近年では、ドラマの宣伝でツイッターやインスタグラム等のSNSを使用するのは当たり前になっている。

しかし、撮影しながら放送していくことが大半で、十分な宣伝期間がないことも多いドラマでは、フォロワーを増やすのは容易ではない。実際、現在放送中の秋ドラマツイッターを見てみると……

■一部ドラマを除いて多くない

・『コウノドリ』…210,688

・『陸王』…95,577

《参考 しらべぇツイッター 45,616》

・『民衆の敵』…37,786

・『刑事ゆがみ』…28,350

・『監獄のお姫さま』…24,109

・ 『今からあなたを脅迫します』…15,444

・『明日の約束』…12,571

(1日16時時点/単位は人)

と、続編である『コウノドリ』(TBS系)やSNS世代に人気の俳優・竹内涼真と山崎賢人が出演する『陸王』(TBS系)を除けば、じつはそれほど多くないのだ。

そんな中、今後のSNS戦略の分岐点になるかもしれない動きが見られている。

■『あなそれ』→『きみが心に棲みついた』に

上記のツイートを見てほしい。これは1月から放送が始まる『きみが心に棲みついた』(TBS系)の公式ツイッターなのだが、文面では「あなたのことはそれほど」ツイッター、との記述があるのだ。

というのもこのアカウント、4月クールで放送されていた波瑠主演ドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)で使用されていたもの。過去のツイートを見てみると、このように画像・文面と名前・ユーザー名が違っている。

少々ややこしく感じる人もいるかもしれないが、これがなぜSNS戦略における分岐点になり得るのだろうか?

■ITコンサルタントに話を聞いた

しらべぇドラマ班は、SNS戦略に詳しいITコンサルタントの男性に話を聞いた。

「ツイッターの場合、前提として『ツイート数×フォロワー数』が拡散する可能性になります。多くのフォロワーを抱えていて、たくさんのツイートをすれば、それだけ多くの人にとどく可能性があるということです。(あまりたくさん投稿するとウザがられてリムられることもありますが)

そういう意味では、フォロワー数は非常に重要な要素なのです。ですが、準備期間の短いドラマでは、放送前からフォロワーを増やすのは結構難しいでしょう。

担当者のセンスが優れていて、作品のメインターゲットに届く投稿をしていれば、それも可能ですが、テレビ業界の人はネットに疎いことも少なくないですし、出演俳優の事務所が協力的かという問題もあります。(実際、ジャニーズタレントは主演であってもインスタ、ツイッターには登場せず、ネットでの宣伝にほとんど貢献していないのが現状です)

話が長くなりましたが、上記のような点をふまえても、『人気作品のSNSの再利用』は一定の価値があると思います。作品の放送終了後もフォローしたままの人が、そのまま新ドラマのフォロワーになるわけですから」

■「SNSアカウント再利用」の懸念点

一方で、氏は「SNSアカウントの再利用」に懸念もあるという。

「ひとつはユーザーの心象。『あれ、こんな作品フォローしてなかったのに』『いつの間に変えたんだ』と思うことで、新ドラマにネガティブなイメージを持ってしまうこともあります。そういう人はフォローを解除することもあるでしょうし、ネガティブキャンペーンにつながる可能性も。

しかし、今回の『きみが心に棲みついた』は『あなそれ』と同じ雑誌で連載されている作品のようですし、ターゲット層も近い。ゆえにそこまで反発はないかと個人的には思いますね。

もうひとつは再利用することで『続編、スペシャルドラマがもうない』とわかってしまうこと。まあ可能性が完全にゼロになるわけではないですが、優先的に守られる作品でなかったことはわかってしまうと言いますか。

とは言え、大人気ドラマで獲得したフォロワーは大きな財産。『逃げ恥』なんて未だに36万人以上フォローしてるわけですし、うまく活用できれば理想的ですよね」

■ツイートに対する反応は……

1日現在、ツイートに対する反応は……

楽しみにする声もあれば、疑問をあげる声も。とはいえ、アカウント自体を消すわけではなく、過去ツイートもそのままにしておくことで納得した人は多いようだ。

しかしながら、作品のクオリティでフォロワーを納得させていくことが大事になってくるのは間違いないだろう。

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(文/しらべぇドラマ班・尾道えぐ美

『あなそれ』ツイッター、新ドラマで再利用 利点・懸念点を専門家に聞いた