電撃的な“難突破解散”だ。安倍晋三首相9月28日に召集された臨時国会衆議院の解散を宣言、10月22日投開票の総選挙が始まった。

 安倍首相9月25日記者会見で、消費税の使いみちの見直しや北朝鮮問題への対応について「民に信を問いたい」とっている。

 2012年12月の政権交代で第二次安倍内閣が発足後、アベノミクスによって価上昇などが伝えられ、日本気拡大局面は戦後2番の長さを記録している。一方で、好気の実感は薄く、国会では「友学園」「加計学園」をめぐる疑惑で安倍政権の支持率が急落した。

 この時代に、日本はどうあるべきか。安倍政権の問題点はどこにあるのか。旧民主党時代に自民党からの政権交代を果たし、09年9月から10年6月まで第93内閣総理大臣を務めた鳩山友紀夫氏に話を聞いた。

 鳩山氏は12年に政界を引退後、シンクタンク「東アジア共同体研究所」を設立、現在は同所の理事長を務めている。

アベノミクスで好気」の

――まず、約5年続く安倍政権の評価についてお聞かせください。

鳩山友紀夫氏(以下、鳩山) 友・加計問題をめぐって、民に対してをつくような姿勢を示したことは非難されてしかるべきだと思います。首相行政トップですから、問題の多寡にかかわらずを言うようなことがあってはなりません。その政治姿勢に問題があります。疑惑が払拭されない以上、今後も厳しい状況は続いていくと思います。

 アベノミクスについても、成功しているとは思っていません。確かに、異次元融緩和によって大手企業価は上がる一方ですが、中小・企業の苦は相変わらずです。民の所得も上がっているとはいえず、資産のない庭が年々増加しています。大義であったはずの物価上昇率2%という標も、いまだに達成されていません。

 安全保障政策にも疑問があります。隣である中国北朝鮮を非難し、叩き、それによって「自らは素晴らしい導者である」という姿勢を示す。その結果、それらのとの関係が悪化し、双方とも軍事を高めています。

 確かに、中国には膨義の面があり、北朝鮮の核・ミサイル開発は現実に進んでいます。脅威であることは否めません。しかし、大切なのは、隣一方的に悪者のように扱うことではなく、いかにこの世から戦争をなくす努をするかです。

 過度に脅威を煽ることで一時的に評価は上がるかもしれませんが、それでは根本的な問題は解決しません。対話を密に行い、東アジア全般に平和をもたらすような政権であってほしいと願っています。

――現在の内政については、どうご覧になっていますか。

鳩山 安倍政権は「強い」をすということで、需要と供給の供給側を強くし、グローバリゼーションに基づいた経済政策を展開しています。

 グローバリゼーションは否定しませんが、方法論を間違えると貧困と格差の拡大を助長することになってしまいます。そのため、富裕層はより富み、貧困層はより貧しく、中間層が削られていく……それが今の日本の実態です。今や、貯蓄なしの世帯は全体の約3割にもなっています。

 安倍政権は、「より自由で開かれたアメリカ的な市場経済日本でも必要であり、それが経済において万である」という思考です。しかし、その結果、日本の産業構造は大変ゆがんだものになってしまいました。確かに、グローバリゼーションによって輸出産業は好調ですが、日本の産業の多くを占める内需が非常に弱体化したことが問題です。今こそ、配分構造の変革がめられるときではないでしょうか。

 旧民主党政権時、弱体化した農家に対して「農業者戸別所得補償制度」を設けました。また、少子高齢化社会を迎えるにあたって、子育て世帯の負担を少なくするために「子ども手当」や「高校授業料償化」を実施しました。多くの庭に直接的に配分可な仕組みを考えたのです。

 旧民主党政権では需要側を刺する経済政策を行ったわけですが、安倍政権のように供給側を刺する施策だけでは、貧富の差は拡大する一方です。

北朝鮮ミサイル日本全体をターゲットに」

――北朝鮮日本も名しで攻撃対に挙げるなど、情勢が緊迫化する一方です。

鳩山 北朝鮮の核・ミサイル開発については、脅威がないわけではありません。しかし、ミサイルが発射されて、Jアラート全国瞬時警報システム)で緊急情報を伝達したところで、どれだけの意味があるのでしょうか。

 まず、北朝鮮が向いているのはアメリカです。朝鮮戦争はまだ休戦状態であり、平和条約を締結していない以上、アメリカとの戦争状態は続いています。北朝鮮から見ればアメリカの核やミサイルは確実に脅威であり、アメリカに対抗するために核・ミサイル開発を進めているのです。最終的には、北朝鮮が優位なかたちで平和条約を締結するのが狙いでしょう。

 日本は、そのアメリカ韓国と同じ立場です。そして、内に米軍基地があり、安倍首相国連総会の場で経済制裁と圧を強く訴えていることから、北朝鮮日本に敵意を持つのも当然です。このままドナルド・トランプ大統領サポートし続ければ、北朝鮮ミサイル日本全体をターゲットにすることもあり得るでしょう。

 今、日本が行うべきことは暴発的な危機を煽ることではなく、アメリカ北朝鮮が直接対話しやすい環境をつくっていくことです。日本が仲介するかたちで、話し合いによる解決を促すことが大切です。

――ありがとうございました

 次回は、中国が推し進めるアジアインフラ投資銀行AIIB)や一帯一路、日中関係について、さらに鳩山氏の話をお伝えする。
(構成=長井雄一朗/ライター 写真=尾暢)

元首相の鳩山友紀夫氏