カニバリズムについて熱く語った新鋭・ジュリア・ドゥコノ監督
シネマトゥデイ

 衝撃的な映像から、映画祭で失神者が続出した話題のホラー映画『ロー(原題) / Raw』について、注目の女性監督ジュリア・ドゥコノが、3月9日(現地時間)ニューヨークのAOL開催のイベントで語った。

【写真】ベジタリアン→食人へ変わっていく女子…

 可憐な少女が食人に目覚めていくさまを過激かつスタイリッシュに描いた本作。17歳の少女ジャスティン(ガランス・マリリアー)は全寮制の獣医大学に入るが、新入生は大学の先輩から手荒い歓迎を受け、過激なパーティーに参加させられたり、伝統と称して血を浴びせられたり、無理やり生肉を食べさせられる……。ベジタリアンである彼女の体は一時期拒絶反応を示すものの、いつしか彼女はカニバリズム(人肉嗜食)に目覚めていく。昨年開催された第41回トロント国際映画祭で、失神者が続出したとカナダのメディアが伝えている。

 製作のきっかけについて「長年友人だった今作のプロデューサーと、カニバリズムを描いた映画について話をしていたの。これまで描かれてきたカニバリズム映画は、主人公がカニバリズムの話を耳にしたり、主人公を脅かすカニバリズムを行うグループが登場するなど、カニバリズムの人々が『彼ら』という言葉で表現されてきた。けれど『彼ら』という言葉を聞くと、わたしは地球外生命体やゾンビを想像するの。でも実際にカニバリズムはあって、人肉嗜食者もいる。だから、もしわたしがカニバリズムを描く映画を製作するならば、『彼ら』ではなく、『わたし』にしてみたいとプロデューサーに話したの」と明かした。

 「脚本執筆で大変だったのは、主人公が起こす行動(カニバリズム)を、観客に共感を持ってもらう過程を作り上げること」だったというドゥコノ監督。「彼女に共感を持ってもらうために、暴力的で残酷な人や女嫌いな人を登場させた。そうして、観客が自然に主人公の味方になっていく過程を描いたの。だから、彼女が徐々に暴力的になっていくとき、観客は彼女が怖くなっていくの」。

 最後に、カニバリズムと性欲について「わたしは、カニバリズムが性欲の引き金にはなるけれど、性欲がカニバリズムの引き金になるとは思っていない。彼女がカニバリズムの衝動に駆られた際に、(最初は)何も人に危害を加えられないため、叫んだりして、自分の体がむしばまれている感覚に襲われるの。でもその瞬間、彼女は初めて自分の体に共鳴していくの」と語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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