宇宙を構成する物質の実に8割を占めるといわれる「ダークマター(暗黒物質)」。間接的にその存在は予想されているものの、現在に至るまで発見には至っておらず、一部の科学者からは「ダークマター不要説」まで唱えられている状況だ。

 だがこの度、カナダ・ウォータールー大学の研究者らが、銀河同士を繋ぐ「架け橋」の初撮影に成功したことで状況が一変している。というのも、この架け橋を構成しているものこそダークマターに他ならないというからだ!


■ダークマターの架け橋の撮影に成功

 まず今回の研究を理解するにあたって、「重力レンズ」と呼ばれる天文上の現象を簡単に説明しておこう。極めて簡潔に言えば、「重力レンズ」とは恒星や銀河などが発する光が、途中にある天体などの重力によって曲げられたり、その結果として複数の経路を通過する光が集まるために明るく見えたりする現象のことである。ここで問題となるのは、重力レンズの観測データは通常物質だけでは説明がつかないことが多い点だ。そのため、見えざるダークマターが空間を捻じ曲げているのではないかといわれてきた。

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 米誌「Newsweek」オンライン版(4月12日付)などによると、今回の研究も上述の重力レンズ効果の1つ「弱い重力レンズ」と呼ばれる、多くの天体の光線データから重力レンズ効果を判定する手法を用いて撮影されたという。使用された観測データは、地球から45億光年離れた銀河のペアをカナダ、フランス、ハワイの天体望遠鏡が数年かけ観測したもので、その数は2万3千にも上る。

 この膨大な観測データをウォータールー大学の研究者らが結合したことで、ご覧のような互いの銀河を横断するダークマターの架け橋がハッキリと現れたというわけだ。銀河のペアはそれぞれ白、ダークマターは赤で表現されている。銀河同士の距離が4千万光年以内だと、結合が最も強くなるそうだ。

 一言申し添えておくと、今回の発見によりダークマターの構成物質が明らかになったわけではない。しかし、これまで観測されることがなかった銀河の架け橋の存在を実証したことで、ダークマターの実在が一段と真実味を帯びてきたといえるだろう。

「何十年も研究者は銀河の間にダークマターの網がフィラメントのよう伸び、それが銀河同士を結び付けていると予想してきました。今回の研究成果により、その予想の先へと研究を進めることができます」(マイク・ハドソン教授)

 しかし、昨年11月には、オランダ・アムステルダム大学で物理学を教えるエリック・ヴァーリンデ教授が、アインシュタインの重力理解は完全に間違っている上、謎の暗黒物質ダークマターも存在しないとする「ヴァーリンデの重力仮説」を発表し、その後オランダ・ライデン大学の研究チームが同仮説を裏付ける研究を行ったばかりだ。今後もダークマターを巡る論争はしばらく続きそうである。
(編集部)


※イメージ画像は、「Wikipedia」より

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