英国のある街で先日、銀行のATMが引き出し希望額の「倍を払い出す」不具合を起こしたまま作動し続け、周辺住民が殺到する騒ぎが起きた。知らせを受けて駆けつけた警察は、Twitterなども使いながら間違って出されたお金の返金を呼び掛けたが、被害を受けた銀行側の対応は、少し異なるものだったという。

英紙デイリー・メールによると、この一件が起きたのは英南部ハンプシャー州にある海辺の街マイルフォード・オン・シー。先日、この街に設置されている英大手銀行HSBCの1台のATMに、引き出し希望金額の「2倍」を払い出す不具合が発生した。すると“思いがけない錬金術”ができると知った利用者から、不具合の話が「急速」に街中へ広まり、ATMには数百人とされる長い列が瞬く間にできたそうだ。

そのときの様子について、近くで目撃したある男性は「賑やかだったよ、どんどん人がやって来るんだ」と振り返る。男性によると、列を作った人の多くは「中年くらいだった」そうだが、中には親のキャッシュカードを持って来たと思われる「数人の子ども」も自転車に乗って来ていた。そして別の住民の話では、怪しまれないように工夫するためか、カードを複数枚持って来て、それぞれの口座から一定額を引き出す人もいたといい、多い人は数千ポンド(1,000ポンド=約13万円)を余計に持ち帰ったと見られている。

結局、騒ぎを知って駆けつけた警察が止めるまでの2時間で、約200人の利用者がATMを使用。これを受けて警察は「“多くのお金を出すATMの話”を聞いた人にお伝えします。申し訳ないが、私たちはもうそこにいますよ」とTwitterに投稿し、それ以上人が詰めかけないように告知した。また、利用者が故意に余分なお金を持って行った場合は「詐欺とみなされる可能性がある」と警告。「銀行は返還を要求するだろう」として自主的な返還を促した。

ところが、当のHSBCの対応は警察の予想とは異なるものだった。HSBCは、利用者に余分なお金を支払ったのは「機械のミス」と判断し、「今回は間違いなく利用者の責任ではない」として「返金は求めない」と発表。かくして事情を知ってお金を引き出した利用者は、目論見通り“思いがけない錬金術”を成功させたわけだ。まさかの寛大な対応で堂々と恩恵を預かれることになった利用者たちを思い、目撃者の男性は「きっとその夜、街のパブは大いに繁盛したはずだよ」と話しているという。