高橋克実(56)が13日に放送された『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)の中で、鈴木砂羽(44)の土下座強要騒動に対し、「演劇の世界では普通ですから」と擁護し、波紋が広がっている。さらに高橋は「(役者はまず)人格否定から始まる」「喋る前から『違う』と言われたり」と舞台演劇の”常識”を説明し、その上で鈴木の行動に「パワハラではない」との見解を示した。

 高橋のこの発言には、SNS上でも「また治外法権の芸能界ルールかよ」「身内をかばい合う芸能界」「会社だったらパワハラ上司の方がクビ」などと、テレビと一般社会との温度差を感じる声が多数あがっている。

「高橋は”演劇界”といってますが、それはあくまで日本の芸能界だけの話」と断言するのは、米国の大学で演劇を学んだという舞台演出ディレクター。

「アクターズ・スタジオであれ、イエール大学の演劇大学院であれ、海外の演劇学校のメソッドで”人格否定”から入る演技論など聞いたことありません。それはおそらく役者に徹底した上下関係を強いたり、タダ同然の低賃金労働をさせたい”日本独特”の芸能界や演劇人たちだけが信奉する演技論では。もしアメリカで演出家や監督が立場の弱い俳優に土下座なんてさせたら、すぐ訴訟問題になるし、AEAやSAGといったアクターズギルド(俳優組合)も黙っていません」

 たしかに日本の演劇界では、いまだに大御所の舞台演出家が怒って灰皿を投げつけるのが、ある種の武勇伝のように有り難がられているのが現状だ。別の映画雑誌編集者も、そんな日本の芸能界の状況は「世界的にみれば周回遅れのレベル」だと語る。

「デーブ・スペクターが『新潮45』(新潮社)17年9月号で『日本の俳優の演技力はぶっちぎりで世界ワースト』と言っているが、海外の映画・演劇関係者の評価も概ねその通り。さらに演技力だけでなくモラルやプロ意識の低さも低評価の理由に。テレビドラマはキャスティング先行で演劇の勉強もしたことがないアイドルや癒着した事務所のゴリ押しモデルが主演できるレベルの低さ。演劇の分野ではギャラ未払いやパワハラが横行し、高橋のようなベテランがしたり顔で”演技とは”などと説教する閉鎖的な世界。土下座を普通と言い切る感覚に象徴されるように、日本の俳優は社会人としての自覚に欠けている印象です」

「芸能界は特殊だから許される」という旧態依然の免罪符は現代ではもはや通用しない。そういえば昨年、小栗旬(34)が「タレント生命をかけて俳優組合(日本版SGA)を作る」と言ってたような……。こんな時こそ出番だろうに。

文・麻布市兵衛(あざぶ・いちべい)※1972年大阪府出身。映像作家、劇団座付き作家などを経て取材記者に。著書は『日本の黒幕』、『不祥事を起こした大企業』(宙出版)など多数あり。
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