2月10日「ニートの日」、東京・世田谷区で「ニート祭り」が開催された。主催はニートの支援活動などを行っているNPO法人「ニュースタート」。今年で11回目の開催となったが、約100人の参加者が訪れ、会場が満員になるほどの盛況ぶりだった。

「女子特有のグループ社会になじめなかった」「人と合わせることが苦手」

初めに朗読劇「ニート"支援"で僕たちはどう変わったのか?」が行われた。実際にニュースタートで支援を受ける20代~40代の男女7人が身上を語る、という内容だ。

はっしーさん(男性・32歳)は「よくみられたくて誰にでもいい顔をしてしまう。それに無理が出てきて合計8年間引きこもった」という。高校を卒業して一度は正社員として働き、多くの同僚の相談に乗った。しかしその内容も徐々にエスカレートし受け止めきれず、最後はすべてを振り切って逃げるように引きこもったという。

「人と関わるのは嫌いじゃない。支援を受けて、八方美人が六方、五方美人でもいいんじゃないかと思うようになった」

ニートになった理由は人それぞれだ。「女子特有のグループ社会になじめなかった」「人と合わせることが苦手」「アルコール中毒の自分が認められず引きこもって飲酒」……。

以前は「○○しなければ」「○○でなければ」と感じることが多かったが支援を受けて、「そこまで気負わなくてもと思うようになった」と述べる人が多かった。現在、同団体の寮に入り、共同生活をしながら、職業体験などに参加しているという。

ニートの二大巨頭は都会在住と田舎暮らし 変わらないのは「無理せず生きること」

後半は「あくせく働かない、その先の幸せ。」と題し、京大卒カリスマニートのphaさん(38)と、和歌山県で生活している「山奥ニート」の葉梨はじめさん(28)を中心にトークライブを行った。

先述の利用者たちは結果として現在ニートになってしまった、という印象が見受けられる。しかし両氏は「ライフスタイルとしてニートを選択した」ということが強く感じられた。

「今、厳密にはニートじゃないんですよね。ニコニコ生放送を観て不適切なコメントを削除するバイトをしています」

冒頭、phaさんのまさかの発言に、会場は少し面食らう。

phaさんは現在、ギークハウスというパソコンやネット好きが集まるシェアハウスで生活しているが、「住人みんながニートなわけではなく、プログラマなどをして働いている人が多い。みんなニートだと家の運営もできないので」と至極全うな見解を述べる。しかし、

「週に1日7時間バイトするだけ仕事するだけで思うけど、仕事は疲れる。無理しない感じで働いて生活できたら」

という軸はぶれないようだ。

葉梨さんも「小学校のときから働きたくなかった。phaさんに憧れていて、山奥にニートを集めて生活させるというNPO法人を見つけて参加した」という。

「引きこもりは都会も田舎も一緒。田舎はお金を使うこともないし、たまに近くの住民たちを手伝って生活している」

葉梨さんは現在、月に7日程度、近隣住民の手伝いを行い、1か月1万5000円で生活しているという。内訳は光熱費9000円、食費6000円。家賃はかからない。コンビニはなく、スーパーまで1時間半となれば確かに要らぬ出費はなさそうだ。また山には食料が豊富で、山菜や時々手に入る鹿や、蛇、テンを食べることもあるなど、話しぶりから田舎ライフを楽しんでいるのが分かる。

ニートの結婚観「男性は働く、女性は可愛いというのが未だに求められる」

話題は生活から、ニートの結婚観へと移る。やはりニートの二大巨塔、結婚に対して独自の思想があるようだ。

「年収50万の人間が一人で生活するより、年収100万で2人で暮らす方が楽だと思う。ただ僕は他人と一緒に過ごすのがツライから結婚に向いてない」(phaさん)
「結婚は一人じゃできないし、いい人がいたらしたい。女性でブスなニートはたくさんいると思うから、そういう方とくっついたら面白いかも」(葉梨さん)

phaさんは結婚・出産が素晴らしいとされていることが、世の中の人にとってプレッシャーになっていると指摘し、「みんながみんな結婚に向いているわけではない」と語っていた。

一方、葉梨さんは「無職の女性は『家事手伝い』と呼ばれる。働かない女性はマイナスではない。男性は働く、女性は可愛いというのが未だに求められる」と述べた上で

「働かない男性=ブサイクな女性。働かない男を許してくれるなら、ブサイクな女も歓迎」

と熱弁をふるったが、「こんなこと言うと今後女性を紹介しづらくなる」と会場を笑わせた。

「月に20万稼ごうとしたら働き方に限りがでる。でも月2万ならどうにかなる」

質疑応答では会場からにニートの生き方に関する質問が出た。「ニートはどんな仕事に就くのがいい?」という質問にphaさんは「自分のペースで出来る仕事」と答えていた。

「シェアハウスにもプログラマーが住んでいる。技術があれば自信にもなる。自分は、今のニコニコ生放送のバイトをネットの友達に紹介してもらった。人のつながりは大切」

葉梨さんには「山奥での低コスト生活、急な出費が出てもやりくりはできる?」という質問が投げかけられた。

「光熱費を一緒に生活している人から多めに取っているから大丈夫。NPO団体から少し出してもらうこともあるけど最悪バイトすればいい」

最後に今回のテーマである「あくせく働かない、その先の幸せ。」についてそれぞれの思いを語った。

「今みたいな生活が続けばいい。どう見られているか気にせず、自分なりに生きること」(phaさん)
「今が相当幸せ。昼過ぎに起きてごはん食べてゲームして……。ニートは本来楽しいもの。自分を責めずに楽しめばOK」(葉梨さん)

2人としては「月に20万稼ごうとしたら働き方に限りがでる。でも月2万ならどうにかなるし、生きていける。あくせくせず生きる方法もある」というのが考えのベースにあるという。

イベントに参加した40代男性は「自分もニートみたいな時期があった。外へ出ろと言われるのは本当につらかった」と支援を受ける人に共感。また、20代無職男性は「仕事に就かない状態は不安だしいいイメージも持たれない。でもphaさんも葉梨さんも楽しそうに暮らしていて面白そうだと思った」とニートの生活に思いを馳せていた。

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