アナログレコードやラジカセなど、若者の間で“アナログ”なものがはやっているという。しかもそれは、懐古趣味ではなく、デジタル時代だからこそ生まれた現象だったのだ!

◆「モノからコト」。この流れが若者のアナログ回帰をつくる!

 若者は消費しない世代であるという声も聞かれる昨今。一方で、アナログなモノを求める若者たちが増えている理由を、立教大学経営学部教授の有馬賢治氏は「若者の消費傾向がモノからコトへ移っているのが大きい」と解説する。

「現代の若者は日常で使うためにモノを買うというより、趣味などを通じて周囲の友人や知人との共感を得るために消費する傾向があります。アナログブームもその流れから生まれたものです」

 有馬氏によれば、若者のアナログブームをけん引するのは、10代ではなく、経済力もある20~30代だという。その世代にはアナログなモノが「新鮮に映る」のもブームの要因だと指摘する。さらに、現在のように広まったきっかけは「SNSの存在も大きい」そう。

「東日本大震災を契機に『絆』が叫ばれる中でSNSは浸透していきましたが、繋がった多くの人たちへ何かを発信するならば、個性あるものをと願う人たちもいます。そのうちの一つとして、アナログなモノを自分のこだわりとして見せる人たちも増えてきた印象です」

 このような流れを受けて、アナログなモノへの需要に応える業界もある。音楽業界はその一例で、大手レコード店のHMVが’14年8月にアナログ盤の専門店「HMV record shop」を開設したほか、桑田佳祐やBABYMETALなど、音源配信やCDのリリースと並行してアナログ盤を発売するアーティストも存在する。

◆「面倒くささ」もステータスに

 そして、今の時代にレコードを聴くとなるとアンプやターンテーブルを揃えるのもひと苦労なことも若者にとっては「ステータスになっている」と有馬氏は分析する。

「レコードを例にすれば、自宅で楽しむときはレコードを聴き、出かけるときは音源をデータで聴くといった使い分けを楽しんでいます。また、ノイズを出さないようにレコードをかけるコツを自分なりに見いだしたり、アナログ盤のジャケット自体の芸術性を楽しむなど、若者なりに古いモノの価値を再発見する動きも見られます」

 それぞれの育ってきた世代や環境により、アナログなモノに「何を求めるかは異なる」と有馬氏は言う。慣れ親しんだ世代には古き良き懐かしのガジェットが、若者にとっては新しい感覚を体験させてくれるツールとなっているのだ。

 だとすれば、このアナログ復権、単なる懐古趣味のリバイバルで終わらない可能性を秘めているのかもしれない。

【立教大学経営学部教授・有馬賢治氏】
早稲田大学大学院商学研究科単位取得。著書に『マーケティング・オン・ビジネス―基礎からわかるマーケティングと経営』など。

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