第30回東京国際映画祭のJapan Now部門『三度目の殺人』のトークセッションが11月1日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、是枝裕和監督が出席。福山雅治、渾身のシーンをばっさりカットしたことを明かした。

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本作は、勝利にこだわる弁護士(福山雅治)が、担当した殺人事件の闇にはまっていく姿を描くサスペンス映画。

脚本、監督、編集を一手に担っているため、「撮影が終わったら、戻って編集をして、翌日の脚本を直すという一連の作業が一人でできる」という是枝監督。「もちろんクランクイン前に、できるだけ精度を上げて脚本を書いているつもり」というが、「現場で起きたことや見たことによって、脚本をブラッシュアップしていくスタイル」と現場で感じたこと反映させていくため、脚本が変わることも多いそう。「スタッフは大変ですが、僕自身は楽しい」とニンマリとした笑顔を浮かべていた。

『三度目の殺人』は、「だいぶ変わった。しかも別の着地も撮影している」と告白すると会場からも「ええ!」と驚きの声。「役所(広司)さんのお芝居があまりにうまくて、僕もわからなくなってしまった。主人公と同じように振り回されてしまった」と話す。

そのため「途中で編集がずい分、変わった。流れを変えた。その編集の形にたどり着いたのは、『明日には完成させないといけない』という段階のとき」とギリギリになって、大幅な変更を決意。なんと福山雅治演じる主人公の見せ場となる最終弁論のシーンをカットすることにしたそうだが、「主人公にしてみれば、最終弁論は結構な見せ場だった。しかも、撮影の前日にようやく脚本が出来上がって、それを1日で覚えてくれと。ワンカットで撮りますと、無茶なことを福山さんにお願いしていた」ともともと無茶振りのシーンだったと明かす。

「福山さんは完璧に覚えてこられた。大型のクレーンで主人公に寄っていく、もうひとつのクライマックスだった」と渾身のシーンになったものの、是枝監督は「撮って、全部カットした」と苦笑い。「福山さんは見たときに驚いたと思う。でもすぐにLINEをくれて、『この形で納得ができたので、僕のことは気にしないで。無理して残さなくて大丈夫』と」と福山から連絡があったといい、「僕が気にしていることがわかったんだと思う。すぐにその連絡をくれたので感謝しています」とその気遣いに感謝しきりだった。【取材・文/成田おり枝】

『三度目の殺人』に別のクライマックスがあった!是枝裕和監督が告白