「マジでイケメン」暴力に悩む少女を助けた大学生、「未成年者略取」にならない理由
弁護士ドットコム

父親からの暴力に悩んでいた兵庫県西宮市の女子中学生(12)の保護に協力したとして、男子大学生が兵庫県警から感謝状を送られたニュースが7月上旬、ネット上で話題になった。

感謝状を送られたのは、関西学院大2年の森田悠斗さん(19)。報道によると、森田さんは6月2日夜、西宮市内の本屋の前で、雨宿りする女子中学生を見つけた。持っていた傘を渡して、立ち去ろうとしたところ、中学生が追いかけてきて「家に帰れない」と泣きだされたという。

森田さんは警察に行くことをすすめたが、中学生が嫌がったため、大学の後輩の女性を呼んで、自宅で事情を聞いた。「父親から殴られている」と打ち明けられた森田さんは、警察に相談した。中学生は現在、児童相談所で保護されているそうだ。

インターネット上では、森田さんを「まじでイケメン」と賞賛する声が多数あがった。ただ、一部では「おまえらがやると逮捕」「オッサンがやると未成年者略取です」といった声もあった。はたして、今回のようなケースでは、どう対応するのがいいのだろうか。小野智彦弁護士に聞いた。

●「未成年者略取罪」の保護されるべき法益とは?

「森田さんがとった対応がベストだと思います。

今回、中学生が女性ということもあり、協力者として後輩の女性を呼んだのは、正解です。事情を聞いて、虐待ということで、警察に相談したのも正解です。

警察に相談すれば、警察から児童相談所へ通告してもらうというルートがありますので、今回のケースでは、まさにそれに則った対応だったと思います」

少女を連れ去ったりすれば、刑法の未成年者略取罪に問われることもある。今回のケースはとの違いはどこにあるのだろうか。

「未成年者略取罪の保護されるべき法益は、(1)未成年者の身体の自由と(2)親権者の保護監督権の2つといわれています。

したがって、未成年者の承諾があったとしても、親権者の承諾がない限り、形式的には、この罪にはあてはまることになります。

しかし、今回のケースでは、未成年者を暴力を振るう親権者から保護するという目的でされたものであり、正当な行為であって、違法性がなくなるものと考えられます。

未成年者を保護するという目的であることをきちんと証言してもらえる状況作りという観点からも、後輩の女性を呼んだのは、正解だったと考えられます」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
小野 智彦(おの・ともひこ)弁護士
浜松市出身。1999年4月、弁護士登録。オフィスは銀座一丁目。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏が漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴した事件などの代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。
事務所名:銀座ウィザード法律事務所
事務所URL:http://ginzawizard-law.life.coocan.jp/

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