風がひやりと冷たくなる秋。山野や木々はカラフルに紅葉して冬支度前のショーを見せてくれる。いち早く紅葉が見れるのは高山だが、名所として名があがるのは長野県松本市安曇野の涸沢カール。赤く染まる紅葉、雪化粧の白い山々、青空と秋晴れのコントラストが際立つ。

 早朝に太陽の光が山を照らす神秘な光景・モルゲンロート、艶やかな赤のナナカマド、晴れた夜空の星々、そして色とりどりのテント。紅葉のピーク時はテントが1000個を超え、山小屋利用率は400%を超える。登山客、紅葉狩り、写真愛好家やディア取材班で賑わう。

 涸沢カールの絶景ポイントにたどり着くのはそう簡単ではない。山道を6時間も歩かなければならない。

 多くの人が訪れる理由は、日本人の山岳信仰にある。森羅万象(しんらばんしょう・あらゆる現象、宇宙に存在する一切のもの)、自然の神の偉大さに畏怖を示す日本の神道では、神は山に宿り、あるいは降臨する地であると信じられてきた。

 春になると山の神が里に降りて田の神となり、秋の収穫を終えると山に帰る。登山の修験道は8世紀にはじまり、その後、仏僧・空海が高野山を開山し、山名を付ける寺が増えた。今日では登山者たちに神秘的な体験を与える山頂からの日の出「ご来光」は、かつて山の神の登場として入山者に拝まれてきた。

 厳しく見える6時間の山道だが、その変わりゆく風景には決して飽きることはない。上高地という観光名所からスタートし、1時間ほどで名神池に到着。山の神を祭る穂高神社の中にある。3000メートル級の山々が連なる飛騨山脈全体を見渡すことができる。

長野県松本市安曇の涸沢カールは紅葉の名所(撮影・野上浩史)
長野県松本市安曇の涸沢カールは紅葉の名所(撮影・野上浩史)
長野県松本市安曇の涸沢カールは紅葉の名所(撮影・野上浩史)
長野県松本市安曇の涸沢カールは紅葉の名所(撮影・野上浩史)
長野県松本市安曇の涸沢カールは紅葉の名所(撮影・野上浩史)

※10月中旬に撮影しました(文・写真/野上浩史)

長野県松本市安曇の涸沢カールは紅葉の名所(撮影・野上浩史)