白人至上主義団体に反対する群衆に突っ込んだ車(中央左)。多数の人がはね飛ばされた=米南部バージニア州シャーロッツビルで12日、AP
毎日新聞

 【ニューヨーク國枝すみれ】白人至上主義者と反対派の市民との間で衝突が起きた米南部バージニア州シャーロッツビルで12日午後(日本時間13日午前)、反対派の群衆に自動車が突入し、女性(32)がはねられて死亡した。警察は女性をひき殺したとして、中西部オハイオ州の白人の男、ジェームズ・フィールズ容疑者(20)を殺人容疑で逮捕。事前の衝突に伴うけが人も含め、負傷者は計35人にのぼり、うち5人が重体。この他、集会警戒中の州警察のヘリコプターが墜落し警官2人が死亡。原因は調査中という。

 衝突の発端は白人至上主義者らが開いた集会。米紙ワシントン・ポスト(電子版)によると、この種のものでは「数十年来で最大規模の集会」で、秘密結社「クー・クラックス・クラン(KKK)」やネオナチなどの極右団体は11日夜、南北戦争で南部連合を率いたリー将軍の銅像を公園から撤去する計画に抗議するため、シャーロッツビルに集合。12日朝から数百人が「1国1民族、移民反対」などと叫びながら市中心部に向けて行進を開始し、反対する市民数百人との間で激しい殴り合いが起き、野球のバットや防犯用の目つぶしスプレーなどが使用された。

 マコーリフ州知事(民主党)は非常事態令を発令して州兵や機動隊などを動員し、集会を「不法」として解散させた。車はその後、群衆に突っ込んでおり、米司法省と連邦捜査局(FBI)は人種差別を禁じた公民権法違反にあたるかについても捜査を始めた。

 CNNテレビによると、行進に参加した元KKK最高幹部のデビッド・デューク氏は「我々はこの国を取り戻す。トランプ大統領の公約を果たすのだ」と話した。白人至上主義者の多くは昨年の大統領選で移民規制を公約したトランプ氏を支持。トランプ政権の誕生で自分たちの主張がお墨付きを得たとして、勢いづいているとみられる。

 一方、マコーリフ州知事は米国は移民によって作られた国だと強調し、移民やユダヤ人を排斥する差別主義者に対して「ここにお前の場所はない。帰れ。二度と来るな」と怒りをあらわにした。

 ◇「白人至上主義」会見で批判せず、後に釈明…トランプ氏

 【ニューヨーク國枝すみれ】バージニア州で起きた白人至上主義者と市民との衝突を受け、トランプ大統領は12日、静養先の東部ニュージャージー州で記者会見し、「憎悪と分断はすぐにやめるべきだ」と述べ、迅速な治安回復を訴えた。また「多くの側から憎悪、偏見、暴力が示された」として自制を求めたが、「白人至上主義者」という言葉を使わなかった。

 これに対し、与党・共和党内からも「悪魔は名指ししなければならない」(ユタ州のハッチ上院議員)など、明確に非難すべきだとの批判が相次いだ。

 批判を受け、ホワイトハウスは13日、トランプ氏が非難した中には「白人至上主義者や結社『クー・クラックス・クラン』(KKK)やネオナチ、全ての過激主義グループを含む」とする声明を発表。「大統領は全ての形の暴力や偏狭な行為、憎悪を厳しく非難した」と釈明に追われた。

全文を表示