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020201.jpg 各分野の識者とともに視聴者が社会のあらゆる現象について考える「ニコ生トークセッション」。2011年1月28日放送分では、「オネエブームを斬るっ!」と題し、ニコニコ動画で生放送された。番組では、フリージャーナリストの藤井誠二氏を司会に、作家の中村うさぎ氏、作家の伏見憲明氏、ゲイ雑誌『バディ』編集部のアロム奈美江氏が、マツコ・デラックス氏のキャラクターと毒舌がウケた理由を手がかりに、オネエブームの実態とその功罪を議論。番組では、現在のブームの背景には、アメリカから入ってきた「キャンプ(キャンピー)」と呼ばれる概念があるということが議題に上がっていた。

 「キャンプ」という言葉について伏見氏は「斜に構えて見るとか、あまり面白くないものを面白いものとして捉え直すといった、ゲイ的な感覚」とし、アロム氏は「ブスとか貧乏とか世間一般ではマイナスとされる要素を逆手にとって、笑いや強みに変えるセンス」と説明する。この「キャンプ」の具現者として、ド派手な女装の「ドラッグクイーン」が登場。それをきっかけに「2000年前後から日本でもゲイカルチャーがブームになりそうだった」と伏見氏は語る。それゆえ、中村氏は「(オネエたちにとって)このブームは今さら感がある」と話す。ちょうどその頃、マツコ・デラックス氏は、ゲイ雑誌「クィア・ジャパン『魅惑のブス』」上で、コラムニストの故・ナンシー関氏らと鼎談した。そこでマツコ・デラックス氏にドラッグクイーンと同じようなシンボル性を見出した中村氏が、ゲイ雑誌以外でも文章を書くことを勧めたという。

 キャンプを体現したドラッグクイーンは、「男とは何か?」「女とは何か?」という概念を超越している。「だからマツコ・デラックスのような存在が『これってどうなの?』と言うと、性差のバイアス(偏り)を取って聞ける」と中村氏は分析している。アロム氏によると「ファッションについて男性に指摘されると傷つくし、女性からだとやっかみではと思ってしまうが、オネエになら毒を吐かれてもいいと言う女性は多い」という。また、伏見氏は「ドラッグクイーンが女のパロディとすると、はじめからオネエとして登場した楽しんごちゃんは、東幹久のマネをすることで男をパロディ化している」と語り、楽しんご氏が新しくゲイカルチャーを一歩進めた存在であることを指摘した。

 一方、性同一性障害を抱える視聴者から「(オネエ系と性同一性障害とは別なのに)周りにオネエ系の立ち振る舞いを求められる。オネエキャラがテレビに出ることで面白がられ、差別につながると思う」といった意見が寄せられた。これに対しアロム氏は「自分も子どもの頃に『オカマ』だとからかわれた。その時、『面白い奴』という立ち位置になれば、いじめられずに済むのではと考えた」と、自分で環境を作った例を話した。伏見氏は「社会は、すべての人をウェルカムするように作られている場所ではない。そこにどうやって席を作っていくか、より楽しくなるようにしていくかだと思う」と答えていた。

「ニコ生トークセッション オネエブームを斬るっ!藤井誠二×中村うさぎ×伏見憲明」
「性同一性障害の視聴者からの質問」部分より再生
http://live.nicovideo.jp/watch/lv37758411#01:22:38
(番組はタイムシフト機能で2011年2月4日まで視聴できる)

(山下真史)

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