミニッツ』
9位:『ブルックリン』
10位:『ルーム』
(次点:『ボーダーライン』)

【個人賞ベスト・テン】
日本映画監督賞:片渕須直『この世界の片隅に』
日本映画脚本賞:庵野秀明 『シン・ゴジラ』
主演女優賞:宮沢りえ『湯を沸かすほどの熱い愛』
主演男優賞:柳楽優弥 『ディストラクション・ベイビーズ』
助演女優賞:杉咲花 『湯を沸かすほどの熱い愛』ほか
助演男優賞:竹原ピストル『永い言い訳』
新人女優賞:小松菜奈 『溺れるナイフ』『ディストラクション・ベイビーズ』ほか
新人男優賞:村上虹郎 『ディストラクション・ベイビーズ』ほか
外国映画監督賞:クリント・イーストウッド『ハドソン川の奇跡』

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