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 10月1日に放送された『岡田斗司夫ゼミ』では、この夏に放送されたアニメ『メイドインアビス』について岡田斗司夫氏がコメントしました。

 「この夏のアニメの中で、唯一、10年後も残り続ける超大作だ」と、今作を大絶賛した岡田氏。さらに、「この物語は『主役が幼いキャラクター』だったからこそ実現できた」とも述べましたが、その理由は何なのか、実際のアニメのシーンを使って、『メイドインアビス』の魅力について解説しました。

※本記事には『メイドインアビス』のネタバレを一部、含みます。ご了承の上で御覧ください。
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ファンタジーの中にある"リアルな生活"が生々しく、面白い

岡田:
 「この夏面白かったアニメベスト10」というものを見たら、1位が『ようこそ実力主義者の教室へ』で、「えー!?」と思いました。1位は間違いなく『メイドインアビス』だと思っていたのに、なんと20位のところに『メイドインアビス』って書いてあって(笑)。いやあ、普通の人はそうなのかもわかんないな、と思いました。

岡田:
 まず、『メイドインアビス』の何が凄いのかというと、原作の漫画がめちゃくちゃ面白いんですね。そして、アニメが原作を追い越しているんですよ。

 漫画で出来て、アニメーションで不得意なこと、というものがあります。例えば、内面描写や心理描写というものを、漫画の場合はごく自然な独り言のような、いろいろな字体で書くことができる。しかし、アニメの場合は、それを声優さんがセリフとして言って、そのニュアンスで伝える、ということしか出来ないので、内面的なことはアニメーションよりも漫画の方が得意なわけです。

 それに対してアニメーションの方は、"カラーを使う""動きを見せる"ということが可能。美しいものを見せられるということに関しては、アニメの方が良いと思っています。

 『メイドインアビス』は、おそらく今の文明が崩壊した後の世界で、地球に"アビス"という直径1㎞ほどの深い穴が開き、そこから不思議な物がいろいろ発掘され、それで生活している人がいる、という世界観です。

岡田:
 主人公たちがいる幼稚園のような所は、そのアビスの近くで拾われた子供達が育てられ、アビスの中に潜り、中から物を取って来て、その幼稚園の売上に寄付することで、全員が生活をしているという、なかなかリアルな世界なんですね。

 ただ、そのアビスの中というのは、1千メートルくらい潜ったら、"上昇負荷"というものがかかる。つまり、上がってくる時に身体に何かしらの悪いことが起こるのです。それが千メートルくらいだったら、咳が出るくらいで済むのですが、深くなればなるほど、上がってくる時に、目から血が出る、人間の形を保てなくなるなど恐ろしいことが起こる。これを「アビスの呪い」と呼んでいるんですね。

良い作品かは"日の光"でわかる

岡田:
 そんな恐ろしい場所であるにも関わらず、いろいろな価値があるものだから、その周りには人間がいっぱい暮らしている。普通の世界のように、朝日も昇る。これはエンディングの一部の画なのですが、優れた映像というのは、横から光が入るだけでそれが朝か夕方かがわかるのです。

岡田:
 朝日と夕日というのは、見た目にもそっくりなのに、演出の描き方によって、それが明らかに希望的なものなのか、感傷的なものなのかがわかるんですね。『メイドインアビス』は、街の左半分はまだ真っ暗な闇に閉ざされているが、反対側は光がどんどん当たってきて、「希望に溢れた朝が来る」ということを暗示している。これがストーリー全体のテーマで、わかりやすいんですよね。

 かつて『天空の城ラピュタ』でも、スラッグ渓谷という所に、主人公のパズーがラッパを吹いて朝日が入るシーンがあって、なぜ宮崎駿さんがあれを描いたかというと、産業革命当時、子供が働かなければいけないような、過酷な状態の中でも、「こんな谷の奥にも朝が来て、朝日が周りを輝かせているんだ」「この世界はきれいなんだ!」

 というように見せることで、その世界の美しさを描こうとしたんですね。これができるアニメというのは、やはり優れているものなんです。『君の名は。』もそうなんですね。『君の名は。』を見ていると、現実の新宿よりきれいなんですよ(笑)。

岡田:
 『SLAM DUNK』のオープニングを見ても、実際の湘南の電車の踏切よりもずっときれいに描いている。それは画の力なんですね。画というのは、写真ではなく、きれいに描いても嘘にならないし、作り手側には「こういう風に見えている」というメッセージになるんですよ。

 『この素晴らしい世界に祝福を!』は、主人公がハーレム状態で、駄目な冒険している第1シーズンがとても好きで。その理由は、スタッフに恵まれないし、画もそんなに上手くないんだけども、夜明けのシーンとかで、あえてそれを描こうとしているんですよね。『Re:ゼロから始める異世界生活』も、きれいで美しいものを描こうとしているんですよ。

 ところが『異世界はスマートフォンとともに。』はそういったシーンが一切ない。「この世界が素晴らしい」というものがなくて、きれいなお城、部屋、女の子、というのはあるんですけども、その世界全体を称賛する、ということを肯定的に描いていない。

 そうでなければ、見ている人間が救われない、というところがあるんですね。なので、そういうのをしっかり描いているのは、僕はすごく信頼できることだと思うんですよ。

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