「教えて!goo」「子どもの時間と大人の時間の流れ」という質問が寄せられているように、得てして幼児は時間感覚が身に付いていないものだ。小学生になって時計の読み方を習ったり、授業の始まりと終わりにチャイムが鳴ったりすれば大丈夫かな、と保護者は期待しても、すぐには変わらない子どもの方が多いだろう。児童心理カウンセラーの横山人美先生に子どもに時間の概念を身に付けさせるにはどうしたらよいのかを聞いてみた。

■10歳になる前の子どもには逆効果

横山先生が「『早くしなさい』『いつまで遊んでいるの』と、大人と子どもの時間概念の違いが問題になる場面はよくあります」と話す。通園バスの出発時刻が迫っているのに、のんびりと着替えていたり、テレビにクギ付けになっていたり、思わずため息が出てしまう場面は日常茶飯事だ。

しかし、それほど心配する必要はない。「子どもの発達の側面から見ると、時間の流れが分かるようになるのは、およそ10歳前後です」と横山先生。「それ以前の子は未来も過去もつながりのない『今』だけを夢中に楽しく過ごしています」という。

文部科学省の学習指導要領で、小学2年で「1日は24時間、1時間は60分など日、時、分の関係」、3年で「秒」と「日常生活で必要な時刻・時間」を習うことになっているのも、そのような背景があったのだ。なので「たとえ、それ以前に時計が読めるようになったとしても、時間の概念が身に付き、時間を守って行動できるという話とは別であるということになります」(横山先生)とのこと。

その上で「あとわずかな時間しかないのに新しい遊びを始めてみたり、友だちの家まで遊びに行ったのにすぐ帰る時間になったりする姿も理解できるのではないでしょうか」と問い掛け、「10歳くらいになる前に、あまりうるさく時間を言い過ぎるのは大人のエネルギーの無駄遣いかもしれません」と語り掛けるように諭す。

一方で、横山先生は「10歳を過ぎたら、しっかり時間の大切さを教える必要があるという目安にもなりますね」と付け加える。いよいよ本題に入ってきた。

■恐怖感を植え付ける可能性も

子どもに時間の概念が育たない原因として、「10歳以前に大人から厳しく言われすぎて逆効果になってしまったケース」(横山先生)が考えられるという。その影響は小さくない。

「『早くしなさい』『いつまでやってるの』『まだできないの』は言われ過ぎると言われるまでしない子になったり、大人の焦りが伝わって予想もしない余計な失敗を招き、時間に対する鈍感や恐怖感、または過敏という結果を招きかねません」(横山先生)

しっかりしてほしいという親心が行き過ぎたばっかりに、失敗ばかりする慌てん坊、必要以上に萎縮する引っ込み思案、懲りない遅刻魔に育ってしまったら悲しすぎる。横山先生は「大切なことは、時間の区別を意識させる生活を送る、すなわち、大人が規則正しい生活を心掛けて子どもたちにお手本を見せることです」とアドバイスする。

■「どの人にも与えられた素晴らしい財産」

具体的なアドバイスとして、子どもと一緒に「起床や就寝時間、夕食やお風呂の時間を話題にして実践する」ことや、「昔からある方法ですが、アナログ時計の針と数字を意識させる」ことを挙げ、「歯磨きや着替えなど短い時間であれば、砂時計を使って『時間内』を意識させると、子どもたちは喜んで時間を楽しめると思います」とも。叱られた記憶を残さずに身に付くのなら、それに越したことはない。

横山先生は「子どもたちの特性を理解して、大人の30分くらい余裕を持った生活の中で見守ることが、子どもたちの時間の概念や感覚を穏やかに育てます」とし、「『時間はどの人にも与えられた素晴らしい財産』であることを正しく伝えられる大人のもと」でこそ、「子どもたちの時間概念は正しく育ちます」と強調した。

寝坊した保護者が子どもと一緒に慌てているようでは、正しい時間概念が身に付くことはなさそうだ。

●専門家プロフィール:横山人美
新潟県出身。短大卒業後、幼稚園教諭、英会話教室・専門学校講師を経て、心理学者・晴香葉子さんに師事し成城心理文化学院認定講師となる。Keep Smilingを起業。個別コンサルティング、講演、セミナー講師を中心に活動中。

(武藤章宏)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

「早くしなさい!」「まだできないの?」は逆効果 子どもに時間感覚を持たせるには