「ヤマグチクエスト」という芸人をご存じだろうか。

【ヤマグチクエストさんのプロフィール】

 テレビ東京で毎週木曜深夜1時35分から放送されているゲーム番組「勇者ああああ」。彼は、その中の「ゲーマーの異常な愛情」というプレゼンコーナーをきっかけに、徐々に人気を集めはじめたまだまだ無名の、しかしゲーマーにとって無視できない存在になりつつある若手芸人だ。

 彼はプロダクション人力舎に所属する芸歴5年目の27歳。もともとは友人とコンビを組んで漫才を続けていたが、その相方は今年の3月に芸人を辞め、やむなくピンで芸人を続けることになったという。飛躍のきっかけとなった同番組での初登場は5月末ごろで、最初にプレゼンしたのは「リンダキューブアゲイン」。彼はその後も度々同コーナーに出演しており、これまでにプレゼンしてきたゲームソフトは「俺の屍を越えてゆけ」「moon」「ワンダと巨像」「428 〜封鎖された渋谷で〜」「ボクと魔王」など。やりこみを感じさせる豊富な知識とガチゲーマーも納得のソフト選び、そしてゲーム好き以外にも伝わる巧みなプレゼンはSNSで評価され、今では「実況パワフルプロ野球」の解説や、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの公式ニコニコ生放送など、活躍の場を広げている。

 本人の知名度はまだそれほど高くはないが、彼がプレゼンしたソフトは放送直後に中古相場が高騰するなど、ゲームファンへの影響力は確実に大きくなりつつある。いじめられっ子で鬱屈した少年時代を過ごし、「カブトプスの厳選で28時間ぶっ続けでポケモンをプレイしたことがある」というガチゲーマー芸人・ヤマグチクエストは、どうやってゲーム好きとなり、人気を集めるに至ったのか。そのバックボーンを探ってみた。

“にわか”を淘汰したら良くない

―― 年齢はおいくつなんですか?

ヤマグチクエスト(以下、ヤマグチ): 今年28歳で、芸歴が5年目です。ゲームを初めてやったのは幼稚園のころで、父親とやったスーファミの「ストリートファイター2ターボ」でした。

―― そもそも、どんなゲームが好きなんです?

ヤマグチ: 普通は負けると反骨心で「絶対次勝ってやる!」みたいになると思うんですけど、僕は父親に勝てなさすぎて全然そうならなくて。ゲームの実力とは全然関係ないのをやろうと思ってRPGばっかりやってます。

 アクションも全然やってなくて、ゴエモンとかも全然できないです。ロックマンもめちゃくちゃ苦労してプレイしてました。「時のオカリナ」はほとんど友達にやってもらってて、ガノンドロフ(時のオカリナのラスボス)は自分で倒したことないですね。そのぐらいアクションは下手です。

―― これまでプレゼンしてきたゲームはゲーマーなら誰もが知ってるタイトルですが、ベタすぎない絶妙なところですよね。

ヤマグチ: 僕、にわかを淘汰したら良くないと思うんですよ。ゲーマーの人ってにわかを叩きたがるイメージがあるんですけど、そういうのは良くないですよね。「ゲームは好きだけど、知識が無いからゲーム好きって表立って言えない」みたいな人が、ゲーム好きって堂々と言えるようになるようなラインを狙ってます。(プレゼンしてるソフトは)めちゃくちゃ通な人から見たら「知ってて当たり前だろ」と言われるかもしれませんが、それでいいんです。ガチゲーマーの「当たり前」とライトな人の「何このゲーム」の間を攻めた感じです。

 あと、“ゲーム好き芸人”って呼ばれるような人たちって、ほとんどファミコン時代の話をするじゃないですか。僕は世代じゃないから分かんないんですよ。でも、どんどん時代が進んで新陳代謝していってるのに、“あの懐かしのゲーム”がファミコンのままってのは時代錯誤だなと思ってます。特集されるゲームだって、少しずつ時代が進んでいいのに。僕が紹介するようなゲームって20年くらい前のプレイステーションやプレイステーション2のゲームなんですけど、そのぐらいの世代のゲームを紹介したいなっていう思いもあったんですよね。

―― 今までで一番好きなゲームはなんですか?

ヤマグチ: ファミ通さんには、「(最初にプレゼンしたゲームの)リンダキューブアゲインです」って言ったんですよ(笑)。世間体を考えて“リンダキューブアゲインって言っておかないとダメなんだろうな”って(笑)。でも、1番好きなのは……ポケモンですかね。青春でした。初代を小学1年生からやってて、今もずっと好きです。

―― では好きなゲームのキャラクターは?

ヤマグチ: ……これは完全に「リンダキューブアゲイン」のリンダですね、ぶっちぎりで。高山みなみさんの声と、積極的な性格で強い女性としてコミカルに描かれているところと、主人公に頼ってくる女性らしい部分のバランスがめちゃくちゃちょうどいいんですよ。結婚はしたくないですけど。

―― ゲーム廃人っぽいエピソードはあったりします?

ヤマグチ: ポケモンのソウルシルバー・ハートゴールド世代で「雨パ」(※)で「カブトプス」を使いたいと思っていて、今でこそ5Vや6V(※)は比較的簡単に出せるんですけど、昔は本当に大変で2Vくらいが限界なんですよ。「カブトプス」の理想個体を出そうとして、厳選で28時間ぶっ通しでプレイしてました。「4時間たったな」と思ったら日付変わってたんです。それで4Vでしたね。トイレに行った記憶も無いですしご飯も食べてなかったです。

※ 雨パ:ポケットモンスターの中で天候の「あめ」状態を生かしたパーティのこと。※ 6V:個体ごとに異なるポケモンの6つのステータスが全て最高値であることを表す。例えば2つが最高値であれば2V、3つなら3Vと表記する。

 当時の雨パの物理型のエースはほとんどカブトプス一択で、特性の「すいすい」で素早さが上がって、攻撃力が高くて、みずポケモンの中でいわタイプを持っててタイプ一致のストーンエッジが撃てるって結構な利点だったんですよ。「きあいのたすき」を持たせれば耐久の低さもカバーできるんで、当時の雨パの中では人気株でしたね。……これ記事になります?

―― なります。

ゲームをやることは本を読むことと変わらない

―― ゲームは「時間の無駄だ」とか言われがちですが、これについてはどう思います?

ヤマグチ: 例えば、「勉強してなくても、野球頑張ってるんだからいいじゃん」みたいな風潮あるじゃないですか。これ、今やゲームで結果出して金稼いでる人がいる中で“何でゲームだけ下に見られてんのかな”と思います。“スポーツと一緒じゃない?”って。

 他のゲームだってたくさんの大人が寝ずに仕事をして考えて作ってるものじゃないですか。これを見て自分もゲーム作ってみたいと思えるなら、それは全然無駄じゃないと思います。そういう作り手のことを考えたらそこに加わってみたいと思うきっかけになるかもしれないし。

 物語を楽しむという意味で言えば、本を読むのと変わらないと思うんですよ。むしろ想像力を働かせながらじゃないと読めない本に比べれば手軽ですし。親に「ゲームは1日1時間でもっと本を読みなさい」と言われたりしましたけど、それでも負けずにゲームをやり続けて良かったなと思いますね。僕は本も読むんですけど、ゲームのおかげで今も仕事がもらえてるんで。

―― ゲームに関する仕事とかも来てるんですか?

ヤマグチ: むしろそればっかりですね……「実況パワフルプロ野球」のeスポーツ大会の解説とか。もう、お笑い一切無しですよ(笑)。僕はゲームも好きなんですけど、野球も好きなんで。特にオリックスの試合は全部見てます。

―― ゲームが好きすぎてまわりと温度差を感じたり、バカにされたりとかはなかったですか?

ヤマグチ: これはホント、思う所あるんですよ。昔はほぼ蔑称だったオタクという言葉を今はファッションとして使うヤカラが現れたじゃないですか。これはありがたくて、要するにゲームが好きってことが恥ずかしくなくなったんですよ。僕がプレゼンしたときも、そのゲームを知らない人も多かったんですけど、逆に「(プレゼンしてくれて)ありがとうございます」ってSNSで言ってもらえたりもして、やって良かったなって思いました。

 例えば「moon」の話がしたいのに、“「moonって知ってる?」って聞いても絶対知らないだろうな……”って諦めてた人っていたと思うんですよ。そういう“絶対盛り上がらないから”と思って今日まで生きてきた人たちが、僕が「好き」って言ったことによって、他の人達も堂々と「moon」の話をできるようになったみたいです。

 僕の場合はゲームが好きって隠してたんです。ゲームの話ができる友達が周りにいなくて。ポケモンの話になって僕が数値がどうのこうのいっても周りは引いちゃうのが分かるし。ゲームばっかりやってるって、やっぱりバカにされる風潮がありますから。

「マリオランを叩いていた奴らダサくないですか?」

―― 好きな(尊敬する)クリエイターはいますか?

ヤマグチ: 桝田省治(※)さんです。ダントツです。この人のゲームは狙って買うくらい。あとは「moon」とか「チュウリップ」のラブデリック(※)さんラインですね。「Million Onion Hotel」もやりました。

※ 桝田省治:「リンダキューブ」「俺の屍を越えてゆけ」「天外魔境II」などを手掛けたクリエイター。

※ ラブデリック:かつて存在したゲーム会社。「moon」「UFO A day in the life」「L.O.L. 〜LACK OF LOVE〜」を生み出したことで知られる。「チュウリップ」や「Million Onion Hotel」などはラブデリックの主要クリエイターが関わっているため、「ラブデリック系ゲーム」などと呼ばれる。

―― 家庭用ゲームがスマホに押されてきてますけど、どう思います?

ヤマグチ: スマホゲーがすごく伸びて家庭用ゲームが縮んでるというよりは、普段家庭用ゲームをやらない層がスマホゲーをやってスマホゲーが拡大してるだけじゃないの? と思います。家庭用ゲームってラジオみたいなもので、昔から愛してる人はずっとプレイするじゃないですか。……でも、ワクワクするCMが昔ほど見れなくなったのは残念ですね。スマホゲーのCMで「○○のSSRもらえる!」みたいなこといわれても全然ピンと来ないです。

―― スマホゲーと家庭用ゲームとの違いは感じますか?

ヤマグチ: すごいライトですよね、肘をついて画面をタップしてる人をよく見ますけど。ストーリーは楽しんでないんだろうなと思います。

―― 「ガチャ」についてはどう思いますか?

ヤマグチ: いいんじゃないですかね。基本無料のものをやってて、有料でガチャを引くかどうかの選択肢があっても。自分では絶対課金しないですけど。

 ……否定はしないですけど、マリオランって最初の3ステージだけ無料で途中から有料ってことで、スゴイ叩かれ方してましたよね。有料ってことに納得できなかったみたいですけど、叩いてる奴らダサいですよね。ダサくないですか?(笑)。叩いてる側が正義ぶってるのが「ダサッ」っと思って。ちょっとは遊べたんだからむしろ喜べと。

―― 一日どのくらいゲームやってるんですか?

ヤマグチ: どのくらいだろ……朝起きてまずポケモンやって、デイリーでもらえるものをやって時間があれば対戦して、帰ってきてからまたゲームやってます。平均5時間くらいですかね。休みの日はずっとやってます。

―― ずっとっていうのは……。

ヤマグチ: 起きてから寝るまでずっと。もう趣味が何もないんですよね、プロ野球があればそっちも見るんですけど、今のシーズンはないし。ゲームやってた量は大学生のときがピークだったんですけど、今もそれに近い生活してます(笑)。

 僕、大学が明治大学だったんですけど実家が高尾駅でめちゃくちゃ遠かったんですよ。友達がほとんど都心だったので、友達が僕を誘う理由も無いしこっちも行くのがおっくうで。となると、長い休みのときに何にも予定がなくてずっと家に居たんです。それでお笑いやるって言ってたんで、親は「何言ってんだコイツ」って感じだったでしょうね(笑)。

―― ゲームから話が逸れますけど、そもそもなぜお笑いをやろうと思ったんですか?

ヤマグチ: 昔からずっと思ってたんですけど、なんでですかね……僕いじめられっ子だったんですけど、僕のことを知ってくれてる人は「面白い」って言ってくれてて、“僕が存在していいのは面白いからなんだ。いじめてくるやつは僕の面白さが分からないからいじめてくるんだ”って感覚があったんで、“これで認められなかったら生きてちゃいけない”って勝手な強迫観念がありました。で、学校もつまんないのでゲームばっかやってたと。

芸人の中で1番ポケモンが強い自信がある

―― ゲームセンターとかは行くんですか?

ヤマグチ: 最近は「ポッ拳」ですね。格闘ゲームは下手ですけど、「これうまくなれたらカッコイイな」って思ったんです。ポッ拳は始めた当時出たばかりだったしやってみようかなと。今は実力的に中級者くらいです。

―― そういえば、人力舎さんのサイトには「ポケモンが芸人一詳しくて強い自信がある」と書いてましたね。

ヤマグチ: これは、井の中の蛙ですよ(笑)。でも、僕がプロになった2013年ごろは1番ポケモンが強い芸人とされていたのがロバートの山本さんだったんですけど、その時は“この人が1番強いってことになってるなら俺が1番になれるな”って思ってました。“なめんなよ”と。もちろん人力舎で1年目の芸人に対戦する機会がまわってくる訳ないんですけど、自信はありましたね。

 今は、「ポケモン竜王戦」のマスターカテゴリに参加しようと思ってて、そこで良い結果を出せれば芸人で自分1番だってことが証明できるかなと。

―― 自信はあるんですか?

ヤマグチ: 普段のバトルでは準伝説ポケモン(※)までなんですけど、「ポケモン竜王戦」では伝説ポケモン(※)を1体使えるんです。これの対策をしたことがないんですよ。今までは準伝説に合わせたポケモンを作ってたんですが、そこがミュウツーみたいな伝説級になるのでダメージ計算が変わってくるんです。ここの自信がなくて……“どんな伝説ポケモンを使ってくるのか”そこだけですね。予選があるので出れるかどうかも分からないんですけど、本当に勝ちたいんですよね……。

※ 伝説ポケモン・準伝説ポケモン:一般的に、ストーリー上の伝承などで言及され、ゲーム中で1体しか手に入らないポケモンを指す。伝説ポケモンは通常の対人戦では使用できないが、準伝説ポケモンは使用可能。初代ポケットモンスターでは、ミュウツーが伝説ポケモンで、サンダー、ファイヤー、フリーザーが準伝説ポケモンにあたる。

―― じゃあ例えば、適当にポケモンを言ったらその使い方とか言える感じですか?

ヤマグチ: それを特技にしてます。

―― じゃあリザードンだと?

ヤマグチ: リザードンはメガシンカが「X」と「Y」の2パターンがあるので、その見極めが大事なんですよ。で、見極める方法はパーティの中にルカリオが居たら「X」です。これは僕の読みでしかないんですが、某有名ゲーム実況者がルカリオとリザードンを使った構築をずっと使ってて、これがプレイ動画で見る限りまぁ強いんです。読みを外しても後から軌道修正できるような強さなんですけど、それがリザードンX、ルカリオ、カバルドン、カイリューの4体を使っていく構築なんです。仮にここに「Y」を入れちゃうとステルスロックに極端に弱くなるんですけど、そういう理屈が既に作られているので、考えるまでもなく「X」にしたがります。ルカリオが見えたらもうリザードンは「X」だと思ってもらっていいです。

 リザードンに関してもっと言うと、「Y」は特殊型で「X」は物理型になりやすいんですけど、物理だともっと上のポケモンがいるのでリザードンじゃなくてもいい。「Y」はほとんど代えが効かないんです。1ターンでソーラービームを撃てるし、ほのお技も1.5倍で撃てるし、水技を半減できるし、メリットが多いので基本的には「Y」の方をオススメしてます。ただ、今はステロ(ステルスロック)環境が流行っててちょっと動きづらいかなとは思うので、決めるんだったら先にステロまいて環境整えて相手へのダメージを蓄積してあげて、「Y」は物理も強いんで物理技の「ニトロチャージ」を入れていただいて、これで削りきれば次のポケモンに対してすばやさを1段階上げた状態で戦えるんですよ。晴れ状態で。こうなったら範囲も広いのでもう止められないですね。なので「Y」が活躍できる環境を作れるカバルドンとかその辺を入れれば、割と簡単に勝てるんじゃないかなと思います。

―― ……すみません。3割くらいしか分かんないっす。

ヤマグチ: もう分かってもらう気なかったです。

―― えぇ……(笑)。ではボーマンダだと?

ヤマグチ: ボーマンダは考えるまでもない。すごい簡単です。メガシンカさせてずっとすてみタックルしてればいいだけですから。あと問題になるのは性格が「いじっぱり」か「ようき」か、「りゅうのまい」でいかに積むかだけです。

―― じゃあサーナイトは。

ヤマグチ: メガサーナイトが主になります。フェアリータイプも複合されるので範囲は広いんですけど、ただどうしても難点なのがカプ・テテフの劣化なんですよね。だから愛情がないと使えないかな。すばやさは高いんですけど、メガ枠1つ使っちゃうんで、だったらサーナイトよりは……っていう。テテフの方がアイテムの幅も広がるんで、メガサーナイトは難しいかな……かわいいんですけどね。

―― 選んでる人はかわいいから使ってるんですかね。

ヤマグチ: 絶対そうだと思います(笑)。

中学時代の自分に会いに行って「お前はそのままで大丈夫だからな」って言ってあげたい

―― 「勇者ああああ」に出て何か変化はありました?

ヤマグチ: 僕、3月にコンビ解散したんですよ。同級生と組んで漫才やってたんですけど、相方がドロップアウトして芸人辞めちゃって。僕も辞めようと思ったんですけど「勇者ああああ」のオーディションがあるからって声かけられて、ピンネタなんて1個もないのに無理やりゲームネタ作って行ったんです。そこでプロデューサーの板川さんが「ネタはアレだけどこいつは本物(のゲーマー)だな」って思ってくださったらしくて。

 で、ゲームハードを交互に言っていく古今東西をやったんです。後から聞いたら向こうは携帯で答え見ながらやってたらしいんですけど、僕がまぁ答えるんですって。だけど向こうは答え知ってるから絶対に負けない。当然僕が負けるんですけど、「もう分かんないっすね」って言ったとき僕、半ギレだったみたいで。「本気でゲームの知識で負けて悔しがれる人なんだ」ってなって、後々呼ばれた企画がゲームをプレゼンする企画だったんですよ。それまでもテレビにはたまに出てて反響は全然無かったんですけど、5月の末くらいに「勇者ああああ」のプレゼン企画が放送されたら反響がすごくて、今こうしてお仕事がいただけてます。

 ゲームが好きなタレントって「自分がいかにゲームが好きか」をアピールすると思うんですけど、みんな僕には興味ないと思うんで「このゲームは何が面白いの?」を中心にやったらたまたま受けた感じです。そういう人が居なかったんでしょうね。

―― ゲームやってなかったら今の自分はどうなってたと思いますか?

ヤマグチ: いやー、めちゃくちゃつまんない人間になりますよ。……これ完全に偏見なんですけど、ゲームやってない奴って話めちゃくちゃつまんなくないですか?

―― (笑)

ヤマグチ: マジで偏見ですけど、自分の周りにいる「ゲーム全然やんないんだよね」って人ってマジでつまんないんですよね。空気が読めないじゃないですけど、やっぱゲームやってると気付くことはたくさんあるんですよ。(ゲームをやることで)話を組み立てるのがうまくなるんじゃないかな。

―― じゃあ、ゲームやってない芸人を見て「つまんねえな」と思ったりする感じですか?

ヤマグチ: いや、芸人ってほとんどゲーム好きなんですよ。詳しいとかじゃないですけど、ゲーム全くやったことない芸人って見たことないです。ゲームのプレゼンやって「俺もあのゲーム好きだったんだよ」っていう人も居ます。全くゲームやったことない人って人間的には面白いんでしょうけど、お話で面白いと思ったことはないですね。

やってるネタは「『星をみるひと』は果たして本当にクソゲーなのか」など

―― プレゼンをしたゲームの売れ行きが変わる現象もあるようだけど、どう思います?

ヤマグチ: 僕がリンダキューブアゲインをプレゼンしたら、リンダキューブアゲインのアーカイブがめちゃくちゃ売れたってことはあったみたいです。すごかったのは「ボクと魔王」で、もともと中古で何百円くらいの値段だったんですけど、プレゼン後は4000円くらいまで上がってました。中古業者は潤うかもしれませんけど、なんか申し訳ないですね。ソニーさんにお金が入るわけでもないですし。

―― やっぱり普段はゲームのネタをやっているんですか?

ヤマグチ: やってます。許可が下りないので曲が使えなかったりするんですけどね。「『星をみるひと(※)』は果たして本当にクソゲーなのか」とか、「ときメモ彼氏」ってネタで自分が全く動かなかったり、女の子が主人公の名前を呼ぶんだけどイントネーションがおかしかったりするとか。

※ 星をみるひと:ホット・ビィから発売されたファミリーコンピュータ用ソフト。「ストーリー説明が無い」「最初の街がワールドマップ上から見えない」「移動速度が非常に遅い」など理不尽な仕様を持つゲーム。

―― ゲームをネタにするのは結構勇気がいりますよね。

ヤマグチ: 事務所の人には止められてました。マニアックなネタを作っても「本当に置いていかれる人がいるから、説明しちゃうと長くなるし止めたほうがいいよ」ってアドバイスされてたんですけど、相方も同じ中学高校で同じ感覚を持ってたんで実際に舞台でやってみたら感情もこもるんでお客さんも笑ってくれるんですよ。

 僕にとっての自然なのがそういう形だったんで、講師に何を言われても野球ネタやゲームネタをずっとやってて……。

―― でも、結局それで今仕事につながってますからね。

ヤマグチ: だから「ざまぁみろ」って思ってます(笑)。

●中学時代の自分に会いに行って「お前はそのままで大丈夫だからな」って言ってあげたい

―― 今後の目標はありますか?

ヤマグチ: ゲーム好きとして仕事がもらえる内に、僕みたいな学生生活を送ってきた子たちに「これでいいんだ」って思ってもらえるような大人になりたいと思うようになりました。「ゲームやっても無駄」とか「ゲームやるくらいなら勉強しろ」みたいな風潮があって、ゲームばっかやってて友達も少ないような人がいる中で、僕みたいな大人も居てテレビに出てるのって夢があるじゃないですか。僕も中学時代の自分に会いに行って「お前はそのままで大丈夫だからな」って言ってあげたいくらいの思いがあるんで、僕みたいな鬱屈した毎日を送ってる子たちが前に進むようなきっかけになるような人物になりたいんです。

 例えばとんねるずさんはスポーツ選手と対決したりうまいもん食って芸能人と会食したり夢のあることやってるじゃないですか。僕はとんねるずさんみたいな大物がターゲットにしてないような子たちを救ってあげたいっていう思いはあります。

―― 笑いにこだわらずって感じなんですね。

ヤマグチ: 面白いことを求められたらその期待に応えられるような人間ではありたいんですけど、もしそれが足かせになるようなら外しますよ。

 漫才で売れたかった人間なんで、それができなかった時点でお笑い芸人としてのプライドはなんにも無いです。「つまんねぇ」って言われても全然悔しくない。しょうがねえじゃんって。もちろん頑張りはしますけど。

この人が「ヤマグチクエスト」(@yamaquest)