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基礎生物学研究所(基生研)などは9月4日、メダカの色覚に季節変化が存在することを明らかにしたと発表した。

同成果は、基生研季節生物学研究部門 新村毅特任助教(現東京農工大学准教授)、中山友哉特別共同利用研究員、四宮愛特任助教、名大トランスフォーマティブ生命分子研究所 吉村崇教授らの研究グループによるもので、9月4日付けの英国科学誌「Nature Communications」に掲載される。

メダカは、春から夏は活発に泳ぎ回ってほぼ毎日配偶行動をするが、冬は川底にとどまって厳しい環境をやり過ごしている。これら季節によるメダカの行動の違いをもたらす仕組みはこれまで明らかになっていなかった。

同研究グループは今回、まず、10時間明期・14時間暗期・8℃という冬の条件下で飼育したメダカと、14時間明期・10時間暗期・26℃という夏の条件下で飼育したメダカの行動の違いを調べ、夏のメダカが水槽全体を活発に動き回ったのに対して、冬のメダカは水槽のそこでじっとしていることを確認した。次に、水槽の側面から光をあてたところ、夏のメダカは光を避ける負の走光性を示したのに対し、冬のメダカは反応ぜず、光に対する感受性が低下していることがわかった。

また、コンピューターグラフィックスで作成したリアルなバーチャルメダカをディスプレイに移し、婚姻色に対するメダカの指向性について検討した。この結果、グレーのバーチャルメダカに対しては、冬のメダカも夏のメダカも誘引反応は少なかったが、婚姻色のバーチャルメダカに対しては、夏のメダカが強く誘引されたのに対して、冬のメダカは誘引されなかった。

さらに、冬の環境で飼育したメダカと冬の環境から夏の条件に移した際のメダカの目における遺伝子発現の変化を解析したところ、視覚をつかさどるオプシンやその下流の情報伝達経路の遺伝子の発現が冬には著しく低下していたのに対し、夏には一斉に上昇することが明らかになった。この結果について、メダカは冬のあいだ食料をほとんど摂取しないため、オプシンを含むさまざまな遺伝子の発現を抑えることでタンパク質生産のコストを削減しているものと同研究グループは考察している。

色覚の季節変化はヒトにおいても報告されていることから、同研究グループは、今回メダカにおいて明らかになった季節による色覚の変化は、幅広い動物種に共通する仕組みである可能性があると説明している。
(周藤瞳美)

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