※画像はニコニコ動画より
日刊サイゾー

 ニコニコ動画出身の歌手・音楽クリエイターがオリコン上位にランクインし、話題を呼んでいる。人気ボカロP「ハチ」として活躍していた米津玄師のデビュー・アルバム『diorama』は、発売2週間で約3万枚を売り上げるスマッシュヒット。さらに、同じく人気ボカロPである「じん」のデビュー作『メカクシティデイズ』が、5月30日付オリコンのデイリーアルバムランキングで6位につけるなど、有望新人が続々と登場中だ。

 あるレコード会社関係者は「今後は、新人発掘のあり方が変わるかもしれない」と語る。

「新人発掘の方法といえば昔から、ライブハウスに通っていいバンドを見つけるか、オーディションに寄せられたデモテープをひたすら聴き込むか。しかし、仮に有望な新人を見つけたとしても、ヒットを出せるほどの成功を収めるのは『デビューさせた新人の100人に1人』といわれ、長い年月と忍耐が必要なのが新人育成という仕事です。昨今のCDセールスの不振で、各社ともに新人発掘や育成に予算を充てる余裕がなくなる中、有望な若手が自ら作品を次々アップするネット動画は、まさに天から降ってきたチャンス。いまや各社スタッフがPCの前にかじりついてニコ動をチェックしてますよ」

 ネットに音源をアップするクリエイターは、さまざまな楽器や音楽ソフトを使いこなすマルチミュージシャンであることが多い。「バンドものはとくに売れない」(同)という現在のJポップで、例外的に好調なのはAKB48などのアイドルグループか、きゃりーぱみゅぱみゅのような女性ポップ歌手。レコード会社の間では、米津玄師のように本人がデビューするケースとは別に、そうしたアイドルグループや女性歌手を手がけるマルチ型のプロデューサーを育てたいとの意向があるようだ。

「現在のJポップ界では、7~8年前の歌姫ブームの頃に活躍したR&B系のプロデューサーがまだ残っていますが、いずれもパッとしない。質の高いアイドルポップを作れるのは、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅを育てた中田ヤスタカなど、ごく一部しかいません。そのためアイドル関係のレコーディングでは、80年代からやっているような年配のアレンジャーにも仕事が回っているものの、これまた時代遅れの感が否めない。新鮮なアイドルポップを作れる若手が出てきたら、一発で売れっ子になりますね」(別のレコード会社関係者)

 もっとも、ニコニコ動画などで活躍するクリエイターには、音楽業界の儲け主義を警戒して自主制作にこだわる人も少なくない。CDの売上不振やコンサート動員低下に悩む音楽業界にとって、いまや「クモの糸」ともいえるネット出身クリエイターの世界。レコード会社側が必死になるあまり、両者の間で不毛なトラブルが起きなければよいが。
(文=道嶋涼介)


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