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 オックスフォード大学の研究者らが、今も世界中の科学者を悩ませている「フェルミのパラドックス」(Fermi paradox)に、一石を投じる驚愕の新理論を発表した。それによると、我々が宇宙人を発見できない理由は、宇宙人たちがある理由から“冬眠状態”に入っているからだというのだ!

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■フェルミのパラドックス

 本題に入る前に、まずは「フェルミのパラドックス」について簡単に解説しておこう。このパラドックスは、フェルミ推定で知られる物理学者エンリコ・フェルミにちなんで名付けられたもので、一言でいえば「なぜ宇宙人はまだ見つかっていないのか?」という素朴な疑問を言い表したものである。「フェルミのパラドックス」には、夢溢れるユニークな回答が多数提出されているので、いくつかご紹介しよう。

・「動物園仮説」――地球は宇宙人からみれば動物園のような観察対象に過ぎず、直接的なコンタクトを意図的に避けている、というもの。米宇宙物理学者ダンカン・フォーガン博士は、動物園仮説を拡張することで、「銀河クラブ仮説」を提唱。地球は「“原始的”文明との接触禁止を徹底する保守的な同盟の支配地域にある」と推測している。

・大気中には不可視の生命体があふれているが、人間の目の構造(凸レンズ)では見ることができない。凹レンズ(サンティリ式望遠鏡)を用いることで観測することができる。(原子物理学者、ルゲロ・サンティリ氏)

・原子よりも小さい極小粒子の中には超小型エイリアンが存在しており、重力から光にいたるまで全ての物理法則を支配しているが、宇宙の本質的な存在なため観測することができない。(米コロンビア大学、ケイレブ・シャーフ教授)

・エイリアンは微生物としてすでに体内に組み込まれているが、現在の科学ではそれを検知することができない(英物理学者ポール・デイビーズ教授)

 どれも奇抜な理論であるが、この度オックスフォード大学「人類の未来研究所(FHI)」の研究員で、AI研究者のアンダース・サンドバーグ博士と、ベオグラード天文台のミラン・シルコビッチ氏が提唱している「冬眠仮説(aestivation hypothesis)」も、負けず劣らず極めて斬新なアイデアとなっている。


■宇宙人は冬眠している!

 それでは、サンドバーグ博士の個人ブログに掲載された「冬眠仮説」の概要を参考に、詳細を見ていこう。記事冒頭に置かれた「冬眠仮説」の要約は次のようなものだ。

「我々が地球外文明を発見することができない理由は、宇宙人が宇宙資源を効率的に利用できる遠い未来を待つため、この初期宇宙時代においては、合理的な判断に基づいて眠り込んでいるからである」

 分かりづらい文章で恐縮だが、これからゆっくりと解説していくので安心して欲しい。まず、ここで注目すべきは「宇宙資源の効率的使用」だ。これは“効率的な情報処理”を指すと考えて差し支えない。そこで、この文章を簡単にパラフレーズすると、「宇宙人らは“効率的な情報処理”ができるようになるまで“冬眠”している」という意味だと分かるだろう。それでは、次に“情報処理”について説明しよう。

 通常、情報処理を実行するためには、コンピューターや脳といったハードウェアとともに、ハードウェアを動かすためのエネルギー(熱力学的なコスト)が必要となる。そして、このコストは気温に大きく左右され、冷たければ冷たいほど、低コストで情報を処理できるという。簡単にいえば、パソコンを10倍冷やせば、コストは10分の1になる、というわけだ。そして、このことは宇宙空間にも当てはまる、というのがこの仮説のポイントである。

 現在、宇宙温度は3ケルビン(約マイナス270セルシウス度)だが、この温度は永遠に一定ではなく、宇宙の膨張に従って指数関数的に下降すると言われている。つまり、この宇宙において、情報処理を効率的に行うためには、宇宙温度が下がり切る数兆年先の方が都合が良いのである。だから宇宙人は、それまで一切の活動を停止し、寝て待つ方が合理的だと判断するに違いない、ということだ。

 サンドバーグ博士らの「フェルミのパラドックス」への解答はこのようになる。
「宇宙人が見つからないのは、彼らが意図的に隠れているからではなく、彼らが活動を全く停止して眠り込んでいるから」


■なぜ効率的な情報処理を必要とするのか?

 しかし、疑問が残る。そもそも、なぜ宇宙人は効率的な情報処理を求めているのだろうか? 博士らによると、地球外の超文明はすでに宇宙の全てを探求し尽くしているはずであるため、彼らの情報処理能力は内的で文化的な事柄に使われるはずだという。具体的な例は提示されていないが、まさか宇宙人らは、音楽や詩作を極めるために数兆年の眠りについているということだろうか……。

「冬眠仮説」はあくまで“仮説”であるが、同説をテストする具体的な方法も記されている。冬眠中の高度な知性を持った宇宙人は、人類のような後発文明の脅威に必ず備えているはずであるため、自己複製機能を搭載した探査機を宇宙にばら撒き、それらが何らかの妨害に遭えば、同説を裏付ける証拠になるとのことだ。

 とはいえ、執筆者のサンドバーグ博士は、個人的には「冬眠仮説」を最良の理論とは思っておらず、むしろ「宇宙人はそもそも存在しない」と考えているそうだ。とはいえ、「宇宙人は間違いなく存在するはずなのに、未だ発見できていない」とすれば、「冬眠仮説」が一番納得できる説明だという。

 また、高度な文明を持つ地球外生命体の存在を想定することは、我々人類の未来を知る上でも役に立つとも語っている。すると、いつかは人類も、文化的な洗練を目指して冬眠を選択するようになるということだろうか? 今からは想像もできないが、人類がそんな平和な種になるとすれば、これほど素晴らしいことはないだろう。
(編集部)


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